第7話:チート魔力

 俺の望みはかなえられ、十倍の肉料理が届けられるようになった。

 一日で十倍の魔力量を魔力器官、たぶん魔晶石が体内にあるのだろう、に蓄えられることになった。

 七日七晩で初日の千万倍の魔力が魔晶石に蓄えられるようになっていた。

 魔晶石を魔法袋にイメージして変質させたお陰だろう。


「ミーツ殿、食事の量は足りていますか」


 オードリー嬢が食事量を気にしてくれています。

 俺が十倍に増えた食事を完食しているので、また足りなくなっていないか気にしてくれているので、本質的には優し性格だと思われる。

 話の流れから察するに、肉に限ればいくらでも手に入る領地のようだ。

 騙すのは心苦しいが、こんな待遇にしているのは彼女の祖父だから、遠慮する事なく要望することにした。


「じゃあ食事量を今の倍にしてくれますか、この世界に来てからやたらお腹がすくのです、この世界と僕のいた世界では色々と違いがあるのかもしれません」


 俺はここを逃げ出す可能性も考慮して、魔法陣や呪文に頼らない、想像力だけで魔術を発動する方法を試行錯誤していた。

 最初に試したのは、防御力を高めるための魔力防御だ。

 魔術による防御ではなく、単純に魔力で体表を覆う事で打撃や魔力を防ぐ技だ。

 ありがたいことに、簡単に強力な防御力を手に入れることができた。

 魔術を知っていれば、もっと効率的に魔力を使って防御できるのかもしれないが、無尽蔵の魔力がある俺に効率は関係ない。


(魔防)


 イメージするのに短い単語を結び付けて、深く想像しなくても魔術を展開できるようにしている。


(魔法袋)


 読んだ小説や観たアニメの設定の中で、一番便利でご都合主義な魔法袋をイメージして、使えるようにならないか試してみたが、簡単に再現できた。

 お陰で量の増えた食事を温かいまま魔法袋に保存することができている。

 これで逃げ出すことになっても食事に困る事はない。


(転移)


 次に試したのが、この牢獄から逃げ出すための転移魔術だ。

 今直ぐ逃げる必要はないし、消費する魔力量も分からないので、まずは部屋の中を転移してみたが、簡単にできた。

 思っていたよりも消費する魔力も少なかった。

 転移する距離によって消費する魔力が増えると考えても、今の俺の魔力量ならば千キロでも二千キロでも簡単に転移できる。


(風縮)


 俺は攻撃力も確保したかったので、軟禁されている部屋の中で、見張りにも感づかれない攻撃方法となると、空気を圧縮して刃とする攻撃方法だ。

 窓のない密閉された部屋で大量の空気を圧縮したら、窒息する恐れがあるので、部屋の半分の空気を圧縮したが、その所為でドアの窓から大量の空気が入って来た。

 見張りが不信に思わないか気になったが、俺と見張りの接触をジョージは恐れていたのだろう、何も言ってこなかった。

 俺は風系の攻撃魔法が使える確信を得た。

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