第8話 八
「失敬ね!!あんたが強すぎるんだよ」
「あらそうかしら?」
「そうよ」
というやり取りを見ているうちにだんだんイラついてきたようでしたので
慌ててユレイナは仲裁に入ることにしたのです。
3人で口論になる事は避けたかったのです。
「3人ともいい加減にしなさい!!」
とユレイナが大きめの声を出すと、エリスも流石に反省をしたらしく、
「ごめんなさいユレイナ師匠」
と謝ると、ユレイナは溜息をつくと、
「はぁ~、喧嘩するほど仲がいいとはいうけど、ほどほどにして欲しいわ」
ユレイナとが言うと、ユレイナは改めて、
「それではお互いの紹介も終わった事ですので、そろそろ本題に入りたいと思います」
「ええ、わかりましたわ」
「お願いします」
「お願いいたしますわ」
4人がそれぞれ返事を返すと、ユレイナは早速本題を切り出した。
その内容は今回の件についてなのでした。
「エリスが今回アクセスを打倒した事で王女様が直々に見えたのは分かったのですが」
そう言ってユレイナは一度言葉を切ると、エリスの方を見ると、 エリスはコクりと力強くうなずくと、
ユレイナは続けて話すのでした。
ユレイナは続ける。
その内容を要約すると、エリスは今後王都に住まないかという提案があったらしい。
それに対してエリスは最初は断ろうとしたが、 ユレイナは説得する事にした。
その理由はエリスが今住んでいる場所が辺境の地であり、 不便であるからだ。
ユレイナ自身も弟子の為に色々と準備してきたが、
エリスの住む場所にはユレイナが行くには距離があり過ぎる為、
ユレイナとしては出来る限り早くエリスを王国に連れて行きたいと考えているのだ。
それとは別に王女殿下が見えたので驚いたのです。
「リアリス、王女殿下、何の為に」
「お願いがあって来ましたの、大親友の貴女のお弟子さんに、アウリット領の領地主をして欲しいのよ」
アウリットとは、リアリス王女の出身地である大切な所なのです。
「しかし……」
と渋るユレイナに対してはリアリスは更に畳みかけるように話を続けるのです。
「それに領地主にするといっても形だけで良いの。
領主は別に用意してあるから心配しないで大丈夫だから安心してちょうだい。
それよりも問題は後継者争いにあるから、そこだけは注意してほしいんだけど……」
そこまで言われると、断りづらくなってきたのです。
ただ、断る理由もあるにはあったのです。
それはまだ幼い弟子の教育に支障が出るかもしれないと思ったからなのでした。
ただそれをそのまま伝えるわけにもいかないと思っていた時でした。
ミレイナは立ち上がって、元気良く手を挙げて発言したのです。
「私からも一つ聞きたい事があるんです」
「何ですか?ミレイナ」
「はい、どうしてエリスさんに婚約者がいないんですか?まだ18歳なのにおかしいと思うんです」
「それはですね、エリスがあまりに可愛すぎて求婚してくる男性が後を絶えないのです。
その為、今は婚約する気が無いと断った結果、このような状態になっているのですよ」
(あー成程、確かに可愛いもんねぇ)
と納得しながらエリスの方を見ていると、エリスも嬉しそうな表情を浮かべていたので、
きっと嘘ではないのでしょう。
「エリスが結婚するなら、是非、私のお姉様と結婚して下さい」
「ちょっと待ってください、それはどういう意味ですか? 私は師匠と結婚したりしませんわ」
(あれっ、何でそんなに焦っているんだろう?)
と不思議に思いながら、エリスの様子を見てみると、凄く辛そうにしているのです。
(ああ、アクセスの件ね)
と察したミレイナはすぐにフォローに入った。
「冗談ですわ、勿論わかっていますわ」
とミレイナが笑顔で言うと、エリスもほっとした様子を見せるのだった。
「でも、ミレイナ、何故、私の元・婚約者の事を?」
「実は最近、お父様とお母さまが話し合っているのを聞いたのです。
それで、どんな人なのか興味を持ったのです」
「ミレイナ、あなたは将来どうしたいのですか?」
「はい、私もお嫁に行きたいとは思っておりますが、 出来れば、私も誰かを助けられるような人になりたいのです」
「そうですか……ミレイナ、あなたは賢くなりなさい。
そして、困った人達を助ける事が出来るようになりなさい」
「はい、頑張ります」
「それと、エリス、あなたはもう少し賢くなるべきです。
あの程度の攻撃に負けるような弱い男はダメですよ」
「は、はいっ」
「では、私はこれで帰ります」
というと、席を離れようとするので、ユレイナは慌てて引き留めようとした。
「ちょ、ちょっとまって」
「何かしら?ユレイナ」
「あのさ、うちの弟子に勝てる奴なんて早々いないわよ」
「そうかしら?確かに、今の時点ではユレイナの弟子の方が強いのかもしれませんが、 いずれ追い越される日が来る事を期待しています」
「あのね、勝手に期待されても困るわ」
そう言えばクスクスっと笑うと
「だってそしたら領地を次いでくれるでしょ」
そう言われて溜息を尽くのでした。
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