第16話神話の森最深部 GORIRA3


ゴリラと戦い始めて三日。この三日間だけで、五十回は気絶したと思う。

殴られ気絶しては、口に葉っぱを詰め込まれ・・・そして殴られるの繰り返しだ。謎の葉っぱで強制回復させられているとは言え、最近記憶が曖昧な部分もあるため日記をつけることにした。

これがあの憎きクソゴリラへの攻略の糸口になることを切に願う。




〇ゴリラと戦い始めて三日目


未だにゴリラの初撃が見えない。でも流石にあれだけしこたま殴られてるせいか、打撃耐性でもついてきたのかな?心なしか気絶してる時間が短くなった気がする。

これが嬉しいのか悲しいのかボクには分からない。だって、気絶してる時間が短くなった分、気絶する回数も増えたからなチクショウ。

まぁ、良い。今日はもう寝よう。あのゴリラ、夜はちゃんとボクを休ませてくれるんだよな。




〇ゴリラと戦い始めて七日目


ゴリラの動きが段々見えるようになってきた。だからと言って、初撃を避けれるわけでもなくぶっ飛ばされたけど。だけど、これは大きな進歩だと思う。

ククク、今に見てろよあのクソゴリラ。えっ、その肉くれるの?ありがとうございます。ありがとうございます。




〇ゴリラと戦い始めて十五日目


やった!遂にやったぞ!あの憎きゴリラの初撃を、防御することに成功したぞ!よっしゃ、反撃だ・・・と言いたい所だが、ゴリラの追撃であえなく撃沈した。

その日の夜は、初撃を耐えたご褒美かモグラ肉がもらえた。ありがとうございます。ありがとうございます。




〇ゴリラと戦い始めて二十日目


朝スヤスヤと眠っていたら、突然の地響きに飛び起きた。

・・・ゴリラが鹿と猪を軽々と地面に叩きつけていた。エッ、ナニコレ?大怪獣大決戦カナニカ?

猪と鹿はボロボロになるまで戦い、そしてゴリラに頭を下げて帰っていった。どうやら、ゴリラのあの猪と鹿の師匠らしい。ていうか、ゴリラクソ強くない?ケガ一つないし、ピンピンしてるんだけど。

この後、鹿と猪とのウォーミングアップで温まったゴリラに、いつもより激しくぶっ飛ばされた。夜は熊肉もらった・・・熊肉かよ。




〇ゴリラと戦い始めて三十日目


段々とゴリラの攻撃にも慣れてきた。このゴリラ身体能力はズバ抜けてるけど、攻撃が単調なんだよね。基本的に近付いて殴るしかしてこない。

殴ってくる箇所が分かれば、防御もいなしもやりやすい。大分、ゴリラの攻撃を凌げるようになったよ。

もっとも凌げるようになっただけで、サンドバック状態なんだけどね。

そして、今日の夕飯はなんと鹿が持ってきた。ビックリした。・・・見たことない魔物だな。美味いのかな?



めっちゃ、美味かったです。ありがとうございます。ありがとうございます。




〇ゴリラと戦い始めて四十五日目


遂に、遂にあのクソゴリラの顔面に一発入れることが出来た。大して効いてなさそうだったけど、あのゴリラの驚いた表情が忘れられない。たまたま見学してた猪と鹿もビックリしてた。

ゴリラは少し考える素振りをして、リングから降りていった・・・えっ?今日はもう終わり?

と思ってたら、猪と鹿が乱入してきた。ちょっ、ちょっと待って!むr・・・

酷い目に、とても酷い目にあった。でもお詫びの印なのか、夕飯に猪と鹿がいっぱい肉をくれた。ありがとうございます。ありがとうございます。




〇ゴリラと戦い始めて四十六日目


ゴリラが戦い方を変えてきた。最初ボクに殴らせてから殴り返す。それの繰り返し。

そっか、このゴリラ・・・これがやりたかったのか。ゴリラがいつもよりウキウキだね。しかし、こちらとしても好都合。避けられる心配がない以上、全力で殴ったらぁ!

と思ってた時期が私にもありました。なんなんあのゴリラ?どんだけタフなの?気絶しなくなった分、めっちゃしんどい・・・

そして今日の夕飯は・・・なんとドラゴンの腕肉をもらえた!なんだこれ!?なんだこれっ!?めっちゃ、うめぇ!!

ありがとうございます。ありがとうございます。一生懸命頑張ります。




〇ゴリラと戦い始めて六十日目


ゴリラと殴り合いを初めて、もうすぐ二カ月も経つのか。長いような短いような不思議な感覚だね。

それはそうと、やっとゴリラにダメージらしいダメージを与えることに成功した。あのウボッ!?ってうめき声は少し面白かった。

あれには見学してた猪と鹿も爆笑してたな。まぁ、その後ゴリラにシバかれてたけど。

陽が落ちるまでやってた殴り合いも、今では昼過ぎくらいまでになった。その代わり、ゴリラとの殴り合いの後は猪か鹿との力比べをする。

力比べは簡単。どっちかの突進を受け止めれたらボクの勝ち、吹っ飛ばされたらボクの負け。これを日が落ちるまで永遠と繰り返す。

正直、こっちの方が辛い。だってあいつら手加減ってものを知らないんだもの。・・・そう考えるとゴリラは手加減してくれるの・・・か?

あいつらに勝ち越すと、夕飯の肉が豪華になるから頑張りますかね。




〇ゴリラと戦い始めて九十日目

ゴリラとのインファイトも、大分サマになってきたかと思う。猪と鹿との力比べのおかげかな?筋力がメキメキと上がってる気がする。

ゴリラの目つきも楽し気だが、真剣なものに変わってきてる。ふっ、ボクがゴリラをぶっ飛ばす日も近いかもな。まだ一回も勝ててないけど。

そうそう。猪と鹿との力比べも、今では二匹同時に相手してる。もはや二匹同時に突進してこないと、ボクの相手にならないからね。ボクを認めたのか今じゃ一緒に狩りに行く仲だ。

今日も一緒に狩った肉を、火を囲いながら一緒に食べる。誰かと一緒に食べるって・・・いいよね。人じゃないけど。

さて、明日も頑張ってゴリラに挑むかな。




〇ゴリラと戦い始めて百八十日目

















俺は勝ったぞ!!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る