第3話
「ほら、ミチル。検診の時間だ」
そういうアシュガの顔はドクターの顔だった。ミチルはおとなしく青いつなぎを肩から腰に下ろして白いシャツ一枚になった。
アシュガは下から手を当て心臓の動きを聴診器で読む。人差し指を空に向けてホログラフィでそれだけでは読み取れないところを見る。心臓はぷかりと浮かんでゆっくりと回転していた。
「異常、なし」
アシュガは指を振り下ろし、ホログラフィを閉じた。
「食事だ、腹いっぱい食べるんだぞ」
アシュガは地下の食堂へ下りて行った。
地下の食堂には木目のタイルが張り巡らされていて、狭い空間の中に厨房がある。中央にダイニングが置いてあった。
ミチルは目を輝かせてスプーンを手に取った。家では固い星肉とパンしか食べることができない。カボチャの温かなスープをすくいとり口に流し込む。
「甘い!」
頬を紅潮させて喜ぶミチル。その姿はだれもがほほをほ緩める力を持っていた。ほほえましく見守るアスターとアシュガ。アスターの足元にはいたずらに冷まされたスープ。
「ほんとうにおいしそうに食べるなぁ」
とほほを緩めきりのアシュガ。ふと視線を感じて足元を見ると冷めた目でアスターが彼を見ていた。
「なんだ、猫舌だろう」
それにしても冷たすぎるスープ。アスターは腹がすいていたので仕方なしにそれを食べた。
食事後、すみずみまできれいにされた屋根裏部屋のベッドでミチルはすやすやと眠りについた。
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