202010 ジャパロボ 16

渋谷かな

第1話 ジャパロボ16

「誰も来ない。さすがにマイナーな渋谷川にジャパロボがいるなんて思わないわよね。」

 イリスは渋谷川に潜んでいた。もちろん戦闘回数はゼロ。

「暇だからお昼寝しよう。敵が来たら起こしてね。ウンディーネ。」

「あんた本当にやる気ないわね。そんなんじゃお嫁の行き所が無くなるわよ。」

「zzz。」

「ああ~、寝ちゃった。」

 イリスのジャパロボは水の精霊ウンディーネのジャパロボなので、水の中の戦いには強い。

「ていうか、姿は水に隠れていないんですけど。」

 渋谷川は水深の低い川であった。


「でやー!」

「とやー!」

 東京都全域で100万人のサバイバル戦が行われていた。

「祐奈さん、もうそろそろ手を打たないと誰も戦いを挑まなくなってきましたね。」

 2時間が経過した頃にはジャパロボも残り100機くらいになっていた。

「zzz。」

 しかし祐奈自衛官は涎を垂らして眠っていた。

「起きてください!? 祐奈さん!? 綾子教官にチクりますよ!?」

「綾子教官!?」

 動物の習性だろうか? 鬼軍曹の綾子教官が怖いので寝ている祐奈も飛び起きる。

「予選の決勝戦を行います! ポチットな。」

 目覚めた祐奈はボタンを押すのであった。


「これから少しずつ戦闘エリアが小さくなって行きます。エリアの外に出たジャパロボは失格です。最後の5人になるまで戦ってもらいます。」

 東京都全域に災害無線が流れる。

「オンラインゲームかよ?」

「やっぱり最後まで残るエリアって、東京都の中心の吉祥寺か調布かしら?」

「いいえ、渋谷です。アハッ!」

 なんでやねん! 天国から明治天皇の関西弁が聞こえてきそうだった。

「ということは私たちはやって来る敵を迎え撃つ側なのね。」

「そもそも他のジャパロボは渋谷までたどり着けるのかしら?」

「無理ですね。既に高尾さんのジャパロボは下山中に、奥多摩の秘境のジャパロボも戦闘エリア外になり、戦う前に消滅しました。」

 これで残りは98体。

「江戸川区のジャパロボと江東区のジャパロボが遭遇。6体で交戦が続けられています。そこに葛飾区のジャパロボたちも側面から参戦しています。」

「戦闘エリアが小さくなっていくから、急速に戦わなければいけない状態にさせられているんだわ。」

「もしかしたら、渋谷にいる私たちは誰とも戦わないで東京都代表になれたりして?」

「冗談やろ~、そんな奴おらへんで・・・・・・チッチキチー。」

 さとみ、すず、令和は顔を見合わせる。

「あり得る!? 不戦勝で全国大会!?」

「さとみちゃんのお母さんも寝てるだけで優勝したもの!?」

「だって、それがジャパロボ・クオリティー!?」

 残りのジャパロボは約50体。

 つづく。

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