おまんじゅうにぎにぎ

金曜日

おまんじゅうにぎにぎ

『おい、本当に行くのか?』


 席を立つ男と問う男。場所は寂れた喫茶店。

 意を決したように席を立つ男はいう。


『いざって時は、まんじゅうと一緒に焼いてくれ』


 立ち去る男の背を見つめながら問う男は呆れ顔で、また、絶対的な信頼感を持った顔で見送る。


『お前ってやつはいつもそうだ。安心して逝ってこい。小徹』


 小徹の後を追うように不気味な男が店を出る。ニギニギ、、、にちゃぁぁ


 走りながら小徹は思慮を巡らす。

 秋葉の店はダメだ入荷が少ない。じゃあ、あっちの店は、、入荷は多いが競走者も多い。中野のあの店なら或いは、、、ええい、ままよ。

 WEBでの予約?バカ言うなよ。そんなの当たり前にしている。現場の空気を味わえるのは今だけだろ?



おまんじゅうにぎにぎ

それは、手のひらサイズの希望の塊。3次元空間への干渉により誕生した奇跡の結晶。



『ここにもないだと。』

 もう少し足を伸ばすしかないか。しかし5店舗周りこうまでお目に掛かれないのは妙だな。

 奴に調べさせるか。スマホでメッセージを送ると、コンビニで買ったエナジードリンクを飲み干す。


 ピロンっ。小徹の後方20m程の場所で、袋を抱えた怪しい男がニヤついていた


 秋葉、中野が無いとなると、最終手段。池袋か。


 日も落ち始め、小徹は焦っていた。

 ありえない、今までこれ程入手に及ばない事なんか無かった。


おにぃさん。何か探し物?


 黒服のいかにもな男が話しかけてきた。無視を決め込むが、執拗に声を掛けてくる。


チクッ


 鋭い痛みが首元を刺す。すると、突然意識が遠のきだした。


おにぃさんどうしたの?黒服の声が遠くで響く。


お、、お、ま、んじゅう、、、にぎ、ぎぎぎぃぃ


おまんじゅうにぎにぎしたいの?おにぃさん?おにぃさん?


 気がつくと、ベットの上にいた。

 しかし、目が回る。天井が回って見えるなんてよっぽど、、いや、ベットが回っていた。

 止め方が分からずベットから飛び降りる。


 近くのソファに腰を掛ける。シャワーの音がする。目を向けるとキュッとシャワーを止める音が聞こえた。


 しばらくすると厚手のバスタオルを巻いたオリエンタルな女性が出てきた。


シャチョサン、オキタノ?


こいつ誰だ。怖い。ママ助けて。


サキシャワーシタヨ。シャチョドゾ。


 シャワーを勧められたが、丁寧に断った。

 そして、なぜ俺がベットに寝ていて、オリ子(オリエンタルな女子)はシャワーを浴びていたのかを聞くと、黒服に介抱するように指示を受け、解放だと思いシャワーを浴びていたとの事だった。

 理由は分からないが、ある程度現状は把握した。

 ふと、周りを見渡すとカバンがない事に気が付く。やられた。。。


一方その頃。黒服の事務所では。。。


鴨がネギ背負ってってのはこう言う事言うのか。財布も身分証もここにあるし、後はアニータとの既成事実さえ作れば、偽装結婚させて、アニータに国籍を取らせれば。くっくっくっ。笑いが止まらんな。

 

 黒服が皮算用をしていると、突然扉が開く。


誰だてめぇ


にぎにぎ。にちゃぁ。。。


場面は、小徹のいるホテルへと戻る。


 とりあえず帰りたいが、ホテル代を払うお金もなければ、スマホもない。どうしたものか、考えていると。


シャチョサン、カエリタイカ?ワタシモクニニカエリタイ。イッショニココデヨ。


 服をきたオリ子に手を引かれホテルを出る。

 料金はなどと考える間もなく、手を引かれホテルの廊下を抜け、フロントを抜け、入り口を出た。

 あっけなくないほどにホテルをでると、手を取られながら街を走り抜ける。なんだか、風が心地よかった。オリ子の手が暖かい。サラサラの髪から匂うシャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。時折こちらの様子を伺うように笑顔を向ける。ドキドキする。


もしかしてこれって。。


 見知らぬ女に恋心など抱くものではなかった。名前も素性も知らない女。それは、突然だった。

 目の前で血飛沫が飛んだ。先程までサラサラの髪を靡かせていた髪はそこにはなかった。


あああああああああああああああああ。


 思わず、叫び声を上げた。頭のないオリ子の手がまだ俺を掴んでいた。

 目の前には紙袋と俺のカバンを抱えた男が立っていた。見たことのある男だ。


にぎにぎ。にぎにぎ。軟弱な奴め。小娘一人ごときで正気を失いおって。


 そう俺はこいつを知っている。唯一無二の友。恩・霊(オン・レイ)だ。


『なぜだ。なぜお前が。』

『お前の絶望する顔が見たかったからさ。』

『親友じゃないか』

『それはお前が勝手に思っていた事だ』

『そのカバン。お前が奪い返してくれたのか』

『奪い返した?まぁ、そんな。ところか。返してやる』


そう言うと、カバンを放り投げる。カバンが死角になった瞬間。恩・霊の拳が小徹の頬を打つ。


『これを見ろ』


袋から、大量のおまんじゅうにぎにぎが地へ落ちる。


もう限界だ。こんなくだらない駄文筆が進まない。

誰か続きをかいてくれ。。


終劇

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おまんじゅうにぎにぎ 金曜日 @kinyoubi

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