第9話 九
ミミリィは隠れているのですけど、本当に此処に
いれば平気だと思うのです。
そんな時です。
足音がすると息を殺し、ミミリィは静かにしていると
男性はこう言うのです。
「此処にいるのは分かっているんだよ、出て来い!!!」
そう言うのですけど、ミミリィは隠れているので
出て行く訳に行きません。
そうすると足音が遠ざかって行くのが分かると
安堵しているのか、ミミリィは溜息を尽いているのです。
そんなミミリィは隠れるのをやめると今のうちに
馬車乗り場まで行き、自身が住んでいる城下町へと
戻ろうとしていて、今は馬車乗り場で馬車が来るのを
待っているのです。
しかし、男性の叫びが聞こえるときっと聞き覚えのある
声なのでこのままでは見つかるし、如何しようという感じですが、
そんな時に運よく馬車が来ると馬車に乗り込んで
そのまま自身が住んでいる町へと戻るのです。
暫くすると町へ着くのですけど、着いた頃には辺りは真っ暗で
ミミリィは暗い所が苦手なので今日は宿屋に泊まり、
明日にお屋敷へ戻るようにするのです。
そこでミミリィは宿屋の中にいるのですけど、
此処の宿屋は寝所が狭いし、窮屈なのですが、
それもしょうがないし、諦めるしかないのです。
ミミリィは着ている衣服を一つ一つ脱ぐと
黒のブラとショーツ姿となるのですが、
そのままベッドに座り、横になると瞼を閉じて
眠るのです。
翌日、ミミリィは目が覚めると上体を起こし、
ベッドから降りると衣服がなくなっている事に気が付くのですが、
此処のお部屋の中を隅々まで探すのですけど、
見つからないのです。
そうすると此処のお部屋の扉が音を立てて
開くとそこには見知らぬイケメンの人の男性が
立っているとこう言ってくるのです。
「君の衣服は俺が預かっている、返して欲しければ、
俺の恋人になれ」
そう言われるとミミリィはイライラし、
腹が立っているのですけど、ここで相手に手を出せば、
どんな事を言われるのかも分からないし、
ミミリィにとっては災難に遭う可能性もあるので
そんな事は出来ないでいるのです。
しかし、ミミリィは本当にどうするのでしょうか。
「如何して貴方の恋人にならないといけないのですか?」
そうミミリィが言いますと男性はこう言うのです。
「衣服がないと此処から出れないだろう、
それとも下着姿でここから出るのか?」
男性からそう言われてしまうとその通りで
ミミリィは今、下着姿なのです。
こんな恰好で出てしまうと痴女いや痴態を晒す事になり、
ミミリィにとっては汚点になる可能性もあるので
そんな事は決して出来ないのです。
しかしながら、見知らぬ男性の恋人になると言うのは
些か嫌ですし、ミミリィは解決の糸口を頭の中で
考えているのです。
解決策さえ分かれば、きっと男性にざまぁが出来る筈です。
未だに解決策を頭の中で考えているミミリィは
何も思い浮かばないし、如何する事も出来ないと
断念するしかないのかなって思うのですが、
ミミリィにとってここで諦める訳にはいかないし、
ここから出る事を考えないといけないのです。
そこでミミリィはこう言うのです。
「恋人になってもいいのですが、
まず貴方のお名前を聞きたいです」
「それもそうだな、俺の名前はサインデルドだな」
「サインデルドって言うのですか、変なお名前はね」
そう言いながらクスクス笑っているのです。
「おいおい、名前を聞きたいと言うから教えてあげたのによ、
笑うなんてとんだ失礼な女性だな」
「あらっ、御免なさいね、私の名前はミミリィです」
「ミミリィって言うのか、随分と良い名前じゃないか」
「そう言ってくれて有難う御座います」
「ミミリィの歳は?」
「22歳で御座います」
「22歳なのか、若いな」
「サインデルドの歳は?」
「俺の歳は20歳だな」
「あらっ、私より若いし、年下じゃないの」
「そうだな」
「サインデルドは何をしている人なの?」
「…………」
「如何して黙るのですか?」
「…………」
サインデルドはミミリィが声をかけても無言でいるのです。
ミミリィからすると如何したのかなって思うのですが、
首を傾げているミミリィです。
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