ついて来る
ツヨシ
第1話
通学路をいつものように卓也と歩いていた。
卓也は家が近くて、物心ついた頃から仲のいい親友だ。
そしてもうすぐ学校に着くというところで、俺はなにかを感じて振り返った。
数名の学生が見えたが、そのうちの一人の女子高生に目がいった。
うちの高校の制服を着ていて、大きな目を不自然なほどにぎょろぎょろと激しく動かせながら、少し下を向いて前方ではなくて地面を見ながら歩いている。
その目の動きは、俺には人間ではなくなにか別の生き物のものに見えた。
そして女の印象を一言で言うならば、とにかくものすごく気味が悪い。
とくに異様動きをするその目は、あきらかに不気味だ。
卓也が気付き、俺の視線を追いながら言った。
「おい、あの女の子を見てるのか。あんなのが好みなのか? 趣味悪いなあ」
おいおい。
男子が女子を見ても、好みとかいやらしい意味じゃない場合なんて、それこそいくらでもあるだろう。
とくに今の俺は、そんなものとは完全に真逆だ。
俺は少し強めに言った。
「あんなの好みなわけがないだろう。なんだか気持ち悪いし」
「うん確かに。なんかめちゃめちゃ気持ち悪いよなあ、あいつ。特にあの目の動き。どうやったらあんな動きができるんだ。あんなの見たことがないぞ」
そこまで言うと卓也は、まるでそんな女なんて存在しなかったかのように歩き出した。
俺もついて行く。
そして俺は考えた。
――それにしても、あいつは俺のほうを見ていたわけじゃないのに、俺はなにを感じて振り返ったんだろう。
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