5-7:街での日々、二週目
GM : さて、二週間目です。今週は、「壁の警備」という行動を選ぶことができます。
「壁の警備」は、〈ディナ・レイダー組〉と〈セルフィ組〉の二組に分かれて行われる。NPCからのダイスボーナスも得られるが、目標値はどちらも「20」と、少し難しめの判定だ。
ソレル : 地図の右上になんかあるのは気になるし、地図自体も、彼岸花の庵を隠したものを複製できないかな? 神殿組に渡す用にさ。
シエル: なら、それは僕がやってみるよ。神殿側の内情も調べてみたいし。
アル : じゃあ、僕達は警備しましょうか。
リズ : ですね。〈ディナ・レイダー組〉の方がダイスボーナス多いですし、私たちは〈セルフィ組〉にいきましょう。
ソレル : それじゃあ、私は〈ディナ・レイダー組〉にいこうかな。
GM : 分かりました。では、演出していきましょう。
▽壁の警備〈ディナ・レイダー組〉/ソレル
ソレル : 判定は剣の恩寵で成功。ところで、レイダーさんにちょっとお話がありまして。
レイダー : 「はい、なんでしょうか」
ソレル : 「あの、ナンディナからルフランの話をなにか聞いたかもしれないんですけど」そっとナンディナの方を見ます。
レイダー : 「……ええ、報告は聞いています」
ソレル : 「貴方を調和を愛する、偏見のあまりない方と見込んで告白するのですが、私、そのルフランの神官です」駆け出しですけど。
ナンディナ : 「…………!」
レイダー : 「……」
突然の告白に動揺を隠せない二人。行方不明事件と関わりアリと目される、怪しげな宗教の関係者が出てきたのだ。無理もないだろう。
ソレル : 聖印見せるよ。「【ディテクト・フェイス】でも、なんでもしてください」
レイダー : 「……無礼をお許しください」一応、行使は行います。
ソレル : 抵抗しないです。「えっと、その上でいくつか伝えたいことがあって。教義とか、そういうのです」と、ルフランの教義からひとしきり。要は生贄を常習的に要求する邪教じゃないよって旨を伝えたい。
そうして、ソレルは融和の神ルフランの教義と、その格言を唱える。
「魂に壁無し。今生の在処のみで、愛に線引くことなかれ」
「汝、愛望む者の手を取れ。手中に収むこと、躊躇うことなかれ」
「もう一度(ひとたび)を願う心に祝福を。過ぎ去りしを諦めることなかれ」
ここでNPCであるレイダーは、ルフランの特殊神聖魔法を知ることになる。この話の後ろに付録として付けておくので、良ければご一読ください。余談だが、それらの凶悪な魔法の数々に、SGMは後々幾度となく辛酸を舐めさせられることになる……。
ナンディナ : じっと教義に聞き入っている。
レイダー : 「……なるほど。先ずはお教え頂いたことに感謝を。そしてその教義もまた、多くは理解できます。しかし、であれば尚更不可解だ。なぜ信者であるはずの住民の口から、生贄などと……」
ソレル : 「何か、認識に食い違いがあるのではないでしょうか」知らないけどね。
レイダー : 「重ねての無礼をお許しください。ソレル殿は、元よりこの島の住民だったのですか?」
ソレル : 「いえ、私は別に……」
レイダー : 「では、何処でこの教義を? 街に教会のような施設は、見受けられませんでしたが……」
ソレル : 「……以前この島を訪れたことがありまして。その時にルフランの声が聞こえました」
レイダー : 「成る程。素質がおありだったのですね。それにしても食い違い、ですか。叶うなら、他の神官などにも話を伺いたいですが……」
ソレル : 「その、街にはいないんですよね……?」
ナンディナ : 小さく首を振ります。「依然申し上げました通り、我々は……少し遠ざけられておりまして。ディナたち騎士団には隠しているのか、それとも本当にいないのか。判断がつかないのです」
レイダー : 「少なくとも、私は存じ上げません。心当たりなどありますでしょうか?」
ソレル : 「それはわかりませんね……」うーん。
レイダー : 「……ともあれソレル殿に感謝を。我々は、あまりにも知らな過ぎている。もう少し、情報があればよいのですが……」
ソレル : 「いえ、ご恩返しのようなものですし……」でも彼岸花の庵のことは言わないよ。
GM : 分かりました。ではそんな話をしながら、警備は続きます……。
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▽壁の警備〈セルフィ組〉/アル・リズ
うららかな陽気の下を歩く三人。その足取りは真剣ながらも、軽やかだ。
セルフィ : 「けいび~、けいび~」
アル : 「けいびー、ですね」
セルフィ : 「なにもない~」
リズ : 「良きことではないですか」……判定は成功です。
GM : はい。では君たちは、壁の警備中……時折、ふらふらと『壁』の方向に向かっていく住民の姿を見かけました。複数人、単発的に。日時も違うタイミングでそれぞれ。……ちなみに止めます?
アル : ちらりとセルフィさんの方を確認します。
リズ : 「よくいるのですか? ああいう手合いは」
セルフィ : 「住民の方々ですから、たまに見かけますよ? こんにちは~」
GM : 「ああ、こんにちは。良い天気ですね」にこり。
セルフィ : 「はい! お出かけですか?」
GM : 「ええ、”庵”に、行かなくてはいけないのです。呼ばれておりますので」そういって会釈して、そのまま歩いていきます。
セルフィ : 「いおり……?……なんだったんでしょー?」
アル : 「庵って、ソレルさんたちが言ってたやつですよね?」(こそこそ)
リズ : 「これは、変に暴かれない方がよさそうでしょうか。」(こそこそ)
アル : 「で、でもぼくたちも庵についてそこまで知ってる訳でもないですし……このままでいいんじゃないですか?セルフィさんもそこまで疑問に思ってないみたいですし」
リズ : 「では、ひとまずこのまま帰りましょう」
セルフィ : 「庵ってなんのことでしょうかね?ご存じだったりしませんか?」
リズ : 「さあ、聞いたこともありませんね」
セルフィ : 「そですか。じゃ、帰りましょ~」
ソレル : 主従組がすっごい純粋そうにRPしてるのを見ててさ。距離感を感じるんだよね。
アル : いや~楽ですね~。
GM : では壁の警備は両方成功しましたので、新たな情報が得られます。先ほど描写したように、「壁の向こう側」にいく足跡がちらほら見つかるんですが……「壁のこちら側」に帰ってくる足跡と、その量が合いません。見落としもあるでしょうが、「街から、壁の向こうに行って帰ってきていない住民」が5~10人程度いるようです。
それと、『壁』ですが、どうやら弧を描くようにうっすら曲がっているようです。……どうやら、その中心には彼岸花の庵があるようですね。
SGM : 描写はしませんが、レイダーは【ディテクト・フェイス】したので、特殊神聖魔法を見ながら成る程と思いました。
ソレル : はい。
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GM : さてシエルさん。なにしましょ。
シエル : 頼まれてた偽造地図はつくっておくよ。それと、騎士団と協力しながら、内情を探りたい。……(ころころ)、判定は成功。
GM : では、レイダーとセルフィが色々やってるのを手伝うかたちになりますが……騎士の一人が、あなたに話しかけてきます。
騎士団の男 : 「……なああんた、初手であの猿真似野郎にケンカ売ったんだって? やるじゃん!」そんな風に言われて、肩を組まれました。
シエル : 「いや、喧嘩売りたかったわけじゃあ……猿真似野郎、ですか?」
騎士団の男 : 「あいつだよあいつ。ナンディナ。レイダー騎士長の金魚の糞だよ」はー、とため息。
GM : そうして語られるのは、ルーンフォークにも関わらず聖印を下げ、司祭を名乗るナンディナへの愚痴の数々です。まぁ、やっかみの類いですね。「やっと言える仲間が見つかったよ!!」って感じです。
「正直さ、あんたらから見てもどうよ? ルーンフォークが隊長補佐とか、司祭とか。……ないよなぁ?」
「聖印も、ただのアクセサリーとでも思ってるんじゃないかね。恥ずかしげもなく両方同時に首から下げてさ。あんなの、始祖神にも太陽神にも失礼だろ。合祀神殿ってたって、ごちゃまぜにしていいわけでもないんだからさぁ……」
「結局あいつ、レイダー騎士長の横にいたいってだけなんじゃねーかって感じでさ。本当に神の恵みにありがたみを感じてんのかって話よ」
GM : 周囲を見回すと、大体騎士団ではこれは「マジョリティ」の反応のようです。悪口自体は言わなくても、まあそうだよなあ、という顔でうなずきながら支度をしている人などもたくさん。
シエル : 「成る程。……ですが、スラム出身で盗むことしか能のなかった僕に、信仰という新たな道を示してくださった牧師様は、神の声が聞こえずとも、確かに僕を導いてくれました」
「……神の声を聞こえずとも、迷える子羊を導くこともできるのではないでしょうかね?」
リズ : シエルのロールめっちゃいい!
SGM : シエル、これでナンディナにぶっこんでなければ……。
シエル : ごめんなさい、牧師さん……シエルは、シエルは……。
GM : では、二週間目もそうして過ぎていきます……というところで、皆さん異常感知判定をどうぞ。……成功した人は、ふと、違和感を感じます。
―――見られている。何処からか、視線を感じた。
窓の外を見やれば、小さな一対の角を生やしたナイトメアの青年が、こちらを睨んでいるのに気が付く。
その視線は、数多の炎により研ぎ澄まされた刃のように、冒険者たちを睨んでいる。
-ナイトメア-
https://drive.google.com/file/d/1QhkP2sRsK2SBL7QXZBYwOmksm0dqXY98/view?usp=sharing
……そのまま青年は踵を返し、冒険者たちの視界から姿を消す。
追おうとするならば、すぐに見失ってしまうだろう。土地勘は、向こうの方があるようだ……。
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