4-5:第2ステップ-別れ-


■第2ステップ

……突然、ボン!と爆発音が響く。

見れば、厨房が真っ赤な炎に包まれている。同時に、うねるように渦巻く熱気が辺りを包む。

火災だ。

放っておけば、いずれ屋敷は炎に包まれるだろう。

消すか、逃げるか。

どちらにせよ、迷っている時間はない。


GM : なお、エントランスロビーにいる方は、音が聞こえたくらいしか分かりません。ご注意ください。


▼リズ、シエル/食堂(オーウェン)

シエル : 「なんだ、火事か!」

リズ : 「火事ですね。消せますでしょうか」厨房をのぞきます。

シエル : 「くっそ、なんで忘れてたんだ今まで!……そうだ、今窓はどうなってるんだ?」カーテンを開けます。


GM : お、では異常感知判定/13を。……(ころころ)成功ですね。では、あなたは屋敷の北側(上の方)の森の中に小さく蠢く白い何かを見た、気がしました。それがなにか、まではわかりません。

シエル : 「......森はだめだ」

リズ : 「何かみえるんですね?」

シエル : 「森には奴らが徘徊してる。サンルームから逃げるのはおそらく不可能だ。これ、ソレル達に伝えないとだよね!」

リズ : では、それをソレルさんのいる方に向かって叫びます!

ソレル : ちょうど、食堂の方に声かけようと思ってたんだ。GM、サンルームの外はどう?

GM : ……まあ、ひとりみえたならいいでしょう。 なんか外、うごめいてるのがいますね。

ソレル : 「うわ……」


シエル : 「そうだ、この絵、燃やす事ってできますか、オーウェン先生? 祭場に隠すのがベストでも、この際四の五の言ってられないかと」

オーウェン : 「…………。まあ、そうだな。お前らが狙われるよりは……いいだろ」 残念そうですが、しぶしぶ頷きます。

リズ : 「折角描いてもらったのに、ごめんなさい。心のマナカメラにしっかり残しておきましたから!」

シエル : 「……ほんとごめんなさい、でも、あの絵を隠しにいってたら間に合わない」

GM : では火に投げ入れると、絵は瞬く間に焦げていきます。


リズ : 「屋敷裏手からの避難は厳しい。ではサロンを抜けないと……」

シエル : 「オーウェン先生、屋敷の地下ってどの部屋に繋がってます??? たぶん、そこしか逃げ道がない!」

オーウェン : 「ライティアの部屋……だとお前らが思ってるとこだ。地下通路を抜ければ、森の方に出られる」

シエル : 「よし、それを聞けてよかった」

リズ : ではそれも叫んで、ソレルさんに伝えておきます!……と、いうところで、そろそろご主人様がいないことに気づきます。

シエル : 「……あいつら、まさかロビーの方向に向かったのか!?」

リズ : そのままロビー方向にダッシュします!

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▼アル/エントランスロビー(ライティア、サリュ)

GM : では、アルさんとサリュがエントランスロビーに辿りつくと、ライティアと謎の集団がにらみ合っています。

ライティア : 「何故来たの!!?」

アル : 「だって、サリュさんが……!」

サリュ : 「ライティア様、リコリス様は皆さまがお連れ下さっています」そうして、敵を見据えます。

アル : 「これが……」敵を前にちょっと及び腰になる。

ライティア : 「……悪いわね。サリュ、任せるわ。わたくしは、周りの奴らをとりあえず足止めする。リコリスを逃がすために」


そうしてライティアが見据えるのは、集団の中に見える2つの影。明らかに、他の者と一線を画す実力者であることが見て取れた。

一方の影は一際大きく、巨大な盾を掲げている。ガチャガチャと鳴る金属音は、白装束の下に重厚な全身鎧の存在を示している。

もう一方の影は小さく、まるで影のように朧気だ。重さを感じさせない歩みは、歴戦の戦士を思わせた。

その二人を前にして、サリュは一歩も引くつもりはないようだ。


サリュ : 「お任せを。……30秒、いえ、1分はもたせます。

アル : 「僕も手伝います……! 僕が、僕が頑張ればサリュさんが救えるなら……!」

サリュ : 「……アル様。お逃げ下さい。貴方では、それこそ犬死にもいいところでしょう……私も、そうかもしれませんけれど」

ライティア : 「……そうよ、犬。貴方がここにいても、正直何の役にも立たないわ」

アル : 「で、でも……うぅ……じゃあ、僕はどうすれば……」

サリュ : 「逃げて。逃げて、リコリス様の。皆さまの下へ」

アル : 左腕に巻いたブレスレットを指でなぞって「……分かりました。絶対、絶対後で会いましょうね!」

サリュ : それにはにこり、と微笑んで「……いいえ、お別れです。短い間ですが、お世話になりました」

アル : 「………………サリュさんと会えて、本当に楽しかったです……!」ぺこり、と頭を下げてそのまま踵を返します。……振り返ることは、しません。

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▼ソレル/サンルーム(リコリス)

GM : 最後は、ソレルさんですね。一応、合間合間で食堂組と情報共有出来てましたが、どうしますか?

ソレル : そわそわしてます。外のうごめいてるの、近づいてこないかな……「リコリス、リコリスは、逃げないとダメだよ」

リコリス : 「…………みんなは? みんなと一緒じゃないと、逃げない」

ソレル : 「えっ」

リコリス : 「オーウェン先生とライティアは、僕がいてもきっと足手まといだ。でも、皆となら、僕も足手まといじゃないだろ!?」

ソレル : 「みんなも、逃げるよ。だって、友達だもん」

リコリス : 「……なら、いこう」

ソレル : 「私だって、諦めたりしないよ。ルフラン様の声も聞こえたし。だから、とりあえず向こうに行こう?」とロビーへの廊下を指し示します。

リコリス : 「……っ」一瞬ためらう。正直、素直についてくるかは怪しいところです。

ソレル : 「……ごめん」当身をして、ハンサと一緒にライティアの部屋の方に行くかな。リコリスを連れて。


「……友達みんな、リコリスの無事を願ってるからさ。私、それも諦めたくないんだ」


気絶したリコリスをハンサに乗せて走るソレル。

サリュに見送られ、合流を目指すアル。

そうして、4人が一所に集まる。

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