奇々怪々歴史譚(ききかいかいれきしばなし)

冷門 風之助 

プロローグ

 最初に断っておく。俺は基本的には無神論者だし、タイムスリップ、輪廻転生、心霊現象等といった超常現象の類は一切信じていない。

 私立探偵というものは、自分の目で見、自分の耳で聴き、鼻で嗅ぎ、時には舌で舐め、そして自分で歩いて調べるという、五感等で感じ取ったものを第一とするべきであり、奇想天外なものはまやかしだと思っている。


 しかし、これから記す出来事は、間違いなくこの俺、乾宗十郎いぬい・そうじゅうろうが体験したことで、つまりは事実なのである。

 これを読んだ諸君らが、

”あいつもヤキが回ったか”なんて白眼視されたくないからな。

 だから先にこうして断っておいたわけである。

 また、これから記すことには、ある歴史的事象と、歴史的人物が大いに関係しているが、それが史実と合致していないからといって、文句を言ったりしないように。

 

 いや、前置きが長くなったな。

 では、とりあえず話を進めるとしよう。

 あれは、そう、今から四年ほど前の12月の事だった。

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