第44話 1、2、3での足がくせー。
『全部食った!!!!』『さ、佐野さんっ!!』『カツオ!!やったぁ!!』
勝者、只野カツオ。
佐野さんは、どうやら辛いものが苦手らしく半分でギブアップ。
・・・辛いもの大好きなあたしが挑めば、勝てたかもしれない。
『煌太!!これであたしとカツオの交際に文句言わないでよねっ!!』『・・・只野さん。』『煌太・・・グッジョブ。』『うるせー!!話の腰を折るなっ!!』
親指曲がり過ぎだし。
汗の掻き方尋常じゃねーし。
・・・やっぱ足くせーし。
『美香さん、本当にカツオの叩きでいいんですか!?』『安部さん、カツオはとても優しいの。見てくれは下の下で10秒見つめたら吐き気をもよおすほどほどだけど、ほんとうに優しいの。』
下の下で、10秒見つめたら吐き気する程酷いのに、優しさの方が勝ると言う。
ほう・・・。興味深い。
『カツオが優しい・・・、例えば?』『欲しい者があったら「買っていいよ」って言ってくれるの。』『それは美香さんのお金だからじゃ・・・。』『他にもね、絶対浮気とかしないの!!』『いやいや(笑)出来ねーだけだから。』『安部さん!!』『はい、すみません・・・。』
結果。
ま、いんじゃね!?バカップルって事で。美香さんがしっかりしてればカツオも紐としてそれなりに頑張ると思うし。
後は、佐野さんの判断に任せるしかない。
『佐野さん、どうするんですか!?』『どうするもこうするも、認めるしかねーだろっ!!』『ですよね・・・。』『ただ!交際を認めただけであって、結婚は認めないからなっ!!』『え!?だって、美香たん妊娠してるのに?』『あ、こら!カツオ!!』
『え?内緒だったの!?』
に・ん・し・ん。妊娠。
美女と猛獣の子供・・・、いやいや!それよりも佐野さんが心ぱ・・・
『安部。』『どうしました佐野さんっ!!』『店長から包丁借りてきてくれ。』『え!?』
「マジでカツオの叩きにしてくれるわーーーーっ!!!!」
佐野煌太、ついに壊れる。
そんな、春の訪れ・・・。
『に、妊娠っ!?美香がっ・・・妊娠っ!?』『安定期に入ってから話そうと思ってたのに。カツオの早とちり。』『めんごめんご!!って事で、煌太。結婚認めてちょ。』『あ、店長!包丁追加で・・・って、佐野さんっ!?』『き、救急車・・・。』
佐野さん、ついに倒れる。
そりゃそうだ。
あたしですら未だに鳥肌が止まらない。
それくらい、只野カツオは勇ましく、図々しく、足がくせー。
『だ、大丈夫ですかっ!?佐野さん!!』『今日はもう帰る。安部、行くぞ。』『あ、はい。』『煌太!美桜!しっかりやれよ!!』『カツオ、はよ賞味期限過ぎ去れ。ドアホ。』
こうして、運転もままならない佐野さんを後部座席に乗せ、あたしは初めて佐野さんの車を運転。
か細い佐野ナビゲーターによって、佐野さんが住んでいるマンションに到着した。
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