第73話:子供の不安
「ブルーノさん、ここは大丈夫なのですか。
何も気にせずに今まで通りの生活ができていますが、この領地には魔獣や亜竜が襲ってきたりしていないのですか」
この世界の神による天罰宣言から一カ月が経った。
孤児院は全くモンスターの影響を受けることなく平穏無事だった。
ミュンが何かしているのでしょという表情で聞いてきた。
まあ、確かに、俺が事前に魔獣や亜竜を狩っている。
そんな風にして魔獣や亜竜を狩って手に入れた魔宝石や魔晶石のお陰で、大陸各地に新たな分身や使い魔を送り出すことができている。
「まあ、そうだね、俺が防衛線を築いているからね。
そこから外に出たら何が起こるか分からない。
領地の外は確実に護ってやれるとは言い切れなくなるね」
側で聞いていた孤児達が驚きの表情をしている。
俺が強い事は冒険者達から聞いて孤児達も知っている。
年長組は練習相手をしてやっているから身に染みて知っている。
だがそれはあくまでも人間基準での事だ。
人族を滅ぼそうとして神が放った、桁外れに強い上級魔獣や亜竜にも勝てるとは、想像していなかったのだろう。
「いいかい、よく聞いておくんだよ。
絶対に孤児院の敷地から出てはいけないよ
孤児院の敷地の中にいる限り、属性竜や純血竜が襲ってきても大丈夫だから」
いくつもの防衛線を築いているが、最終防衛線の前に城壁を濠を築いている。
その中にいる限りは、龍種でもなければ大丈夫だ。
濠と城壁には強力な防御魔法陣を描いてある。
その防御魔法陣は俺の魔力と連動しているから、俺の魔力を上回らなければ絶対に突破できないのだ。
「じゃあ、じゃあ、じゃあ、まだ畑に行っても大丈夫なの」
「鶏さんや兎さんの所に行っても大丈夫なの」
「運動場で遊んでもいいの」
「孤児院の中にずっといなくてもいいの」
子供達から一斉に質問が飛んできた。
孤児達の中には、孤児院の建物から出られないという噂があったようだ。
子供達は想像力が逞しいからな。
丈夫な建物の中なら大丈夫だが、庭や畑や牧場は危険だと思ったようだ。
確かに建物の方が安全だが、今はまだ敷地内なら大丈夫だと思う。
「ああ、敷地内なら大丈夫だよ。
濠と城壁に守られているから、魔獣も亜竜も入ってこられないよ」
「お空は、お空は大丈夫なの」
「鳥のようにお空は飛ぶ魔獣や亜竜はいないの」
子供達は結構賢いな。
空からの襲撃を不安に思っているのだ。
建物なら屋根があるから安心だが、畑や庭や牧場には屋根がないからな。
「大丈夫だ、何の心配もいらない。
空には魔法陣が常時展開してあるから、魔獣も亜竜も弾いてくれるよ」
なんだ、何か巨大な存在が近づいてきているぞ。
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