第15話:領主救助
拷問を受けたトマスが、セシル城伯家の裏切者を全員自白した事で、ダンジョン本丸に逃げ込んだ領主派の中に紛れていた裏切者が分かった。
その場で領主派に取り押さえられ、魔術で全て自白させられた。
エクセター侯爵が送り込んできた援軍も幹部から順に自白させたことで、エクセター侯爵がトマスに内緒にしていた、セシル城伯家に入り込んでいた密偵の存在まで明らかになったが、そいつらはトマスが自白を始めると同時に逃げ出していた。
問題はエクセター侯爵が家臣にすら教えていない密偵の存在だが……
「城伯閣下、直ぐにお助けさせていただきますぞ、どうかご無事で」
セシル城伯家の筆頭家老が、急いで領主本丸にやって来た。
恐らく領主本丸の結界を解除できるのだろう。
それくらいセシル城伯ウィリアムに信頼されていたのだろう。
問題はエクセター侯爵の最後の切り札である刺客が、一緒に領主私室に入り込んでウィリアムを殺す事だ。
まあ、そんなことができないように、俺がこうして潜んでいるのだが。
「ここから先は誰もついてくるな、私だけが行く。
ついてきたモノはエクセター侯爵の手先と断じ、問答無用で殺す」
流石にウィリアムが全幅の信頼を置き、結界のカギを預けただけはある。
内心では本当に焦っているだろうに、刺客の存在に気をつけている。
あれだけ多くの裏切者が見つかって、中には無事に逃げ出したモノすらいるのに、この期に及んでも残っているだろう刺客に注意を払っている。
だが、哀しいかな忠誠心と実力のバランスがとれていない。
老臣だから仕方がないが、隠形を使って後を付けている刺客に気がついていない。
スゥ~
全く音を立てずに、エクセター侯爵の切札を潰してやった。
最後の最後に使うために送りこんでいた刺客だろう。
それほど見事な隠形だったが、俺を敵に回したのが悪かったな。
もしかしたら、俺がこの領地を離れたスキを狙ったのだろうか。
そうだとしたら、エクセター侯爵の実力を舐める事はできない。
今俺が殺した以上の実力者が、エクセター侯爵を護っているだろう。
ガッターン
「ウッわ、なんだ、こいつは誰だ、私を付けていたのか。
誰だ、誰がこいつを殺した。
お前は敵か味方のどっちだ」
「俺はウィリアムの盟友だ、今回の件を聞いて急ぎ助けに来た。
こいつがエクセター侯爵の最後の刺客だと思うが、俺以上の実力者がいるのなら、まだこの場に刺客が潜んでいるかもしれない。
もしウィリアムがこの状態で生きていけるのなら、結界を解除するかどうかはお前が判断すればいい。
だが、急がなければいけないのなら、俺がここにいるうちに開けた方がいい。
俺はエクセター侯爵を殺しに行かなければいけない」
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