(二)-18

「何を怒っているのよ? あそこであんなことをしたら、勇男がまたいじめられるでしょう!」

 一羽も大きな声で言い返した。

「仕事が終わってから酒を飲んで何が悪いんだよ。上着が魚臭くなって何が悪いんだよ」

「何のことを言っているのよ。とにかくあんたが他人に突っかかるのが悪いのよ。ああ、もう。勇男にとっては思い出作りのチャンスでもあったのに、どうすんのよ!」

 辰巳は「クソッ」と足で道端のガードレールを思いっきり蹴飛ばした。そして、立ち止まっている一羽を置いて、一人で家の方へと歩いて行った。


(続く)

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