(二)-15

「ごめんなさいね、私、普段は魚屋やってるんでね。着ているものが生臭くなっちまうんですよ」

 振り向いて頭をかきながら辰巳はそう苦笑いした。

「まあ、魚屋さん? そんな方のお子さんがどうしてこの学校に通ってらっしゃるの?」

「いえ、うちは代々この近所なんですよ。昔からある第一小学校より、こっちの方が家から近いんで、子どもの安全も考えてこっちに通わせることにしたんです」

「この小学校は近所に建てられたマンションの住人のために、数年前に開校したばかりの学校なんですよ。それなのに、あなたのような方がいらっしゃるなんて驚きです」


(続く)

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