私が王国に帰るまで

七森 羽衣

序章

ほろほろと降る、雪の音がする。

窓の外を見れば白い雪に混じって、小さな精霊たちが遊んでいるのが見える。

ふわふわきらきらとする精霊を見つめていると、全ての悩みが吹き飛ぶように感じられる。

世界の中心と呼ばれるこの帝国では、冬は素敵で、美しく、楽しいものだ。


かつて私が生まれ育ったあの王国の冬はただひたすらに、長く、寒く、閉ざされていた。

太陽の国と呼ばれる王国が持ちうる全ての技術を使っても、季節だけはどうにもならなかった。結果王国では冬を憎み、冬の女神は冷遇されていたが、そもそも人が神を越えようとするのが間違いなのだと今ならわかる。

再び窓の外を見れば、精霊たちに混じって、妖精までもが登場していた。ますます賑やかになる外の景色をそっと見ながら部屋の明かりを消す。


私がここに来てから、4年が過ぎようとしていた。

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