おいでませ歴研

わらび

1章 第1話 【出会い】 矢島快人編

何もない真っ白な先の見えない謎の空間にまたは立っていた、目の前には黒くてモヤモヤしてる霧みたいななにかには目らしき物は見当たらないのに本能的にこちらをこちらを見ていると思える、根拠はないがコレは俺だ。

こっちをあざ笑うように口元と思しきところが真っ赤になっており裂けているように見える。


そしていつものように一言俺と同じ声で

「出来損ない」

と吐き捨て面白そうに笑いながら消えていく。

それと同時に俺の意識も混濁してきた。

あぁまた僕に戻るのかと悪態を心の中で吐いていると僕の意識は途絶えた。

『ピーーーー』


頭に響く機械音で僕は目を覚ました。

唸りながら音の発生源を止めるために寝起きでまだ開かない目の代わりに

手探りで発生源を見つける。


数秒前まで恨めしかった機械音の発生源もといスマホを起きている間は手放せないのは不思議でしょうがない。


(いつからだろう自分の事が誰よりも嫌いになったのは?)

と直ぐには出ない答えを考えて意識の覚醒を感じながら、まだ温もりを恋しがっている自分の体から毛布を引っぺがし、重たい瞼を擦りながら冷気が漏れている窓に向かった。


カーテンを開けて空から指す光を不意に浴びて顔を歪ませ、歯を磨いて顔を洗って机の上に置いてある置手紙には目もくれず上に置いてある1000円札をつかんで財布に入た。


矢島 快人やじま かいと〉と顔写真入りの学生証を鞄に突っ込み、あくびをしながら制服に着替えた後にだらだら朝の情報番組を見ながら朝食の卵かけご飯を掻き込んで家を出る。



マンションから出ると日はとっくに登っていた、僕はこの瞬間が好きだ。周りには人がちらほら歩いている。

ここを歩くのも何回目かなと考えながら駅へと歩き20分程歩いて駅に着いた。駅に着くとお気に入りのアーティストの曲を聴きながら電車に乗りドアの横に寄り掛かる、座っていると寝過ごすからだ。

学校の最寄り駅で降りると、周りには同じ制服を着た男女が複数人散らばって歩いている。

あまり目立たないようにスマホをいじりながら教室に入り、席に着き一息ついてから今日の昼飯は何処で食べようと考えながらカバンから昨日発売の『転生したら軽トラだった件』を読みながら、HRまでの時間をつぶそうとした矢先、大して仲良くないクラスメイトから「矢島宿題見せて!」と言わて冷や汗をかいたが5分かけてうまく乗り切った、妙な意地を張ってしまったが実は忘れてたとは言えなかった。予鈴が鳴り退屈な授業を淡々と過ごして、6限目にあった体育のマラソンで絶妙に死にかけてクタクタになりながら部室に向かった。僕が通ってる学校は珍しく校舎の裏に小さい裏山と呼ばれる山がある、以前はそこにあった旧校舎で授業を行っていたのだが、利便性が終わっている為昨年待望の新校舎が建設され現在の校舎がある。大抵の部活は新校舎に移設されたが、うちの部活は特殊な理由で移転を断られた、と言うか断った。体育でいい具合に死にかけてる足に鞭を打ちその山に足を運ぶ。以前数少ない友人に真顔で「壊れかけのペ〇パー君より遅い」と良くわからない事を言われるくらいだから、もちろん運動部ではない。軽い登山を終え目に入った旧校舎の外見はボロいとも新しくも見えない木造建てのザ・旧校舎だ、コンクリート造りの新校舎とは違い秘密基地感があって自分の中では実は結構お気に入りだったりする、部室は旧校舎の3階立てのうち3階の一番右の空き部屋だ。

まぁ全て空き部屋なのだがうちの部長が「空き部屋は部屋が可哀想」と買って来た本と本棚で教室をを埋め尽くして一部屋一部屋が書庫のようになっており、幸い先ほど言った部屋だけが生徒用の机と椅子がかろうじて6脚入るくらいの空間が存在してる為そこを部室としている。部長が校舎中の部屋を魔改造した後に「ここは今日から書庫よ!」と明言、もとい勝手に言い始めたので部員は皆書庫と呼んでいる。校舎に入り靴を履き替える必要が無い為下駄箱を通り過ぎて軋む階段を上がると。踊り場に横長の鏡が掛けてある。鏡に映る自分を数秒睨み付けた後、背を向けて再び階段を上る、鏡は嫌いだ。部室前に着くとスライドタイプのドアには〔歴史研究会〕と達筆な字で書かれている、恐らく例の部長は先に来てるはずだと一瞬考えてドアを開ける。中は少し薄暗くやはり本だらけだ、前より増えている気がするがもう気にしない。一刻も早くこの程よく死にかけてる足を休ませたいので、中央の空間に向かった。

そこにはこの部室を魔改造し書庫と呼んでいる張本人が座っていた。長い黒髪の似合う整った顔をしている平たく言えば美人と言うやつだ、まだこちらに気付いていないみたいだ。 〈秦道 茜しんどう あかね〉文武両道、才色兼備、今どきの女子高生が欲しているものを殆ど網羅している秀才だ、違うクラスの俺の耳にも彼女の噂は流れてくる、非公認ファンクラブが設立された程には人気である。更に知らない人間の方が少ない秦道財閥の令嬢である、実はあいつとは小学生の頃からの付き合いだが当時はそんなぶっ飛んだアニメみたいな金持ちじゃ無かった、ぶっちゃけ最初話を聞いたときはバカな冗談かと思っていたが、入学当時に廊下で書庫に本を運び入れてた時に同じく本を運び入れてる執事と棚を二人掛かりで運んでる黒服と廊下ですれ違って会釈されて信じざるを得なくなった。最近女子の間ではあいつが人気のあるイケメンの茶道部所属の先輩を振った事で話は持ちきりだだった。日本有数の財閥の令嬢ともなれば寄って来る奴はかなりの数いるのだが、あいつの場合他人と殆ど会話をしないため漂うミステリアスな雰囲気も彼女にファンができる原因でもある。実際の所昔は明るかったが父親が再婚してからこうなってしまったがまぁ実際の所ただの人嫌いだ。で そんな彼女は、片手で本を読みながら何処からか調達したかわからないケトルとティーセットを使って優雅に紅茶と茶菓子でティータイムを満喫していた。マジでどこから持って来たんだあのケトル。そして彼女をガン見していた事に気付いたのかこちらを爽やかな笑顔で見ながら透き通る様な声でこう言った。「あら? 蛙の皮を顔に投げつけられてる様な視線を感じたと思ったらバ快人じゃない、何しに来たの?また私を頭の中でどうこうしてたの?人様のなにがしにとやかく言うつもりはないけれど、流石に本人の前でそれは関心しないわね。」と顔からは想像ができない罵声を出会って数秒で吐かれた。先程彼女は他人と殆ど会話をしないと言ったが例外が一つだけある。僕を罵る時だけ饒舌になるのである、そう彼女こそが壊れかけのぺ〇パーくんのあだ名を付けた張本人だ。多分日頃の鬱憤を晴らすついでに詰られてるのだろう。「おい開口一番にどぎつい罵倒を突っ込んでくるな、第一僕はまたどころか一度たりともお前を頭の中でどうこうしたことなんてない。人を拗らせすぎた変態みたいに言うな!」「落着きなさいバ快人そんなんだから柔らか銀行が作ったロボットが壊れる直前みたいな挙動になるのよ。あとあまり近づかないでね、馬鹿と百合豚と変態が移ったら嫌だから。」「素直にソフ〇バンクって言えよ、あと壊れかけのペ〇パー君みたいな挙動ってなんだよ?さらにバカも百合豚も移ってたまるか!あと僕百合豚じゃないし変態でもない。」「あら?じゃあ私がたまたま買って来てたまたま貴方が買えなかった、百合小説の新刊を貸してあげたらを鼻息を荒くしながらブヒブヒ言いながら読んでいた貴方は幻だったのかしら?」

「ブヒブヒなんて言ってねぇよ!」

「そうだった気もするわね」

「嘘偽りのない事実だ、事実の捏造は現代ではウケないぞ。」そう言えば秦道から借りた小説にこんなやり取りがあったな。

「おい秦道、言葉の暴力って知ってるか?」秦道は一瞬考えた後に「だったら言葉の警察を連れてきなさいよ」微笑みながら言い返してきた、読んだ本の内容を覚えてるのか、こいつは。

などとあらかじめ台本でもあるかの様なやり取りがひと段落着くと、部活とは名ばかりのだらだら雑談をして夕方まで過ごした。今日の授業の事だったり、他愛もない話だ。何だかんだ言って秦道とは付き合いが長いので山の麓まで部活買えりに一緒に帰ったりもする。秦道と別れて家に帰る途中にコンビニに寄って弁当を買った、あれ?なんかこの弁当軽くなってる気がする。玄関を開け、誰もいないはずなのに「ただいま」と一人でつぶやき。そのままコンビニで買った上げ底がされてる弁当を食べて、風呂に入りベットに直行して寝る……

俺は何も無い真っ白な部屋に立っている。目の前にはまた俺らしきものが今度は座っていた。そして見知らぬ金色の髪を持つ女の子が俺の足元に横たわっていた……いつもは一人の筈なのに見覚えの無い少女が横たわっている、体から変な汗が滲んできているのが分かる、黙ってても埒が開かないと思い少女の意識を確認をするために少女をゆすった、夢じゃなければ逮捕案件だったな。暫くすると少女は眠たそうに瞼を擦りながら「んぁ」と言語化に失敗した言葉を発した後にこっちをボーッと見ている。取り敢えずは今一番気になっている事を少女に聞いてみる。「誰だ?」少女はこちらを数秒見た後にやはり眠たそうにこう言った「加奈かな」と一言発した後にまた寝始めた。そしていつもなら何か言ってくるあいつは俺に何も言わずにただじっと見たままだ。そして俺は意識が途絶えた。

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