理不尽
「この世は理不尽だ」
誰かが言った
そうだよ
その通りだ
でも、それでも足掻いて這い上がるしかない
まるでそれは
モノクロ映画を遠くから観ているようだった
自分には関係ない
理不尽なのは初めからわかっている
その中で生きていかなければならない
差別をされた
暴言を吐かれた
暴力を振るわれた
尊厳を踏みにじられた
壊された
追い詰められた
何もかもを奪われた
心を殺した
そんなことを私にした人間たちは
一丁前に幸せになり親になる
ぞっとした
そして再び思い知らされた
この世は理不尽であると
でも、それは今はどうでもいいことだ
どんなに尊厳を踏みにじられようとも
私はやり返さなかった
復讐も考えなかった
そんなことをしても何も戻らない
被害者ぶれば私は情状酌量は認められる
でも、その先を考えると虚しいだけだった
悪いことは巡り巡って本人に帰ってくる
それも私は知っている
たとえ、今幸せでも
そいつらには過去に不幸があったかもしれない
これから不幸があるかもしれない
それは私にもあいつらにもわからない
でも、悪いことをすれば必ず報いを受ける
だからこそ、あいつらを
どうこうする気は全く起きなかった
いつか来る報いをそんなことに使いたくはなかった
そんなことを知らない
幸せな頭をしたあいつらは
「この世は理不尽だ!」と
大声を出して嘆くのだろう
確かに理不尽だ
しかし、それはいつかの報いなのかもしれない
それを努々忘れるな
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