202010 ジャパロボ 4

渋谷かな

第1話 ジャパロボ4

「出ないよ。だって私のジャパロボは、今朝、令和ちゃんが壊したもの。」

「ええー!? 私の性ですか!?」

「zzz。」

「いちいち寝るな!」

 人命救助をしていて事故でジャパロボは壊れてしまった。

「さとみちゃんなら自衛隊から新型機が届くんじゃない?」

「そんなことないでしょう? だって私はただの女子高生だもの。」

「でも、さとみちゃんのお母さんの祐奈さんも女子高生でジャパロボのパイロットになったのよね?」

「はい。そうです。」

「令和ちゃん、お母さんって、どうやってジャパロボのパイロットになったの?」

「私も知りたい! マンダムみたいに基地に潜入して強奪したの!?」

 二人の女子高生は興味津々である。

「我が一族のデータによりますと、寝ぼけていた祐奈さんがトイレと間違えてジャパロボのコクピットに乗り込んだとあります。その時、不幸にも我がご先祖のAI明治天皇が取り付けられていたと記録があります。」

 恐るべし、祐奈伝説。

「お母さんなら、やりかねないわ!?」

「マジ! さとみちゃんのお母さんリスペクトだわ!」

 困った女子高生たち。

「キャアアアアアアー!」

 その時、突風が吹き荒れる。

「臨時ニュースです! 日本上空で台風が発生しました! 生徒の皆さんは物にしがみついて飛ばされないで下さい!」

「マジか!?」

 イマドキの台風は日本の領土の上空で発生する時代になった。

「大丈夫!? さとみちゃん・・・・・・がいない!?」

「あそこ!? さとみちゃんは寝ていたから台風の発生に気づいていないんだわ!?」

「zzz。」

 台風が来ても眠り続けるさとみ。さすが眠り姫祐奈の遺伝子を引き継ぐ者である。


「ふわ~! よく寝た! そろそろデザートの時間ですか? あれ? ここはどこだ?」

 目覚めたさとみは風の中にいた。

「私は風の精霊シルフィード。」

「風の精霊?」

「そうです。今、この世界に危機が訪れようとしています。」

「zzz。」

「こらー! 寝るな!」

「すいません。お約束なので。」

「あなたに私の風の力を与えます。どうか、この滅びゆく世界を救ってください。」

「私になんか無理よ!? ただでさえ最強のお母さんと優秀なお姉ちゃんと比べられて、私なんて最低だって、みんなに思われているんだもの。」

 実はさとみは二世タレントとしての悩みを抱えていた。優秀な母親と姉と比べらて傷ついていたのだった。

「私の力を宿したジャパロボを与えます。この風を操る機体で覆しなさい。他人が勝手に決めたあなたを。そして、あなたが勝手に作った高い壁を。風を手にしたあなたは自由に飛べるのだから。」

「私は自由・・・・・・私でもやればできるの? でも、やってみないと分からないはずだ・・・・・・。いや、私もやればできる子になれるはずだ! 私はやれる子になってみせる!」

 さとみは新しいジャパロボを手に入れた。

 つづく。

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