突き抜ける青空(15分間でカクヨムバトル)

春嵐

01

「振られたんだって?」


 友だち。口々にそう言いながら、大挙して囲んでくる。


「うん。全然だめだった」


 うそ、だった。


「うそでしょ。あなたのこと振るなんて。許せない。きがいをくわえてやる」


 みたいなことを、友だちが全員奮り立って騒いでいる。


「ううん。大丈夫。大丈夫だから。相手のほうにもわるいから、そっとしておいてくれると嬉しい、かな?」


 一応釘は刺しておくけども。たぶん、この囲んでいる友だちのほとんどは彼のところに大挙して押し寄せるだろう。


 ごめん。


 わたしでは止められないんだ、この友だちの群れは。この子達はわたしのことが好きなんじゃなくて、わたしと友だちでいるっていう、そのステータスが好きなんだ。わたしのことなんて。わたしの気持ちなんて。どうでもいいんだ。この子達は。


 友だちが大挙してどこかに、というか、彼のところに行って。


 わたしは一人残される。


 窓の外を眺めた。


 突き抜けるような青空。


「綺麗だな」


 この空のように。晴れ晴れとした、失恋だった。




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