相乗効果
発明家の友人の家に上がった青年は、度肝を抜かれてしまった。壁の表面を、沢山の小さな何かが動き回っていたからだ。一瞬虫かと思ったが、その動きに角のあるさまは無機物を連想させ、よく見るとその表面は光沢のある金属のようだった。
「壁のあれはなんだい」
友人は誇らしげに答えた。
「家の修理ロボットさ。今彼らは家を隅々まで検査し、弱い部分を探し出すと同時に修繕を行っているのさ」
「それはすごい」
「それだけじゃない。屋根裏の虫だって駆除してくれる」
「そんなことまでしてくれるのか」
その時、青年の足元に壁の表面を動き回っていたロボットの一台が駆け寄ってきた。そして青年の体に乗り移り、器用にその上を動き始めた。振り払おうとする青年に構わずロボットはその体にへばりつき、青年の指の間、足の裏と接着剤をつけまくり、柱のようにその体を固定してしまった。青年が驚きの声をあげると、その顔めがけて嫌な臭いのするスプレー吹きかけた。ロボットは気を失った青年を確認すると、また壁の表面を駆け回り始めた。
青年の友人は感嘆とした様子で呟いた。
「なんと。防犯の役割もしてくれるとは。最高のロボットができたぞ」
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