灰色の星
その惑星は、どこから見ても岩だらけで灰色の星だった。広大な宇宙空間をたったひとりで自転する様子は、優雅なようであり、寂しげなようでもあった。
宇宙を見渡せばどこにでもありそうな惑星だが、実はとても変わった惑星だった。なぜなら、その惑星の内側は空洞になっており、その中心には眩しく輝く暖かい球体があるのだ。さらに内側から外側にかけて重力がはたらいているため、その惑星の内壁が地面となり、木が生え、川が流れ、生き物たちが住んでいた。
その生き物の中に、高い文明を持つ者があった。その生き物は文明を発達させながら数を増やしていたが、ある日、巨大隕石が近づいてきていることを文明の力で知ることができた。それを知ったその生き物たちは大混乱に陥った。そんな中、その生き物たちは脱出するべく用意されたたくさんのロケットに我先にと乗り込み、たくさんのその生き物を乗せたロケットは、空高く飛び立った。
高い知能を持つその生き物の中でも権力を持つ数体は、飛び立つロケットを眺めながらこんなことを話していた。
「宇宙船には多くても数十人までしか乗れない。しょうがないのだ。しかし、本当に彼らは知らないんだな。宇宙が地面の下にあることを」
「そりゃあそうだろう。どのメディアでもそう報道しているんだ。アポロ何号が月に着陸したとか、大気圏は高度何メートルからとか、メディアで報道すれば人々は自分の目でそれを見たかのように思い込むのだからな」
「恐ろしいよ」
彼らは会話を終えると、ロケットをひっくり返したような形の乗り物に乗り込んだ。その乗り物はやがて、ゆっくりと地中深くへ潜っていった。
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