第246話 おっさん、村に辿り着く
俺は木々を飛び移って、集団を追い越した。
そして、ジャスミン達に追いついた。
「集団が迫っているぞ」
「こちらも集団で迎え撃ちましょう」
「駄目だ、聖杭には敵わない」
「僕とリネットが残るよ」
セドリックがそう申し出た。
どいつもこいつも死にたがりだな。
「強奪した聖杭を埋めるぞ。埋めれば移動力が上がる」
「そうね。私達が散っても強奪した聖杭は渡せないわ」
俺達は聖杭を埋めて、目印として石を置いた。
それにジャスミンの血を数滴垂らした。
ペット用の電波が出る首輪を置いて枯れ葉を掛ける。
これで良いだろう。
さて、奴らを殺す算段をしないといけない。
トラップは仕掛けるとして、何か有効な手立てはないか。
動物のヴァンパイヤを作ろうかとも考えたが、ヴァンプニウム入れてから1時間は経たないとヴァンパイヤにならない。
それでは間に合わない。
考えるんだ。
木を隠すなら森の中。
魔力を隠すなら魔力の中だ。
俺は魔石に魔力を充填すると、粉々に砕いて地表に撒いた。
そこに針のような俺の分身を至る所に置く。
よし、仕掛けはこれで良い。
「隠れるぞ」
俺達は枯れ葉を被って隠れた。
「ふふっ、もぐらになった気分」
アニータは能天気だな。
四人組が魔石の粉が散らばった所にやって来た。
俺の分身の針が四人に刺さる。
聖杭を乱射するが、魔石の粉に邪魔されて針を迎撃できない。
針は体に食い込んで増殖し始めた。
そして、四人は昏倒した。
「上手くいったぞ」
俺は立ち上がると聖杭を回収して、四人に止めを刺した。
「これで一安心ね」
「そうだと良いが。この後はどうするか。それより何であいつらは、俺達を的確に追って来られるんだ」
「ええと足跡ではないでしょうか」
リネットがためらいがちに言った。
分かっているなら言えば良いのに。
「痕跡を消せないのか」
「無理じゃないかと」
そうだよな一歩あるく毎に足跡を消していたら物凄く時間が掛かる。
そう言えば刑事ドラマで鑑識さんが、靴にビニールのカバーを履かせていたような。
靴を何かで覆えば足跡が残りづらくなる。
それよりももっと良い手がある浮遊の靴だ。
だが、これを出すと出所を説明できない。
ジャスミンとアニータは良いが、セドリックとリネットは不味い。
いいや、珍しいドロップ品だと言えば構わないだろう。
「浮遊の靴だ。ダンジョンでの珍しいドロップ品だ」
「反則ですね。これがあれば追跡は怖くありません」
「よし、急ぐぞ」
俺達は浮遊の靴を履いて、追跡を振り切った。
そして、レイス達の村に、着くことが出来た。
「いらっしゃい」
「やあ、いらっしゃい」
赤ん坊を抱いたジーナとカイルが俺達を迎えてくれた。
「君達の種族名を勝手につけさせて貰った」
「構わないわ。主人なんて村人をゴーストって言ってしまって、気分を害した事もあるんです」
「だって、ゴーストにしか見えないだろう」
「君達の種族はレイスだ」
「良いわね。ゴーストよりましだわ」
「子供さんは大きくなったね」
「ええ、少しやんちゃで、誰構わず魔力を吸おうとするんです。他の人達に迷惑になるので常に抱いています」
「幸せそうで良かったわ」
「赤ちゃん可愛い」
「聖杭を大量に入手して、今、森に埋めてあるんだ。取りに行きたいが、敵が手ごわい」
「私達が力を貸しましょうか」
「出来るなら頼む」
「あなたキャロルをお願い」
驚いた事にジーナが聖杭に戻った。
その状態に戻れるのか。
「おぎゃあ、おぎゃあ」
「ジーナ、赤ん坊が泣いてるわよ」
ジーナが再び半透明の人間の姿に戻る。
「よしよし、大丈夫だから、どこにも行かないわ」
ジーナは赤ん坊をあやした。
他の人に協力してもらうとして。
相打ちになるのは避けたい。
こうなったら赤外線ゴーグルで夜戦だな。
「レイスの村で夕暮れまで待機だ。暇つぶしにリバーシをしよう」
「これ面白い」
アニータは気に入ったみたいだ。
セドリックとリネットはレイス達にリバーシを挑んでいた。
楽しい時間は過ぎるのも早い。
空が真っ赤に染まる。
俺達は赤外線ゴーグルを装備。
レイス達が変身した聖杭を手に持った。
さあ、狩りの時間だ。
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