第245話 おっさん、迎撃する

「聖杭強奪犯め。許さんぞ」


 追っ手達が馬上で聖杭を構える。

 距離を置いて構えたという事は改良型か。

 不味い。

 三人も改良型がいれば死ねる。


 俺は馬の脚に向かって鉄アレイを次々に投げた。

 落馬してくれ頼む。

 結果は相打ちというか負けた。


 鉄アレイは空中で迎撃されたのだ。

 不味い。

 俺はありったけのクロロホルムをアイテムボックスから出して、ばら撒き逃げた。

 後ろを振り返る。

 嗅ぎ慣れない匂いに追っ手の馬が躊躇していたのが見えた。

 やった。

 やったが先は暗い。

 改良型を沢山持って来られたら苦戦必至だ。

 自動照準さえ無ければ、楽勝なんだがな。

 レイスの感知能力と言えば魔力なんだろな。


 だが鉄アレイに魔力なんてないぞ。

 手に持った時点で魔力が染み込むとしたら、難題だな。

 打つ手がない。


 ああ、敵がレーザーみたいな物で来るのなら、こっちもレーザーでいけば良かったんだ。


 俺はスクーターのアクセルを目一杯吹かして、ジャスミン達を追いかけた。

 10分ほどで追いついたが、ここいらでもう一戦しよう。


「聖杭の改良版を持って追っ手が来る。先に行ってくれ」

「この先に森があるわ。そこで待っている」


 俺は魔力通販でレーザーポインターを買った。

 それで俺はこの作戦が少し無謀なのに気が付いた。

 馬って正面に目が付いてない。

 くそう良い作戦だと思ったんだけどな。


 しょうがないクロロホルムで遅延させるか。

 属性魔導を使いクロロホルムを量産して、空中に散布した。


 森でジャスミン達に追いついた。

 ここから徒歩で森に入るのは良いが、追っ手を仕留められるだろうか。


 戦闘の邪魔なのでジャスミン達を先に行かす。

 ピアノ線を木を使い張り巡らす。

 こんなのでは仕留められないよな。


 だが、人間ならレーザーポインターが使える。


 俺は追っ手を待った。

 追っ手がレーザーポインターで狙える位置に来た。

 俺は目を狙った。

 良い子は絶対に真似してはいけないぞ。

 だが、聖杭からお返しに魔力のビームが飛んできて俺の体を貫いた。

 相打ちか。

 だが、一人は追えなくなった。


 相打ち戦術で一人また一人と行動不能にしていく。

 止めを刺すほど近寄れないのもこの作戦が駄目な点だな。

 足止めがせいぜいだ。


 起死回生の手段を考えないと。

 後続は犬を連れて来ると思われる。

 なかなかに難しい局面だ。


 そうだ、魔力回路で地雷を作ろう。

 いや駄目だ。

 聖杭は魔力を見逃さない。

 トラばさみならいけるかもな。


 追っ手が追い付く頃には、魔力も抜けているから、聖杭は反応しないはずだ。

 魔力通販でトラばさみを買って仕掛けた。


 森での戦闘に慣れていればこんなのには引っ掛からないよな。

 手榴弾も買えるが、投げたら空中で迎撃されるだろう。

 ピアノ線と組み合わせてブービートラップかな。


 まあ、やるだけやってみよう。


 トラップを仕掛け森の奥に入る。

 しばらくして爆発音がした。

 ブービートラップに引っ掛かったらしい。


 でもこれも嫌がらせ程度だな。

 待てよレーザーって散弾を迎撃出来るのかな。

 ヴァンパイヤの力でパチンコ玉を一掴み投げたらどうだろう。


 やってみるか。

 追いついて来た追っ手にパチンコ玉を投げる。


「ぐがっ」


 パンチを食らったぐらいの衝撃はあるようだ。

 聖杭を落とした。

 素早く聖杭を回収して止めを刺す。


 この方法だとこちらの方が早く気づいている事が前提だ。

 ヴァンパイヤの耳が良いのはとても助かる。

 しかし、二人一組で来られたら、ちょっと不味いな。


 聖杭は自動照準と言っても、持ち手が発射の意思がないと迎撃しない。

 そこに攻略のヒントがありそうだ。

 不意打ちに弱いって事だな。


 トラップをしこたま仕掛けて森を進んだ。

 そして、俺は木に登った。

 頭上から襲い掛かる為だ。


 二人組が木の下を通る。

 俺は落下の衝撃で一人を倒すともう一人はパチンコ玉でやっつけた。

 いけるんじゃないか。


 それから何人もその方法で仕留めた。

 しかし、恐れていた事態になった。

 四人が一塊の集団が通過した。

 こいつらは駄目だ。

 だが、追いかけて殺さないと。

 ジャスミン達が危ないと人間の心が言い。

 血を見たいとアンデッドの心が言う。

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