第185話 おっさん、アジトを急襲する
俺は暗殺者をおびき寄せる為に単身で行動する事にした。
街を歩いている時に矢を射かけられる事、5回。
それからは矢が飛んでこなくなった。
学習したんだな。
そして、毒を浴びせ掛けられる事、3回。
毒はアルリー産の解毒ポーションを飲んで対処した。
そして様々なスキルでの攻撃が始まった。
魔力壁を突破するようなスキルはないらしい。
ダンジョンで出たスキルオーブが一般に一切、出回ってないと思ったら、裏社会に流れていたのか。
たぶん魔導士が殺しの報酬として与えたのだろう。
これは魔導士会の支部会長なら手がかりを知っている可能性があるな。
俺は金属魔導士会のルークを訪ねた。
「リウ暗殺団について教えてほしい」
「教えてやりたいところだが。ほとんど知らない。知っているのは依頼を頼む方法と、報酬にスキルオーブが必ず必要って事だけだ」
「依頼を仲介している奴らは口を割らないだろうな」
「やめてくれ。そんな事をしたら、俺が奴らの標的になっちまう」
ルークに迷惑が掛かるのは避けたいところだ。
「邪魔したな」
「今度からは簡単な案件を持ち込んでくれ。肝が冷えるようなのは願い下げだ」
さて、どこの魔導士会も同じような情報しか出てこないだろうな。
ここはスキル原理主義の手を借りるべきか。
スキル原理主義の連中とトランシーバーで話す。
こんな事もあろうかとトランシーバーを渡しておいて良かった。
元は俺がダイヤモンド魔導士に跡をつけられない為の処置だ。
「もしもし、リウ暗殺団について教えてほしい」
「救世主様、やつらは我らにとって宿敵です。どのような情報でもお教えします」
「じゃあ、アジトを教えてくれ。殴り込みを掛ける」
「判明していますが、守りは堅いですよ」
「大丈夫だ。奴らに10回以上、狙われたがピンピンしてる」
「では、地図を届けさせます」
アジトが判明すればこっちのものだ。
よし、反撃の時間だ。
リウ暗殺団のアジトは閑静な住宅地にあった。
家を塀が取り囲んでいる。
塀の上にはよく見ると針が埋め込んであって、てらてらと黒く光っていた。
毒が塗ってあるんだろうな。
まあ、関係ないんだけどな。
「
塀を分解して穴を開ける。
そこから侵入。
庭には罠が沢山、仕掛けられていた。
舐めんなよ罠の解除で食ってた事もあるんだ。
こんなのには掛からん。
邸宅の壁に穴を開けて、やっぱり侵入。
無言で黒ずくめの暗殺者が出迎えてくれた。
「
暗殺者から火の拘束魔法が飛ぶ。
「暑いんだよ。服が焦げる」
俺は魔法を使っている暗殺者に鉄アレイを投げつけた。
ストライク。
このくらいの距離なら外さん。
暗殺者は鉄アレイを食らって昏倒した。
魔法に集中してボーっとするからだ。
他にも色々なスキルを行使されたが、みんなメイスか鉄アレイの餌食になった。
奥の部屋に踏み込むと知った顔があった。
「やはり、お前が元凶なのだな」
「フレッド、お前の依頼だと分かっていたよ。今は護衛も連れてない。不用心じゃないのか」
「お前ごとき敵ではないわ。
切られるのは魔力壁で平気だが、空気を抜かれるのはやばい。
アイテムボックスから酸素缶を出す。
スポーツの後に吸ったりする奴だ。
クロロホルムを使うから、魔導の空気タンクが役に立たない時の為に用意してある。
酸素缶から空気を吸う。
魔導の竜巻は真空にするほどの威力はないようだ。
だが、竜巻が収まった後に見回すと、フレッドの姿はどこにもなかった。
いたのは竜巻に切り裂かれた暗殺者だけだった。
見境の無い奴だな。
暗殺者ごと俺を殺しにかかるとは。
残党を片付けがてら、家探しをする。
罠付きの金庫を分解して、見つかったのは依頼書と地図だった。
これは本拠地の地図か。
どうやら奴らは定期的に本拠地を変えるらしい。
地図には日付も入っていた。
こうなったら、毒食わば皿まで。
本拠地を強襲してやるよ。
俺はバイクに乗って颯爽と出撃した。
まさかバイクのスピードに勝てるものなどいないだろう。
報せが行くまでにこっちが襲えるはずだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます