想いを託して
くるとん
いつでも伝えられるコト
世の中には、気持ちを伝える方法が星の数ほど存在する。
例えばお花。もらえると結構うれしかったりする。ちょっと後処理に困るのは内緒だけど。お花には花言葉というものがあって、そのものに意味を持たせることもできる。
ところで、星の数は無限ではない。それと同じように、無限に続く関係というものも存在しない。腐れ縁だっていつかは切れるものだ。
でも、私と
「ねー
修学旅行の帰り道、電車で隣に座っている大樹に、私は声をかける。
大樹とは同じ病院で生まれたのが全ての始まりだった。保育園から高校まで、全部一緒。クラスまで一緒。席替えをしてもだいたい近くの席。家はちょっと遠いけど。
さすがに意識するんだけど、なんだか今さら
「ふーん。」
大樹はあいかわらず
「聞いてる?」
ちょっと
「うん。」
やっぱり
「あっ、やべっ!」
大樹は焦って戻るボタンを連打した。そんな大樹に3つ前の席にいる先生から声が飛ぶ。
「おーい、ちゃんとマナーにしとけよー。」
後ろの席にいる体育の
「もー、こんなときぐらいスマホみるのやめたらー。ほいっと。」
スマホを拾ってあげながら、スマホの画面を確認してみる。軽い興味だったんだけど、大樹からは、「あ」に濁点が付いたような、
「花言葉の一覧?大樹ってこういうの興味あるんだ。」
スマホの画面には、およそ大樹には似つかわしくないサイトが表示されていた。
「い、いいだろ。何見ても。」
明らかに動揺した様子の大樹は、私からスマホを取り返すと、何事もなかったかのように話題を変えてきた。そういう画像とかだったらともかく、そんなに動揺しなくても良いのに。
「それより
そう。そのせいで最近眠れていない。今回のコンクールで上位に入ることができれば、私の
今日は月曜日なので、あと4日しかない。なんとも言えない4日、という期間が私を余計に焦らせている気がする。
「うん、水曜日から公休だよ。金曜日は、部活のころには学校に戻れると思う。大樹も部活あるでしょ?」
しばらくはピアノの先生のお宅に泊まり込み。ちょっと寂しい気持ちもあるけれど、大樹とは「腐れ縁」。あ、もちろん悪縁って意味じゃない。コンクールが終ったらちょっとゆとりができるし、付き合うには良いタイミングかな。
まあ、大樹がどう思ってるのかは知らないけど。
「おー。お祝いの準備しといてやんよ。」
なんかうれしいことを言ってくれた。顔に出すのもあれなので、私は照れ隠しで話題を変えた。何気なく繰り返してきた日常が続いている。
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