夢織り人の館
OZさん
第1話
僕は絵が好きで、よく画廊や美術館に行ます。もっとも難しい抽象画や絵画理論がわかるわけではないので、もっぱら風景画が中心です。絵をみるとき、間近でみる入が多いようですが、僕はタッチがどうのといった技術的なことには関心がないので、少し離れたところから眺めるようにして、気にいった絵をさがすことにしています。そして、気にいった絵がみつかると、少しずつ後に下がりながらみていくんです。
最初目についていた絵筆の跡が、だんだん溶けあっていって、不意に今までバラバラだった絵が一つにまとまる瞬間があるのです。それは、まるで絵の中の世界が現実になったような、絵に描かれている世界と僕がいる世界の、どっちが本物なのかわからなくなるような、そんなふしぎな瞬間です。
もちろん、そんなことはめったにありません。でも、まるで絵の中にひきこまれたようになって、気がつくと何時間も絵の前に立っていたということも、何度かあります。
僕がこれからお話しようと思うのも、ある絵にまつわるそんなふしぎな話です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます