第8話

きっかけはコロナによる自粛期間だった

自粛期間中、子育てや家事で溜まるストレスを発散させるのは電子書籍を読むこと

主に読むのはBL漫画

中学生の頃から異常に惹かれて夢中になっていた

今と違い理解の少ない時代で、世間一般ではオタクと呼ばれ暗いイメージがつきまとっていた

子供を寝かしつけ、久しぶりに読むBL漫画は中学生に読んだ時より高揚感を増していた

コロナ渦中の中、月に2万円も課金することもあった


コロナが一旦落ち着き仕事が再開した矢先、職場で同僚から不倫を打ち明けられた

職場内不倫だった

しかも10歳以上年下の同僚男性を不倫だけでなく買っていたのだ

行為に及ぶごとに金銭を援助する

なぜ彼女が私にそれを打ち明けたのか

今思い返すと、それは仲の良かった彼と私の関係を疑い牽制する為だったのだろう

もう慣れている

自身の性自認とは別で、私はよく女の標的になった

勘違いとしてではなく、それは男性側から教えられる事が多かった

私には一生女友達が出来る事はないと思っていた

正直、男性と話すほうが楽だった

しかし職場不倫を打ち明けられ男友達として心を許していただけに、私と同じくらい年増の女性から金銭の援助を受け体の関係を続けていた彼が気持ち悪くなった

たちまち職場の雰囲気は悪くなり、ほどなく私は職場を去る事になった

彼女はしたたかな女性でまんまと罠にはまったのだか、不思議と彼女に恨みを引きずることはなかった

その理由は彼の女性遍歴を女友達として知っていて、それを伝えたことにより彼らの関係は終了したからだ

悪気があった訳ではない

遊び人の彼は、既婚者の彼女から金銭を貰い体の関係を持ちながらも、別で若い女性たちとも恋愛を謳歌していた

その話は男性脳を持つ私に取っては楽しいただのネタであった

しかし、彼女の執拗な詮索と衝撃的な金銭の援助の話でバラしてしまうこととなる

職場を去るきっかけを他にも作った彼女だが普通の女性だと恨むところ、なぜ恨まないか

それは彼女が好きだからではない 哀れだと思ったからだ

同じ年増女性が年下の男性に恋に落ち、彼女曰く、恋愛体質で恋愛に依存してしまうと

しかし衰えていく見た目、どうやっても若い女性には敵わないのだ

単身赴任の主人を尻目に、子供達か寝静まった自宅に同僚男性を呼び入れ行為に及び、金銭を渡す 健気に夕飯も用意し働いたパート代は全て彼につぎ込んだ それでもなお、若い女性に敵わない しかも私が事実を伝えるまで、クリスマス用の下着まで新調しようとしていたのだ 裏では彼は若い女性のクリスマスプレゼントを何にしようか私に相談をしていたのに

ちなみに彼からプレゼントは一度も貰ったことがないとのこと

職場を去った後、彼女のずっとドキドキしていたいという言葉だけが哀れだと思う気持ちと一緒に脳にこびりついた

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