第392話 392.刺客
<真也>
『オープンガーデン』には色んな店が出店している。
このアトランテ大陸では昔から狩猟に依存していた為、野菜類というのは裕福な貴族が食べる物となっている。
理由は簡単!!
アトランテ大陸の4分の3が魔獣領域に占領され、城壁で囲まれた街の中だけが唯一人間が安全に暮らせる領域となっているからだ。
なので小麦などは貴族などの裕福な者だけが食べれる物となっているよう。
俺達が歩いている前方にも野菜類を売っている店があるよう
野菜にしても野生で繁殖している食べれる植物を採取してきて食べているって感じだ。
地球じゃ見た事も無いような野菜が所狭しと並べられている。
「見た事も無い野菜ばかりだな」
「この世界じゃ殆どの場所が魔獣に占有され、野菜などを栽培する場所が無いのよ。殆どが野生の物を採取して販売しているわ。
小麦などは街の城壁の外の杭で囲った場所で栽培しているみたいね
でも魔獣の暴走で毎年それなりに被害が出ているそうよ」
俺の言葉にアリシャがこの世界の常識を教えてくれる。
その野菜を売る店の横では魔獣の肉の燻製を売っているっぽい!!
店の天井から燻製にした魔獣の体を何体も吊るしていて、お客とやり取りしながら天井から吊るした魔獣の肉を切り取って量り売りっぽい感じで販売している。
「あれは狩った魔獣の体を煙で燻して燻製にした物なのか?」
「そうよ、生肉は日持ちしないから燻製にする事が多いわね。旅をする人達は干し肉を持ち歩く事が一般的ね」
「この世界の食生活ってめちゃめちゃ遅れてるな」
「この世界を占有する魔獣のせいね。それに輪をかけて魔導士達がオーバードライブを使って魔獣を狩りだしてから魔獣が狂暴化して強力な個体が増えた為に魔獣がなかなか狩れなくなって魔獣の肉も最近高くなってしまってたしね」
「そう言えば、ジャクソン家の魔導士の話をした時にアリシャが言ってたな」
「魔獣の影響が無いような城壁の中で野菜とか作る事が出来たらもっと美味しい物が食べれるようになるのかも!!真也新トリステインの城壁の中で人を雇って野菜とか栽培したらどうかした?」
「おうそれ良いかもな!!大量に人を雇って農作物作るのも良いな。そうしたら一気に仕事も増やせそうだ」
俺とアリシャがそんな話していると
「旦那様、ナストレーア王国の首都ナルノアールでもその話是非進めて下さい」
おおおおおお~~
アーネストのナストレーア王国も?
だよな~
アリシャのリトリア王国だけ贔屓する訳にはいかないよな・・
何か俺、ドンドンと仕事増やして自分の首を絞めてるような気がする
『いや!!』
気がするんじゃ無く、絶対にそうなってるな!!
「あ・・あ~一度に全部は出来ないから、アーネスト少しづつな?」
「はい旦那様」
と・・兎に角俺はリトリア王国とナストレーア王国の食糧事情をどうにかしなきゃいけないって事だ・・
そんな俺の方をクララが見て
「ふふっマスター大変ですね」
って俺の耳の後ろから呟いて来る
「俺の出来ない所はクララに頼むけどな」
って俺はクララを巻き込んでみる
「ふふっお任せください。私無しでは生きていけない体にしてさしあげますわマスター」
と意味深に呟いて
「ふっ」
っと俺の項にクララの息が・・・
「ひゃう」
っと思わず変な声を上げてしまう俺
クララワザとやったな・・
何か最近クララに弄ばれてる気がするんだけど・・
エロ爺の人格に体を乗っ取られそうになっている俺は、クララ無しじゃやっていけない体になりつつあるような?
「程々に頼むよ」
とクララにお願いするしか無かった俺だ
言い返す言葉が出ない。
俺達は話しながら市場の様子を調査していると、貸店舗の壁が黒く焦げた店舗が見えて来た。
「あ・あの店舗、東門で捕らえた賊が魔法で攻撃して売上金を奪って逃げた店舗じゃないですか?」
リリスがそう言って黒く焦げた店舗を指さしながら話しかけて来る。
壁が黒く焦げてはいるが営業はやっているよう
40代位のちょっとくすんだ金色の髪をした痩せ型の男性と30代位の金髪の女性の2人が接客をしているのが見える。
怪我は無かったみたいだな
そう思い
「壁が黒く焦げていますが、お怪我は無かったですか?」
と声を掛けてみると
「あ~酷い目に遭ったが、火球が飛んでくる寸前にうちの嫁を庇って床に伏せたから怪我は無かったし、奪われた手さげ金庫も無事戻って来たから実害はなかったよ。
襲撃を受けたお陰で、焦げた壁が目立つのみたいで、客が次から次に入って来て大忙しだ
うちの嫁と襲われて逆にラッキーだったなって話してた所ですよ」
「そうそう襲われたせいで逆に目立って売り上げが上がってびっくりしてるところです」
夫婦で怪我も無くてよかった。
並んでいる商品の中に
『マッチ棒』
『水筒』
の魔道具が有る!!
「もしかしてナストレーア王国のナルノアールから来られたんですか?」
「おお良く解ったねお客さん」
「やっぱり、『マッチ棒』と『水筒』の魔道具を扱ってたんでもしかしてって思ったんですよ」
「おお~この商品が魔道具だって良く解ったな」
「王様達と話しながら『マッチ棒』と『水筒』の付与魔法を作りましたからね~」
「お~あんちゃんが付与魔法作ったのかい若いのに凄いな」
そんな話をしている間にも『マッチ棒』と『水筒』の魔道具が飛ぶように売れてゆくようだ。
安くは無いハズなんだが、ジャクソン家の魔導士達が作った魔道具と比べるとめちゃめちゃ安いからな!!
ジャクソン家の魔導士達が作った使え無さそうな魔道具でさえ金貨10枚から金貨100枚もしてたっていうからな・・
俺は武器屋のおっちゃんと話をしていると
「バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリーー」
っと凄い音がした瞬間
「ドスン」
っと俺の後ろで音がした。
後ろを振り返ると外套を被った男が白目を剥いて倒れていて、男の傍には長さ30センチほどの短剣が転げているのが見える。
そして俺の後ろに居たアーネスト、クララ、リリス、トリア、ナスティア、クリスの6人が手を男に向けているから、倒れている男は6人に一斉に電撃を浴びせられたっぽい?
『俺って暗殺されかけた?』
話に夢中で全然気づかなかったぞ~~~!!
つづく・・
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