第271話 271.夕闇のギルド本部

<真也>


ジェニーを元の世界の東〇大学病院の麗香の個室に送って行った後、俺とアリシャと麗香とクララの5人でリトリア王国のギルド本部へと歩いていた俺達。


ギルドマスターのラグアシェルから伝言の有ったナストレーア王国アンドリュー国王からの依頼の件ので、アンドリュー国王に明日ナルノアール城に出向いて依頼の国防の件を話し合いたい旨を伝えて欲しかったからだ。



直接ナルノアール城に転移して


『こんにちは~』


なんて事は間違っても出来ない!!

リトリア王国のトリステイン城だったら転移部屋があるし城の皆は俺の顔を知ってるからフリーパス


アリシャを嫁にくれるって言ってる位だもんな~

麗香といい、アリシャといい意に沿わない結婚を押し付けられそうになってた2人

放って置けなくて助けちゃったんだよな~


『俺ってそういう運命の下に生まれた?』



それと比べて・・・

ナストレーア王国はまだ敵になるのか、それとも味方になるのかまだ解らない状態なのだから!!

オールデス家に騙されたとはいえ、40万人のナストレーア王国軍をリトリア王国に向けて出兵した国なのだ。そう簡単には信じられない。


もうひもどっぷりと落ちて辺りは真っ暗だけど、トリステインの街の家々から漏れる光が灯っていてネオンとか広告の看板の光の洪水で眩しい東京と比べ、クリスマス時期のイルミネーションみたいで有る意味綺麗だ。


そんな家から漏れる光の中にも獣油で明かりを取っている家の明かりと、魔道具を使用した明かりの違いに驚かされる。


獣油を使った明かりは少し赤みのかかった暗いオレンジ色の光

魔道具を使った光はちょっと黄色みがかった白っぽい明るい光



そんな風景を見て麗香が


「クリスマスのイルミネーションみたいで綺麗~~」

「地球じゃ看板の照明とか自動車のライトでギラギラした景色だもんな」

「都会は明るすぎるのよね。お陰で星も見えないもの」

「そうでしたね~真也の世界は明るすぎますね」


そんな光景を見ながらクララは


「明かりをとれるって事は有る程度裕福なのでしょうね」


と一人だけ感じ方が違っているみたいだ。

「そうだな。夜明かりをとれるって事は有る意味裕福なのかもな」


そんな話をしながらトリステインの街を歩きギルド本部に入ると帰って来たギルド会員の対応で受付けは混んでいた。


前来た時はこんなにも混んでなかったよな?

「だいぶ混んでいるな」

「そうですね。前来た時はガラガラでしたよね」

「そうなの?」

麗香は夕方のギルドにあまり連れて来た事が無かったから今一解らないよう

「ジャクソン家の影響でしょう」


そういやジャクソン家が魔獣退治してたから?居なくなってギルド会員に仕事が回って来た?

「皆並んでいるようだから、俺達も並ぼうか」

「そうですね」


並んでいる人達は何か紙とギルドカードを受付に渡してやり取りをしているようだ。

受付の女性と20代の若い男性の声に耳を傾けると

「解体場で査定してもらった。大銀貨5枚だけ現金で欲しい。残りはパーティーメンバー全員のギルドカードに均等に分配して欲しい」

「承知しました」

受付嬢はそう言って持ってきた書類にハンコを押し20代の若い男性の出したギルドカードを機械に翳して操作している。

そして操作が終わると書類を仕舞い、ギルドカードと大銀貨5枚と小袋を差し出して

「メンバー全員に均等に大銀貨10枚を振り込みました。依頼の大銀貨5枚と割り切れなかった小銀貨2枚、鉄貨3枚は小袋に入っています。ご確認お願いします」


そんなやり取りが至る所で行われていた。

20代の若い男性は受付が終わるとカードと現金を仕舞うとギルドに併設された酒場の方に手を上げて仲間に合図をしたようだ。


酒場のテーブルの周りに座っている5人程の若い男女のグループが同じように手を上げて合図をかえしてきている。

「今日は大量だぜ!!ジャンジャン飲もうぜ!!」

あのパーティーは結構な金額を稼げたようだ。

ジャクソン家の魔導士達が居なくなってギルドも活気が戻って来たようだ。



俺達が並んで20分くらいした頃、やっと俺達の番が回って来た


つづく・・・

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