第139話 139.ギルド本部のマジックバック

<真也>


ギルドマスターは固まったままだ

そんなにアリシャが結婚するのがショックだったのか?

それとも俺がジャクソン家の人間を壊滅させた事がショックだったのか?

それとも昨日のリトリア王国を襲った?っていうか此処に居る女性達が魔獣に八つ当たりしてミンチ肉にしまわったせいで、彼女達から逃げるのに必死になった魔獣が向かった先が王都だっただけ。

まあ~魔獣を爆散させてスタンピードを起こして自分達で殲滅ってマッチポンプだな


そんなギルドマスターを受付の女性がギルドマスターの体を揺すって

「ギルドマスター?」

「マスター?」

「起きてください!!」

「起きろ」

「死ねクソ爺」

それでも気が付かないギルドマスター

女性担当者は

『パンッ』

『パンッ』

ギルドマスターに往復ビンタ


「お・・何じゃなんじゃ?」


辺りをキョロキョロと見回すギルドマスター

「お客様がお待ちですよギルドマスター?」

「おお~そうであった。昨日の魔獣のスタンピードを収めた御仁ですか?」

う~ん全部彼女達の憂さ晴らしだったんだけど


『言えねぇ~ぜって~言えねぇ~』

しょうがないので

「そいう事になります」

「それは凄い!!私どもが行った時にはもう魔獣の死体すら残っていなかった為に本当にスタンピードが有ったのかさえ確証が出来ない状態だったのです」


俺はギルドマスターに近づき小声で

「皆が来る前に俺の空間庫に1万体以上の魔獣の死体を一気に格納しましたから魔獣の死体は残っていませんよ?

別に彼女達の憂さ晴らしで5000体以上はミンチ肉になったやつ有るけど・・

あれも含めて全部は引き取ってくれないですよね?」


ってダメ元で聞いてみた。


「あのレノウンのギルド支店のレイドリックが言っていたマジックバックを持つ男が現れたというあの真也様は貴方でしたか。

『ギルドシステムを使った魔道具のレンタルの件』でお話をしたいという事でしたね。

此処ではお話出来ない事もございますから私の部屋の方へお越しください」

ギルドマスターはそう言った後受付の女性にギルドマスターの部屋に案内するように指示した後何処かに走っていってしまった。


俺達を受付してくれた女性は俺達をギルドマスター室へと案内してくれ

「暫くお待ちいただけますか」

と言って部屋を出て行った。

「ギルドマスター急いで何処かに行ったみたいですけどどうしたんでしょうね」

アリシャが早速疑問に思ったみたいだな。

俺もそう思った!!

「そう見えたよな。何かレノウンのレイドリックが行ったマジックバック絡みじゃないのか?」

「それはあり得るわね。1万体以上の魔獣を真也が空間庫に格納したって言った辺りからギルドマスターの顔色が変わったわ」

流石麗香よく見ていたな。

「そうかもしれないな。麗香が言った事がどうも真実っぽいな」


俺は待っている間、またたくさん作って空間倉庫に眠っている熱々の『ゴブカラ』と例のハンバーガー擬きを机の上に山盛り出すと皆が一斉に群がった。


『やっぱり空間庫めちゃめちゃ便利!!』

2分もすると受付をしてくれた女性がギルドマスター室に入ってきて俺達をみて

「へっ?」


っと一瞬固まったが

「一緒に食べませんか?」

って言うと準備したお茶を机に置いた瞬間・・・

『迷ってる!!うん、ゴブカラにするかハンバーガー擬きにするかで迷ってるよこの子』

「両方でも良いですよ?」

って言うとハンバーガー擬きとゴブカラ両方取っちゃったよ!!

で!!

ゴブカラをちょっと食べ味わって


ハンバーガー擬きをちょっと食べて味わって!!


「美味しい~~」


うんうん反応は上々!!

此れなら売れるなって確信


まあ~ギルドマスターも直ぐに帰って来たが・・・やはり!!

入って来るなり

「へっ?」

って一瞬固まったから

「今度うちで売り出す商品の試食をしています、ギルドマスターも一緒にどうですか?両方食べ比べるのもおつなものですよ?」

って言ったら受付の女性と同じように両方取って食べ始めちゃった


『ギルドではこれが普通なのか?』


女性が持ってきてくれたお茶も大活躍で良い商品紹介になった。

ギルドへの商品登録もあっという間に終わったよ。


『現物が有るんだからな!!それに味見もバッチシ』

こいう商品紹介と試食を一緒にした商品登録方法も有効かもしれないな

皆喜んで食べてるし!!


時間は少々掛ったがま~序で登録しとこうと思ってた『ハンバーガー』の商品登録が先に終わったから結果オーライ!!


食事も落ち着いた所でギルドマスターが取り出したのは・・

『バック』

そして

「真也様も聞かれているかとは思いますが、ドストル帝国のエイシス家の者がギルド支部を襲って通信の魔道具と冷蔵の魔道具を解体して仕組みを調べた事が有るのです。

表向きの報告はそうさせて頂いたのですが

まぁ~エイシス家の者がギルド所有の通信の魔道具と冷蔵の魔道具を解体して調べようとしたのは本当ですしギルド所有の魔道具を解体して動かなくなったのも事実


でも奴らの本当の目的はこのマジックバックと言われる魔道具が欲しかったからなのです。そう真也様が空間庫と言われる魔法をマジックバックとして魔法を付与した物です。

タダ、この魔道具はギルド職員以外が触ると致死の電撃が発生し奪おうとしたエイシス家の者は丸焦げの死体となり略奪は諦めたという落ちです。


ドストル帝国のエイシス家にはギルドに対して年間に金貨1億枚の賠償を支払わせ二度と反逆しないように制裁しました。

ただこのマジックバックの魔道具は誰も使う事が出来ないのです。

言い伝えで同じような能力を持った人間が現れた時にその者に見せろと一部のギルド幹部のみに伝え続けられてきました。

真也様なら、この魔道具を解除できるでしょうか?」


真剣な表情でギルドマスターが俺に聞いて来る。

「ええ~できますよ。個人認証が掛かったままなのです。現在原初の魔導士モノリス・ストレイアだけが使える設定になっていますね」


「やはり・・・それで、解除は?」

俺はクララを見て

「此処に居るクララは原初の魔導士モノリス・ストレイアのメイドをしていた方です。縁があって私と出会って今は私のメイドをしてもらっています。クララそのマジックバックの個人認証機能を認証キー設定に変更してくれるかい」


「はいマスター音声認証機能に変更します」

うんうん俺の言葉足らずで言った事そのまま理解してくれてる。

「クララそれでお願い」


クララはギルドマスターのラグアシェルさんからマジックバックを受け取ろうとすると

「だ・・・大丈夫・・ですか?ギルド社員以外が触ると致死の電撃が流れますが大丈夫ですか?」

と確認してくれるが

「大丈夫でございますよ。導士様とご一緒に御作りしたお品でございますのでご安心して下さい」

「そ・・そうですか原初の魔導士様とご一緒に作成された方でしたら心強い。お願い致します」

そう言ってクララにマジックバックを渡すギルドマスター

ギルドマスターも原初の魔導士のメイドさんって事で言葉が超~丁寧だよ

女性達のクララを見る目も尊敬の眼差しで見ている

『クララに任せて正解だったな』


「終わりましたマスター確認をお願いします」

そういって俺にマジックバックをクララが渡して来たので受け取ってマジックバックを開けて中を確認

『何か手紙が入っているみたいだ・・・』

今はそのままで良いか

再度マジックバックを閉じて

「パスワード」

と唱えてギルドマスターに渡すと、ギルドマスターがマジックバックを開けようとすると開かない。

俺が

「今さっき俺が唱えた言葉を声に出して喋ってからマジックバックを開けてください」

というと義理度マスターは


「パスワード」


そう大きく唱えた後、マジックバックを開く。


「お~~開いたぞ!!凄い!!」


大喜びでマジックバックの中を確認して一通の手紙を見つけたようだ。

ギルドマスターはその手紙を取り出して宛名を見ると


『ギルド職員諸君へ』


と書かれていた為、ギルドマスターはその手紙を恐る恐る開けて手紙を読んでいる・・

書いた当人しか当然何が書かれているか解らない!!

だが、俺とクララだけは見ないでも何が書いてあるのか解っている

『だって書いた当事者と入れた者だからな』



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る