第3話 白衣の森民と死ななきゃ治らない病気野郎 中編

 そして5年後。15歳になる日の1週間前。

 私はレックさんの来訪を待ちわびてそわそわしていた。

 レックさんは毎年、必ず私の誕生日の5日前に訪れてくれていた。だから、あと2日でレックさんに会える!

 5年前のあの日から、沢山勉強して沢山鍛えた。去年の誕生日前には大人に混じって狩りに行って猪を仕留めたし、治療術も、欠損していなければ生命に関わるような大怪我も癒せるようになった。流石に、白壊病のような難しい病気はまだ癒せないけど。

 自分ではレックさんに認めてもらえると思ってる。でも……。期待と不安が入り混じって落ち着かない。こんな時は、お仕事するに限る!


「お母さん! 今日は畑のお手伝い行ってくるね!」

「気を付けなさいよ? 怪我でもしたら、レックさんに置いていかれるわよ?」

「分かってる~! いってきま~す!」


 玄関を出て扉を閉め、振り返ったその時、私は気付いた。

 村が不自然に霞んでいる。

 朝もやにしては時間が遅い。土埃が舞い上がる程乾燥もしていないし強い風も吹いていない。

 じゃあ、なぜ?

 嫌な予感がした。玄関を開けて叫ぶ。


「お母さん! 村の様子がおかしい! 窓閉めて! 私は村長さんのところに行ってくる!」

「ちょっと! 待ちなさいユキカ!」


 止める声を扉で遮って、口と鼻をいつも持っている三角巾で覆って、村長さんの家へと駆けだす。

 村長さんのところに向かいながら、私は辺りをよく観察する。治療の第一歩は観察から。レックさんの本に書いてあった事だ。

 肌に当たる風にザリっとした感触がある。やっぱりもやじゃなくて土や砂埃のようなものみたい。

 駆けて行く途中、外にいる村の人達に向かって叫ぶ。


「みなさーん! ユキカでーす! 外の様子がおかしいので、すぐ家に入って、窓を閉めて下さーい!」


 周りに声を掛けて走りながら、私は観察を続ける。白い粉のようなものが家の軒先の土間に薄っすらと降り積もっている。私は足を止めてそれを指先で確かめてみる。


「白い、砂? あっ!?」


 私の背筋に悪寒が走る。この辺りに白い砂のある場所なんてない。もしこの辺りで白い砂が出るとすれば……白壊病!

 でも、何でこんないきなり……

 そう言えば、この村から歩いて3日ほど掛かる隣村でも白壊病が出て、1年前にレックさんが作って残していってくれた、この村にある白壊病の薬を分けてあげた。そこでも、やはり原因は不明だった。

 1年前にレックさんが作ってくれたのは、村民全員が1週間使える量だった。念の為、森に狩りに出掛ける人には普段からいくつか渡されるから、丸々1週間分は残ってなかったとして、もし半分分けていたとしても3日は持つ。それなら、あと2日でレックさんが来てくれるから何とかなる。とにかく、村長さんに報告しないと。

 村長さんの家にたどり着いた私は、扉を激しく叩く。


 ドンドンドン!


「村長さん! ユキカです! 村長さん!!」

「おぉ。ユキカか。今開けるからな」

「あ! 待って! 開けないで! このまま聞いて下さい! 村に白壊病のものと思われる白い砂が舞ってます! 急いで薬の準備をしたいので、村の共同倉庫の鍵を貸して下さい!」

「なんじゃと!? わかった、少し待っておれ!」


 バタバタと遠ざかる足音。しばらくするとバタバタと足音が近付いてくる。そして扉が開いた。


「ワシも行こう。お前だけじゃ手が足りんじゃろう? なに、今、家においてあった薬を飲んだ。1日は持つから大丈夫じゃ。倉庫に行きがてら薬を持っとる狩人衆にも声をかけて手伝って貰おう」

「はい!」


 道すがら、村の人たちに声を掛けて協力を仰ぎつつ、私たちは村の共同倉庫へとたどり着いた。村長さんが鍵を開けてくれたのでみんなで中に入ると、思いもよらない事態が待っていた。


「薬が……ない……」


 正確には、残しておいた筈の量の3分の1しかない。つまり、村人全員で1日分しかなかった。


「村長さん。隣村に渡したのは……」

「3日分じゃ。当然、その時にはここの残りが3日分以上あったのは確認しておる。おい。今週の倉庫当番は誰じゃった?」

「確かバッドの筈です、村長。おい、バッド!」


 村長に尋ねられた狩人衆の長、私と同じ森民のペゼットさんが、今週の倉庫見廻り当番担当の名前を呼んだ。バッドさんも村の狩人衆の一人。でも、返事がない。


「……そういえば、昨日からバッドの顔を見てないな。誰か! 今日、バッドの顔を見た者はいるか?」

「私は見てません」「俺も」「僕も見てないです」

「……誰か二人程、バッドの家を見に行ってくれ」

「「分かりました!」」


 二人を見送って、私達は再び顔を突き合わせた。この白砂をばら蒔いた犯人もバッドさんなのだろうか? でも動機が分からない。バッドさんの家に残りの薬があればいいけど、もしなかった時の為に手を打っておかないといけない。


「村長さん。ペゼットさん。まだ狩人衆のみんなが動ける内に、薬の材料を集めておく方がいいと思います。レックさんなら、材料さえ揃っていてばば半日も掛からずに薬を作ってくれます。それなら間に合いますから」

「うむ。ワシもユキカの意見に賛成じゃ。村の存亡が掛かっておる。少しでも出来る事をしておくべきじゃろう」

「そうですね、村長むらおさ。それにしてもユキカ、あの病弱だったお前が逞しくなったものだ。もう一端の治療士だな」


 村のみんなからの信頼も厚いペゼットさんに褒められた。でも、本当に一人前なら、もっと何か出来た筈。


「そんな事ないです。私が一人前なら、薬、作れてますから。それより、材料を」

「そうだな。よし、ユキカを中心に、6人で薬の材料の採取を! 残りの者は村を回って薬を配ってくれ!」

「はい!」「「分かりました!」」


 私達は、それぞれの役割を果たすべく駆け出した。


◇◇◇


「これでよし、っと」


 村の外の薬草群生地を回って、ようやく材料を集めきった。これだけあれば、村人全員が使っても10日は持つだけの薬が作れる。後はレックさんが来てくれればみんな助かる。


「それじゃ、村に戻りましょう」


 私を含めて6人。私と他2人が荷物持ちで、残りの3人は私達を護ってくれている。この辺りは森では比較的安全な場所だけど、魔物が出ない訳じゃない。油断しないで戻ろう。

 しばらく歩いて、夕方には無事、村まで戻って来られた。後は倉庫に収めてレックさんを待つだけだ。


「みなさん、お疲れ様でした。家に戻ったら、薬を飲むのを忘れないで下さい。それでは、解散しましょう。薬草を持っている2人は、私と一緒に倉庫までお願いします」


 3人で倉庫へと向かうと、倉庫の前では村長さんが待っていた。門の見張りの人から私達が帰って来たのを聞いて、鍵を開けにきてくれたのだろう。


「皆よく頑張ってくれた。さぁ、倉庫に仕舞ったら家に戻って薬を飲むんじゃ。後はレック殿に任せよう」


 村長さんにそう言われた時、私の中で何かが囁いた。


――本当にそれでいいの?

――レックさんに頼りっぱなしで?

――貴女は何になろうとしているの?


 そうだ! 私は治療士になって、レックさんと一緒に行くんだ! だったら、何もしないで待ってていい訳ない!


「村長さん! 私に材料を3日分ほど預けて下さい! レックさんに頼ってばかりじゃなくて、私も村の為に役に立ちたいんです!」

「……うむ。確かに何かの事情でレック殿が遅れないとも限らん。やってみなさい」

「ありがとうございます!」

「「ユキカちゃん、頑張って!」」


 私は自分が運んできた分の荷物を背負い直して自宅へと向かった。背中に掛かった、他の2人からの励ましの声に送られて。


◇◇◇


 どばあああぁぁぁ!!


「お母さん! ただい、ひゃうううぅぅぅ!!」

「ユキカお帰り~! でも、家に入る前に、砂、落とさないとダメでしょう~?」


 材料を持って家に駆けこもうとしたその時、頭の上から大量の水が降り注いだ。お母さんの水魔法だ。

 でも、確かに砂を落とさないといけないのは分かるけど、もう少しやり方を考えて欲しい。私も、背負った材料も、そして玄関もびしゃびしゃ。


「ちょっとお母さん!!」

「はい、タオル。玄関は片付けておくから、ユキカは身体拭いて着替えて、やるべき事をやりなさい?」

「もう! 分かってる!」


 タオルで頭を拭いてから、玄関先で籠に入った材料の水切りをする。そして玄関を閉めてから、持っていた弓と山刀を置き、お母さんが予め用意していてくれた洗い桶に濡れた服を脱いで放り込んだ。

 只今首からタオル&下着1枚状態。今、玄関が開いたら羞恥で死んじゃうかもしれない。


「お母さん! 後お願いねー!」


 籠を片手で掴んで部屋へと飛び込んだ。

 部屋のドアを勢いよく閉め、まずは濡れた下着を脱ぎ捨て、首に掛けていたタオルで身体を拭いて、手早く着替えた。

 そして、2年前にレックさんから貰った調合道具セットを机の上に並べてから調合に使う水を汲みに行き、薬の作成を始める。

 まずは材料の10分の1をまとめて大きな擂り鉢に入れ、荒く擂り潰してペースト状にする。それを小さな擂り鉢に小分けして少し水を入れて丁寧に擂り、緑色の薬草汁を作る。それを布で濾しながら透明な容器に移す。

 問題はここから。

 この薬草汁に、その病気を治す為の治療術を掛けるのだ。

 物に魔法を掛け、その効果を一時的、または永続的に発揮させる事を、"魔法を付与する"と言うのだけれど、治療士の薬は治療術を薬液に付与する事で完成する。

 当然、その病気を治す治療術が使えないと作れない。

 治療術は、どう治すかを頭の中ではっきりイメージしないと効果を発揮しない。なので、状態が目に見える外傷は比較的治しやすいけど、目に見えないものが身体の中で悪さをする病気はすごく治し辛い。

 レックさんから貰った本には、レックさんが治した事のある病気の、その治療の仕方も書かれている。それも、とても上手な挿絵付きで。

 でも、それに従っても中々上手くいかない。去年、レックさんが訪れた時に相談してみたけど、「それはある程度経験を積まないと難しいだろうな」と、悩ましそうな顔で言われた。

 幸い、といっては隣村の人に失礼だけど、隣村で白壊病が出た時に薬の運搬に同行して、治療術での治療を試みさせてもらった。でも、症状の改善が見られたのは治療した人の半分くらいだった。もちろん、その後にレックさんの薬を渡して、完治してもらった。

 つまり、今、私が薬を作ったとして、成功率は半分くらいになる。今、ここに持ってきた材料は3日分。だから、成功率半分でも1日半分は作れる筈。ないよりは絶対にいいと思う。

 薬液の入った容器を両手で優しく包み込む。そして、治療術を発動。1メニト程掛けてゆっくり付与していく。成功すれば、薬液の濁りが取れて、緑色の透明な薬になる。

 果たして、容器の中の薬液は、濁りが取れて緑色の透明なものになった。成功だ。これで3人分の薬が出来た。

 続けて薬を作っていく。擂り潰し、濾し、魔法を掛ける。魔法を掛ける精神力が尽きる寸前で、何とか村人全員1日分の薬が出来上がった。材料は二日分までは使わずに済んだ。少しは腕が上がったみたい。

 あーーねむいーー今日はここまでにしよう。

 私はベッドに突っ伏した。


◇◇◇


「うぅん…… あれ? なんか手が…… あっ! しまった!!」


 翌朝、目を覚ました私は、手に違和感を覚えた。感触が鈍い気がする。

 そして気付いた。昨日、薬を作るのに夢中で、自分が薬を飲むのを忘れていた。

 確認してみると、どちらの手も、甲、掌共に粉を吹いたように白くなっている。

 試しに右手の掌で左手の甲をさすってみても、触った感じ、触られた感じが薄い。まるで手袋をしているかのようだ。足先も確かめたけど、同じように白くなっていて、床を踏んだ感触が薄い。典型的な白壊病の症状だ。

 これを治すには、薬を飲み続けて症状の進行を止め、丁度、火傷した皮膚の下から新しい皮膚が出来てくるような感じで自然治癒させるか、治療術を掛け続けるしかない。自分に治療術を使っている間は当然、他人に対して治療術は使えない。

 治療士として致命的なミスだ。自分を健全に保てない者は他人ひとも治せない。 

 こんなの見られたら、レックさんに幻滅されちゃう……


「どうしよう…… レックさんに置いていかれちゃう…… どうしよう……」


 私にとっては、死に瀕する病気に罹患した事よりも、レックさんに幻滅され、置いていかれてしまう事の方が余程怖かった。

 とにかく、まずは自分で作った薬を飲んだ。経口摂取だと薬の効果が出始めるまで30メニト程掛かるから、それまでは部屋から出ないようにする。

 次に、昨日身体を拭いたタオルがまだ部屋にあるので、大きな擂り鉢に薬を何本か入れてそれに浸し、5メニト程待ってからよく絞って身体を拭く。着ていた服は擂り鉢の中へ投入して、新しい服に着替えた。そして、白くなった手先を見られないように、手袋も嵌める。

 ベッドは、中に落ちているであろう白砂を包み込むようにシーツを外して部屋の隅へ。後で薬を作り直して、除菌してから干しておこう。

 薬を飲んでから充分に時間が経ったので、一人用の瓶に移し替えて運搬箱に入れた薬を、箱ごと手押し台車に乗せて部屋を出る。

 ガラガラと台車を押し、玄関まで辿り着いた時、後ろから声が掛かった。


「待ちなさい、ユキカ。手、見せなさい」

「お、お母さん!?」


 お母さんに見つかってしまった。お母さんに手を見せたら、レックさんに言われて、レックさんに置いていかれちゃう!


「お、お母さん! 今から薬、届けないといけないから、後で……」

「ユキカ。貴女、そんなにレックさんの事が信じられないの?」

「え……?」


 お母さんからの言葉に思わず動きを止めた私。私がレックさんを信じてない?


「同じ過ちを繰り返したのならともかく、一度の過ちで相手を幻滅したりする人ではないと思うわ、レックさんは。逆に、そうやって過ちを隠すような事をする方が幻滅されると思うの。レックさんに自分を見てほしいのなら、自分の全部をレックさんに見せないと。そうでしょう?」


 私は何も言い返せなかった。全くもってお母さんの言う通りだと思う。勝手に思い込んで、勝手に怖がって。

 自分のお馬鹿さ加減に涙が出てきた私は、台車から手を放してお母さんに抱きついた。


「ごめんなさい! お母さん! ごめんなさい!」

「分かってくれたのならいいわ。さ、やるべき事をやりなさい、ユキカ」

「うん!」


 涙を拭ってお母さんに笑顔を返した私が、台車を押して外へ行こうとしたその時、外から玄関のドアが荒々しく開かれた。


「はぁはぁはぁ! エリザさん、すみません! 手を貸して下さい! 共同倉庫が火事に!」

「! 分かりました、すぐ行きます」

「お母さん! 私も一緒にいく!」


 外に出ると、共同倉庫の方から煙が上がっているのが見えた。そんな! あそこにはレックさんに薬を作ってもらう為の薬草が!

 私達が倉庫の前に辿り着いた時には、倉庫は全体が炎に包まれていた。


「水よ来たれ! 我が意思に従い、大いなる滝となれ! 【ウォーター・フォール】!」


 お母さんの水魔法で倉庫の上に水が降り注ぎ、轟々と燃えていた炎を消してゆく。

 だけど時すでに遅く、倉庫はほとんど焼け落ちていた。もちろん、中にあった物は全て消し炭となってしまっていた。


「何ということだ…… 共同で使う道具や昨年の収穫物だけでなく、昨日、皆に採ってきてもらった薬草までも……」


 ザワザワザワ……


 村長さんの呆然とした呟きが、伝播する不安が、事態を確認しに来ていた村人達の間にさざ波を起こしてゆく。

 いけない! このままじゃパニックになっちゃう!


「村長さん! 1日分ですけど、薬が出来ました! 今から持ってきますから、みんなに配って下さい!」

「おお! ユキカ、よく頑張ってくれた! 皆の衆! ユキカが頑張って薬を用意してくれた! 明日にはレック殿も来る! 大丈夫じゃぞ!」


 ワァァァアアア!!


 騒めきが歓声へと変わっていく。良かった! 頑張って良かった!

 歓声を背に、私は家へと走った。


◇◇◇


 その日の夜、食事を終えて後片付けを手伝っている時、玄関のドアが叩かれた。


「はぁ~い! 少し待って下さ~い! ユキカ、ここ、お願いね」

「うん。」


 お母さんが玄関へと向かう。私はそのまま後片付けをしていたのだけど、お母さんが 戻ってきて私を呼んだ。


「ユキカ、ちょっといい?」

「何? お母さん」

「白壊病の薬って、もう残っていなかったわよね? マルコさんのところのユリエちゃんが薬を溢してしまったみたいで、1本でいいから何とかして欲しいって来てるのだけど……」


 薬を配り終えてから、私は材料を1日分だけ残して、残りを薬にして、シーツや毛布の除菌に使った。だから、薬として残っているのは、私が寝る前に飲むつもりだった1本だけ。

 これを渡してしまうと、私の薬の効き目は明日の朝で切れてしまい、症状が進行してしまう。そうなると、持って半日。

 でも、今、ユリエちゃんにこれを渡さないと、前に薬を配った時間から考えて、ユリエちゃんが手遅れになる。

 残してある材料に手を付ける訳にはいかない。倉庫の材料がなくなってしまった今、これでレックさんに薬を作ってもらわなければならない。

 私があんなミスを犯さなければ、除菌の為に無駄に薬を使わずに済んだ。だったら……

 私はすぐに決めた。


「お母さん。私の薬を渡してあげて。私に考えがあるから」

「……分かったわ」


 お母さんが薬を渡しに行っている間に洗い物を済ませて待っていると、お父さんとお母さんがやってきた。

 二人は台所のテーブルに、私と向かい合うように座った。


「ユキカ、貴女の考えというのを聞かせてちょうだい」


 お母さんが硬い声で言った。お母さんの事だから、もう予想はついているのだと思う。


「私、夜が明けたらすぐに村を出て、レックさんを迎えに行ってくる。私が薬を飲んだのは今朝だから、明け方まではまだ効いてる。効き目が切れてから手遅れになるのに半日。ここで待っているより、村を出てレックさんに早く会えた方が助かる見込みはあると思うの。それに、村の窮状を伝えられれば、レックさんも少しでも早く村に来ようとしてくれる。村の為にも、そして自分の為にも、これが今の最善だと思う」


 お母さんは深く溜め息をついた。そして、お父さんを見て頷いた。お父さんもお母さんに頷き返した。


「分かったわ。でも約束して。最後まで絶対に諦めないって。必ずレックさんと2人で戻って来るって」

「約束する。必ずレックさんと一緒に帰ってくるから」


 私は笑顔で言葉を返した。

 翌朝の明け方、私は村を出て、ナラクド川を目指して、川から水を引いている水路脇を歩き始めた。


 はぁはぁはぁはぁ……


 日が高くなるにつれ、手先足先の感覚がなくなっていく。

 何とかナラクド川の縁まで出て、レックさんが来る筈の方向へ、川に沿って歩いた。

 症状が進行して足首まで石化したのか、足首が曲がらず、おかしな歩き方になっている。そして、踏み下ろした衝撃が直接伝わる為、膝に激痛が走る。

 どのくらい歩いただろうか。不意に、踏み出した足が着地した時、ブーツが足首より上でぐにゃりと曲がり、バランスを崩して転倒した。

 立ち上がろうと手をついたけど、手袋の手首から上で曲がり、起き上がれない。石化した手首と足首が砕けたのだ。

 俯せのまま、顔だけ上げて前を見る。まだ、人影は見えない。

 ここまでか……


「神様。幻でもいいから、最期にレックさんに逢いたいです。どうか願いを叶えて……」


 そして私は意識を失った。


◆◆◆


「そうか。分かった。ユキカの服が乾いたら、大急ぎで村に向かおう。ユキカは俺が抱いていってやる」


 だが、この騒動、自然発生ではないだろうな。タイミングが余りにも良すぎる。特に、倉庫の火事は、中の薬草を始末した上で、その事を村人に分かるようにする為だろう。

 村人を死の恐怖で追い詰めようとしている。目的は分からないが、村に行って、病気を治してハイ終わりという訳にはいかないだろうな。


「私、レックさんに抱いてもらえるんだ…… あの、初めてなので優しくお願いします」


 そんな事を俺が考えているとは露知らず、顔を真っ赤にして、手先のない腕を頬に当てるようにしながら、身体をくねくねさせるユキカ。いや、確かにユキカは贔屓目に見ても美少女だが、未成年の病人にそんな事したらいろいろダメだろう。人として。


「こらこら。そんな事言えるなら、もう大丈夫だな。服が乾くまで少し時間がある。手足を早く治す為にも、腹ごしらえしよう」


 俺はユキカを上半身を起こした横抱きにして、さっき俺が食べていた携帯食料を荷物から取り出してその包みを開け、ユキカに食べさせる。


「ほら、ユキカ、あ~んして」

「う、うん! あ~ん!」


 ガリッと携帯食料を齧るユキカ。顔はさっきと同じように紅潮しているが、その表情は恥ずかしいそうというより嬉しそうだ。そしてガリガリとしっかり咀嚼してから飲み込み、今度は俺に言われる前にあ~んする。今もユキカには治療術を掛け続けているから、身体が修復の為の栄養を欲していて、かなりの空腹を感じている筈だ。

 ふた口目を咀嚼して飲み込んだところで、水筒の水を飲ませてやると、ゴクゴクと勢いよく飲んだ。そして、ふぅ、と一息ついた。


「レックさんに"あ~ん"ってしてもらえるの、夢でした。夢が叶って嬉しいです。手が治ったら、今度は私がレックさんに"あ~ん"ってしますね♡」


 ユキカの心からの笑顔に、この娘を救えて良かったと思う。本当は、この後で少し説教でもしようと思っていたが、まぁ、今回は勘弁してやるか。

 携帯食料を2つ程食べさせてから、身体を休ませる為に毛布に寝かそうとした。だが、ユキカが嫌がるので、横抱きのまま身体を倒させて、腕枕をしながら髪を手櫛ですくように撫でてやる。

 目をつむり、幸せそうな笑みを浮かべるユキカ。そして間もなくユキカは寝息をたて始めた。寝入ったユキカをそっと毛布に寝かせ、ユキカが起きたらすぐ移動出来るように準備をしておく。すぐに広げた荷物の大半を片付け終え、後は物干しとテントを回収したら移動出来るようにした。

 ユキカが目を覚ました時に俺の顔が見えないと不安がるだろうから、俺はテントに戻り、ユキカの頭をそっと持ち上げて腕枕を再開した。

 それまで少し険しい表情をしていたユキカの寝顔に笑みが浮かぶ。腕枕をしているのとは反対の手で頬を撫でてやると、ユキカはごろんと寝返りを打ち、丁度俺の胸に顔を埋める形になった。そのまま更に後頭部を撫でてやると、ユキカから「むふふふ♡」という声が漏れだしてきた。もしかして起きているのかとも思ったが、まぁ、ユキカが嬉しいならどちらでもいいさ。


「うぅ~ん…… あれ……? あっ♡」


 1ハウア程経ってユキカが目を覚ました。丁度俺に抱きしめられる格好になっている状態に、最初は戸惑っていたが、気付いた後は自分から俺の胸に顔を擦りつけてきた。


「レックさんの匂い…… お父さんやお母さんとも違う。でも、とっても安心出来ます」

「そうか? 汗臭いだけだと思うがな。ま、ユキカが安心出来るならそれでいい」

「うふふ♡ ありがとう、レックさん♡」

「さて、服も乾いてるだろうし、着たら村に急いで向かうぞ。ああ、服は俺が着させてやるから」


 恥ずかしがりまくるユキカを宥めつつ、俺はユキカに服を着せ、ユキカを木蔭に座らせると、物干しとテントを手早く片付けた。そして荷物を背負い、ユキカを左腕だけで横抱きにすると立ち上がった。


「よし、村まで全速力で行く。結構揺れるから、俺の首に腕をしっかり回しておいてくれ」

「うん!」


◇◇◇


「んん~~~~っ♡」


 私は、手先のない腕をレックさんの首に回し、唇をレックさんの首筋に押し付けている。


「なぁ、ユキカ? お前、何時から吸血するようなった?」

「うふ♡ 血は吸ってませんけど、レックさん成分補給中です♡」


 レックさんの問いかけにに唇を離してにこやかに答える私。レックさんにジト目を向けられたけど気にせず再開。レックさん成分、全然足りない。

 私はレックさんの腕に抱かれたまま、凄いスピードで村へと向かっている。勿論、凄いスピードで走ってるのはレックさんだ。


「俺成分って……… っ!」

「きゃあ!」


 レックさんの、急な方向転換の勢いに悲鳴を上げる私。何か、恐らく魔法が、私達のすぐ傍を通り過ぎる。


「不意を討ったつもりだったが、あっさり避けられるとは…… お前、本当に治療士か? レック・セラータ」

「何のつもりだ? 確か、ペゼット、だったか」


 横合いの繁みから現れたのは、狩人衆の長、ペゼットさんだった。でも何でペゼットさんが私達を攻撃するの?! 村の人達を救う為に急いでいるというのに!!


「お前に村に行かれては困るのだ。村人全員の生命を捧げて、俺は魔族になるのだらかな!」

「何言ってるんですか、ペゼットさん?!」


 ペゼットさんの口から信じられない言葉が発せられた。村を生け贄にして魔族になる?! 意味分からない!!


「何で…… 村の人達はみんな貴方の事あんなに信頼してるのに!」

「ユキカ。お前はまだ生まれて15年程度だから分からないだろうが、ここの生活は余りに平穏過ぎる。毎日毎日同じ日常の繰返し。それを何百年も続けていると分からなくなるのだ。己の存在の意味が。だから私は魔族になる事にした。争いばかりの魔族の中に身を置けば、己の存在意義も見えてこよう」

「そんな…… でも、魔族になりたいだけなら、ペゼットさん1人で魔族領にでも行けばいいじゃないですか! 村の人達は関係ない! 身勝手過ぎます!」

「狩りの途中で出会った魔族に教えてもらったのだよ。魔族になるには人族の生け贄が必要だと。だからこうしたのだ」


◆◆◆


「狩りの途中で出会った魔族に教えてもらったのだよ。魔族になるには人族の生け贄が必要だと。だからこうしたのだ」


 おいおい。魔族に憧れているからって、こんな嘘情報をあっさり信じるのかコイツは。相当病んでいるな。

 俺は大きな溜息をつきながら言葉を返した。


「……よくもまぁ、そんな嘘情報をあっさり信じたものだな。そんな事するとエシュアやローリアが迷惑するから止めてやれよ」

「貴様! エシュアはともかくローリア様を呼び捨てだと!? 不敬にも程があるぞ!」

「不敬も何も、6柱の神の内4柱ぶっ飛ばしておいて、今更だからなぁ……」

「「……はっ?」」


 目の前のペゼットはともかく、腕の中のユキカまでぽかんとした顔になっている。あ~、またこのパターンが。いつぞやの勇者パーティーと同じだな。仕方ない。ちょっとローリアにおいで願おうか。


「お~い、ローリア! 忙しいところ悪いが、ちょっと降りて来てくれ! お前の信者希望の奴が変な事吹き込まれてて面倒な事になってるから、説明してやってくれ! 後でとっておきの酒渡してやる!」


 俺が空に向かって叫ぶと、しばらくして俺達のすぐ横に一条の光が差し、そこに人影が現れた。腰まである黒髪ロングの黒ゴスロリ衣装の美女、闇神ローリアだ。

 ローリアが閉じていた目を開いた瞬間、俺の腕の中のユキカが身体を強張らせる。神性威圧、神威カムイを浴びせられ、無意識に身体が恐れを抱いたのだ。それはペゼットも同様で、目を見開いて、顔に冷や汗を浮かべながら硬直している。

 ローリアがゆっくりと口を開いた。


「ねぇ、レック・セラータ! 今度は何処のお酒?! 甘口?! 辛口?! 原料は何?! この前貰った麦のヤツは中々だったけど、芋のヤツはダメね。私には合わなかったわ!」


 ローリアは大の酒好きだ。だから、何か頼み事をする時に、地方限定の少し変わった酒を用意しておいてやると、二つ返事で引き受けてくれるチョロ女神だ。扱いやすくていいんだが、ペゼットの奴やユキカが、さっきとは別の意味で固まってるから、本題に戻さんとな。


「こらこら、近い近い。やる事やったらちゃんと渡すから。ユキカが面食らって固まってるだろうがよ」

「あら、お楽しみ中だったのね♡ ねぇねぇ! もう初めては捧げたの?! どんな感じだった?!」

「えっ?! は、初めて?! 捧げる?! あわわわわ! えぇっと!」


 しまった。闇の女神=夜の女神でもあるから、そういう話も大好物だった。煽られたユキカが嬉しそうにパニクってるな。えぇい! 話が進まん!


「おいこら、駄女神! やる事やってからにしろ! ほら、アイツ、口から白いもや出して固まってるぞ!」


 神威喰らったから、ローリアが女神なのは認めているんだろうが、だからこそ、イメージと実際のギャップに、半ば現実逃避してるんだろう。


「はいはい、分かりましたよ。そこの君。誰も生け贄なんて要求してないから、面倒が増えるだけだし、やめてくれる? 魔族になりたいなら、私の加護授けてあげるから」


 どうやら天上うえから見てやがったな?

 かなり適当な調子でペゼットを説得にかかるローリア。おいおい。何百歳の森民を君呼ばわりするのは神だからいいとして、そんな軽い感じだと、面倒が増えるぞ? きっと。


「違う! ローリア様はこれ程軽薄ではない! 確かに先程の威圧感は神と言えるものだったが、ローリア様はもっと荘厳で静粛な御方だ!」


 まぁ、何というか、人の妄想力って凄いよな。勝手に神様の性格決めてしまうんだから。それの方が呼び捨てよりも余程不敬だと思うのは俺だけだろうか?


「ローリア。お前のせいでこじれてるぞ? 全く…… ユキカもいるし、穏便に済ませたかったんだけどな。少し相手してくるから、ユキカを頼む。ユキカをちゃんと見ててくれたら酒はやる」

「おっけー♪ この娘は見ててあげるわ♪」


 抱かえていたユキカをローリアに託すと、俺は溜め息をつきながら背中の荷物を下ろし、白衣を翻してペゼットに向き直った。ふと思い返して、肩越しにローリアを見遣り一言付け加える。


「言っておくが、俺の患者クランケに手を出すなよ?」

「そ、そんな命知らずな事しないわよ?」


 夜の女神様はどっちでもいける口だ。釘を刺しておかないと、ユキカの大事なものが奪われかねない。少しどもりやがったし。


「レックさん!」

「治療士だって人だ。全てを救える訳じゃない。生命いのちの選択を迫られる時もある。コイツはもう救えない。信奉する本人を目の前にして、自分の妄想を優先するヤツだからな。"何とかは死ななきゃ治らない"というだろう? 中途半端な事をすれば、また村に危害を加える。だったら俺は、俺の守りたいものの為にコイツを叩き潰す」


 確固たる意思なしでは人は救えない。生半可な覚悟では治療士は出来ない。救った生命、切り捨てた生命、どちらにも責任を持てなければ治療士じゃない。


「ユキカ、それでもお前は俺の助手になりたいか?」


◇◇◇


「ユキカ、それでもお前は俺の助手になりたいか?」


 これはきっと、私に対する最後の確認だ。綺麗事だけじゃないんだと、時には相手を生き終わらせる事もあるのだと教えてくれている。

 私が逡巡している間に、レックさんとベネットさんの戦いの幕が切って落とされた。


「レック・セラータァァァ!! 【ウィンド・スラッシュ】!!」


 ペゼットさんが風の刃を放つ。だけどレックさんは腰に両手を当て、目を瞑って立っているだけだ。


「レックさん!!」


 風の刃がレックさんに届くと思われた直前、それは掻き消えた。


「なんっ……だとっ?!」「えっ?!」


 レックさんが瞑っていた目をゆっくり開いた。何事もなかったかのように。


「属性魔法なんて効かねぇよ、俺には」


 どういう事? レックさんには魔法が効かないの?

 私が半ば混乱していると、私を抱きかかえてくれているローリア様が説明してくれた。


「貴女はまだレック・セラータに教えてもらってないのね? 彼が治療術と呼んでいるものの正体を」

「治療術の正体、ですか?」

「治療術という魔法体系は厳密には存在しない。治療術はある魔法体系の一部なの。その魔法体系とは……"純魔法"。私達管理神の力ではなく、創造神の御力みりき

「純魔法……」

「属性魔法は、その純魔法を、下界の者が使いやすいように私達が格下げダウングレードしたもの。格上の魔法は格下の魔法を打ち消す性質があるから、治療術を行使している彼には一切の属性魔法が効かないの。それは貴女も同じよ、ユキカちゃん」

「私が……? 私も……」

「ただ、覚えておいて。純魔法は扱いを間違えると世界すら滅ぼす危険な力よ。今はレック・セラータの言う事をよく聞いて、治療術に専念なさい」

「せ、世界を滅ぼす、力……?」


 治療術でどうすれば世界を滅ぼせるというのか……

 でも、ローリア様がこんな冗談言うとは思えない。


「さて、それじゃ今度は俺の番だな」


 そう言うとレックさんは手を握り締めて構えを取った。右足を引いて相手に対して身体を縦に。左手は前に軽く突き出し、右手は腰の高さに。そして脚を曲げ腰を落とす。


「俺には相手を甚振いたぶる趣味はない。一撃で終わらせてやる」

「ぬかせっ!!」


 ペゼットさんは狩りの時に携帯する山刀を抜いて構えた。素手vs山刀。普通なら素手の方が圧倒的に不利。


「レックさ……」

「待ちなさい、ユキカちゃん。彼の集中を乱しちゃダメ。気持ちは分かるけど、彼と共に歩みたいなら、もっと彼を信頼して、そして見ててあげないと。そうでしょう?」

「……はい」


 レックさんに声を掛けようとして、ローリア様に止められてしまった。確かにローリア様の言う通りだと思う。

 私はレックさんを見つめた。勝利の祈りを込めて。


「っ!」


 ドスッ!!


「ぐほぁっ!!」


 それは正に一瞬だった。鋭い吐息の後、レックさんの姿はペゼットさんの目の前にあった。ペゼットさんは山刀を振りかぶる事すら出来ていない。10ルム程あった距離をどうやって移動したのか、その動きの素振りすら分からなかった。

 そして打ち込まれたレックさんの拳。ペゼットさんの鳩尾みぞおちに手首まで埋まる程深々と打ち込まれたそれは、人の重要な臓器の一つ、心臓を確実に破裂させた。

 レックさんが拳を引くと同時に、ペゼットさんは蹲るように崩れ落ちた。


◆◆◆


 叩き込んだ拳を引くと、ペゼットは蹲るように崩れ落ちた。俺はそれを一瞥すると、白衣を翻して背中を向けた。


「お前…は…一体…何者……」


 ヒューヒューと喉を鳴らし、目や鼻から血を吹き出した顔を微かに上げながらのペゼットの問い。


「俺はレック・セラータ。只の治療士だ。だから、俺の患者クランケに手を出すヤツは、全力を以て叩き潰す」


 そして、自分の肩越しに虫の息のペゼットを見遣る。


「それが例え神だろうとな」


 ペゼットの顔ががくりと地面に落ちた。

 俺は振り返る事なく、ユキカとローリアの元へ向かった。


「レックさん…… 無事でよかった……」

「心配掛けちまったか? 大丈夫だ。例え神が相手でも、お前の為なら負けないさ」

「レックさん!!」


 俺に飛びつこうとしてローリアの腕から落ちそうになったユキカを抱き留める。


「熱々ねぇ~♪ でも、神の前でそんな事言えるのは貴方だけよね。それにしても、相変わらずとんでもない能力ちからね、レック・セラータ。神界ならともかく、下界で【縮地】とか、無茶にも程があるわよ?」

「問題ない。充分に【身体強化】しているからな。ユキカを見てくれて感謝する。約束の物を渡さないとな」


 荷物を漁って1本の陶器製の酒瓶を取り出した。


「これはノス地方の酒で"ブレンヴィン"という種類だ。麦やとうもろこしなどの穀物、ジャガイモなどの芋を原料にしている。こいつは麦が原料のヤツだな。クセがなくて、果物の汁と混ぜると飲みやすくなるぞ。銘柄は、えぇと、"神殺しラグナログ"、だな」

「ちょっと! なまえ! なまえぇぇぇ!!」

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