フレイムロックA

エリー.ファー

フレイムロックA

 叫べ限りない声で、どんな形でも自分の思いを世界に届けるのだ。

 どんな不格好な方法や手段でも、お前が思う限り、それらは真実だ。

 他の誰が認めなくとも、この俺さえも認めなくとも、お前が吐き出す限り、それらはすべて真実だ。

 いずれ、忘れ去られる運命にある、言葉たちもお前の手を離れた瞬間に永遠の命を手に入れようとする。お前の意思すらなくなった世界で、一つの独立した存在になろうと動き出すのだ。

 俺たちは言葉の前では無力である。

 故に叫ぶのだ。

 忘れてしまわないように、失くしてしまわないように叫ぶのだ。

 引きちぎれた喉から飛び出る音が、月を落とすことを望むのだ。

 叫ぶべきだ。

 いや。

 叫べ。

 どんな心であるかを他人に理解させろ。

 大丈夫だ、何の問題もない。誰も理解はしてくれないし、理解しようとも思っていない。だから自由だ。余りにも自由過ぎて孤独を感じるだろうが、だからこそ叫ぶことのできる時間がやって来る。

 ロックでも、ヘヴィメタルでも、ラップでも、フォークでもなんだっていい。

 答えを見つけるための手段が音楽なんだ。

 汚い大人には分からない音楽なんて、音楽じゃない。

 汚い大人も救う音楽こそ、本物の音楽だ。

 すべてを巻き込んで肥大化して、最初の頃には二度と戻れないところにまで連れて行く。

 それが音楽だ。

 俺たちはずっとそれに憧れてきたし、今もそれを求めてる。

 どんな形でもいいから、それに近づきたいと心の底から願っている。

 たとえ最初は女にもてたいとか、ふった女を見返してやりたいとかでも、最後に残るのは純粋な音楽への愛だ。忘れたくない気持ちすらなくなって、最後には最初にすら持っていない何かが残ってしまう。

 俺は叫ぶだろう。

 死ぬまで叫ぶだろう。

 いずれ、つまらないと言い捨ててここを去ったとしても。

 音楽に見切りをつけても。

 俺は叫ぶだろう。

 その叫び声に音階がなくても、ただの遠吠えだったとしても。

 それでも叫び続けた先に何かがあると信じたいし、実際それが真実であることを知っている。

 俺はそこには行けなかったけれど、それでも自分の生き方に誇りを感じている。

 音楽が好きだ。

 音楽が俺のことを嫌いでも。

 俺は音楽を愛してる。

 音楽に神様はいるんだろうか。

 仮にいたとしても、それは俺たちの前に姿を現してくれるんだろうか。

 何かの勘違いと、何かの手違いで、大きく狂ってしまった生き方をどこかで修正できるだろうと躍起になる時間は必要なんだろうか。

 神様は俺たちを知っていて、俺たちのために存在してくれているのか。

 分からないのに、神様の存在を信じていて、しかもそれが無条件で味方になってくれる存在であると思いたい。

 全くの勘違い。

 全くの思い違いを。

 たぶん。

 今日も。

 明日も。

 明後日も。

 抱えて生きていく。

 頑張る理由しか見当たらないのに、手に届かないものばかりで吐きそうになる。

 本当に少しだけ、貴方にも考えて欲しくて。

 叫んで、過ぎ去る時間が愛おしい。

 というわけで。

 強く願って、大きく踏み出す。

 頑張れ。

 本当に頑張れ。

 何が大事なのかを自分で決めることのできる大きな存在になることを心から祈るばかりです。

 頑張れ。

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