第2話 ブラック労働してて久しぶりに実家に帰ったら家族が白骨死体になっていた。 自称病弱で私の物を何でも欲しがる妹にざまぁしようにもすでに白骨死体

  私が部屋で怒ったり悲しんだりしていたら、その現況の元婚約者がやって来た。

 「なんだ、まだ居たのか。祭りが終わるまでには出て行ってくれよ」

 「貴方の両親の事ね。御免なさい」

 「いいさ。最後まで王族としてあるべき姿を見せてくれたんだ。

王族としてふさわしい終わりを迎えたんだ」

 少し間をおいてコンラートに告げる。

 「ねぇ、結婚式しましょう」

 あまりもたもたしていたら祭りが終わってしまう。できれば結婚式が終わった後の事も、時間大丈夫かな。

 「急だな」

 「祭りが終わるまでに出て行って欲しいんでしょ。早くやりましょう」

 「もう婚約破棄したんだから形だけだぞ」

 私は結婚式用のドレスに着替える。

 「早く終わらせるぞ」

 「結婚式が終わった後が楽しみかしら」

 「ああ、楽しみだったよ」

 「楽しみだったのに」

 「今はそんな時間ないだろう」

 「ちゃーんちゃーかちゃーんちゃーんちゃかちゃかちゃか」

 「巻きでお願いします」

 コンラートが遮って急かす。

 「コンラート、あなたは私を愛していますか」

 「愛している」

 愛しているのね。その言葉が嘘なわけないし、聞けてよかった。

 「ニーナはどうなんだ」 

 「愛しているわ」

 2人の言葉は同じだった。

 「このドレス、結婚式が終わったら妹にあげるって約束したのよ」

 「もっていってやればいい。今からすぐ行けば間に合うだろう」

 「これからが本番でしょう」

 「もうそんな時間はない」

 名残惜しいが動きやすい服に着替え、荷物とドレスと剣を持つ。

 「ねぇ」

 「早く行ってくれ。今だ、今行くんだ」

 コンラートは背を向けて座り込む。

 「私達一緒に」

 「行けつってんだよ。もうこれ以上口をきく気もない」

 コンラートが叫ぶ。

 「さようなら」

 私はそう言葉を残し部屋を出た。

 時間がないのは自覚していた。

体が辛いが、私は走って城を出る。

 道すがら、愛し合う恋人も夫婦も大勢いた。

 思う存分愛し合い疲れ果て眠る恋人も夫婦も大勢いた。

 酒を飲み眠り込む者も大勢いた。

 祭りもたけなわで、疲れて母の腕で眠る幼子達も大勢いた。

 普段は強がって両親に甘えたりしない年齢の子供が、両親に抱かれ眠っている子供達も大勢いた。

 子供を寝かしつけようとしている親も大勢いた。

 皆が寝ている間にこの国を出よう。

 外に出て可愛がっていた馬ライデンに跨り城を出て王都を出る。

 実家に向かう途中、色んな事を思い出していた。

 コンラートと過ごした日々を。

 自称病弱で私のものをなんでも欲しがる妹の事を。

 実家に付いた私は、少し覚悟をしてから家族だけが知る抜け道を使って家の中に入る。

 「婚約破棄されて超聖女の称号を剥奪されて帰ってきっちゃったニーナだよー。今日から無職だけど許してね。

今まで過労死するんじゃないかってブラック労働だったから当分充電期間でいいと思うの。

国外追放にもなっちゃったからすぐこの国出ていくからゆっくりはしていけないけどさー」

大声で叫んでみるが家族の返事はない。

 リビングに行くと、白骨死体になっている家族がいた。

 甘えん坊の妹は両親に抱かれていた。

 両親であろう白骨死体に抱かれている8歳の少女の骨は妹以外あり得ない。

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公爵令嬢で超聖女の私が婚約破棄超聖女剥奪国外追放されたら国が滅んだので、国を出て自由に生きます。モフモフなもふ君も一緒だから寂しくないもん 甘いからあげ @pankana

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