鍛冶屋
王都には人が沢山住んでいる
大通りは賑やかで人通りが多く客を呼ぶ声、雑談する声など様々な声が飛び交う
「今日は何かあるんですか?」
「ん? あぁいやいつも通りだよこれ、むしろ今は人が少ないくらいかな? そろそろ増えてくる時間」
「これで少ないんですか!」
(王都に人が集中してるとは思ったけどここまでとは……屋台に並んでるのも村だと見た事ない食べ物だなぁ流石都会)
キョロキョロと周りにある屋台を見る
城門から続く大通りを挟むように建物が左右に並んでいる、何個か置きに通り道があり奥にも家が並んでいる
(城壁で囲んでるから結構無理やり家を並べてるのか、限られた土地でやるならまぁ妥当か。城壁がないと魔物が襲ってくるしな)
凶暴な魔物が大量に居るこの世界では城壁や柵で囲むのが一般的となっている
柵などが無いと侵入を防ぐ物がないので村に侵入してそのまま壁や扉をぶち抜いて襲いかかってくる事例があると言う
「見た事ない食べ物並んでるね」
「さすが王都、美味しそうなのが沢山ある……なんかたまに見た目がえぐいやつが並んでるけど……」
「ゲテモノシリーズだね、見た目はあれだけど中には大人気な食べ物あるよ」
「ゲテモノは見た目がきちぃ……」
雑談を交わしながら歩いていると目的地に着く
見た目は並んでいる建物と似た形で一件では分かりづらい
鍛冶屋と書かれた看板が一つ置いてある
「ここだよ」
扉を開けて御者は中に入っていく
二人は続いて中に入る
「失礼しまーす」
「まーす」
大量の新品の武器が並んでいる
素人の目でも分かるほど並んでいる武器達は綺麗で一級品
「あれ居ないのかな。ちょっと待ってて」
奥の扉を開けて入っていく
数分経ち戻ってきた時には一人の老人を連れていた
かなり筋肉ムキムキの老人で正しく職人を体で表しているような人物
「どっちだ武器を作って欲しいのは」
「私! あとこれホーンディアの角」
カエデが手を上げて答え角を渡す
「ふむ、これはあんたが倒したのか」
老人は角を受け取り触りながら御者の方に一瞬視線を向けて聞くが御者は笑いながら手を振って否定する
「いえ、彼女が単独でやりました」
「ほう、その若さでホーンディアの角を斬り落とすか」
5級魔物のホーンディアの角は硬い、魔力を纏う技術をかなり鍛えていないと簡単に剣が刃こぼれするほど硬く最悪剣が折れるので戦闘時は戦士は角を狙わないようにとまで言われている
「武器種は剣で良いのか?」
カエデの腰に付いてる剣を一瞥する
「剣以外って何があります?」
「作れる武器は剣、短剣、長剣、細剣、大剣、槍、斧、杖、弓、槌、刀辺りだな」
(おぉ刀あるのか刀は日本男児のロマン……まぁ扱い難しいって聞くし無理だなぁ……やっぱ慣れてる剣かなぁ)
カエデは悩み始める
使い慣れている剣のつもりではあったが他の武器が作れるならと考え始めている
村では剣か槍、魔術師用の杖くらいしか装備は無かった
「剣以外にするの?」
「それもいいんだよなぁ。正直剣はしっくり来てないんだよね」
「お主の戦い方の理想はなんじゃ?」
「理想?」
「そうじゃ、お主の思い描く戦い方に合う武器を使え」
「簡単に説明すると速さを重視したり力に自信が無いなら短剣や細剣などの軽量武器、基本的に使われて安定感のある剣や槍、中距離攻撃がメインになる弓、扱いが難しい刀、相当の力が必要で扱いが難しいが一撃が重い大剣、斧、槌系って所かな」
カエデの認識とほぼ変わらない説明を受ける
(この身体はだいぶ力はある、剣が軽く感じる程度には……理想は……)
ウルフナイトを一撃で倒したライアンの姿を思い出す
ライアンが使っていたのは剣だが
「斧で」
「小さい手斧もあるぞ」
「いや大きいので」
「……分かった」
(斧を選びますか……剣とは全く異なりますが果たして扱えるのでしょうか)
商品として立て掛けられている斧を持ちカエデに渡す
商品の中では斧の中でも一番重い物を選ぶ
「斧はこういうのだよ?」
「あんたなぁ」
「……重っ……だけど魔力を纏えば振り回せそうです」
魔力を纏い斧を持ち上げる
(片手は無理だけど両手持ちの武器だし……これなら)
周りに注意しながら軽く振るう
「これをいつまでだ? 弟子に任せても良いか?」
「貴方の手で明日の朝までに」
「……老人を労れ」
「未来ある若者の為にそこをどうか」
「はぁ、今日は徹夜だな。お前ら! 今日は武器屋閉店だ! 今から取り掛かるぞ」
奥の部屋に向かって大声を出す
「「はい!!」」
奥の部屋から大声が帰って来てドタバタと足音がする
(奥に人居たのか)
彼は弟子が何人も居るベテランの鍛冶師、本来なら入学試験前のカエデが武器を打って貰うなんて出来ないような名のある人物
「それでは僕はやる事あるからこれで」
「あっ、何から何までありがとうございました!」
「ありがとうございました」
御者の男性が鍛冶屋を出る
二人もやることが無いので鍛冶屋を出る
「宿探す?」
「いや、屋台回ろう。気になる食べ物あったし」
「まだ時間あるしお金もあるから良いね」
「串焼きとか美味そう」
屋台を見て回る
見知った果物や食べ物もチラホラ見つける
「串二本!」
「毎度! 焼き立てだぜ」
カエデは串を受け取りかぶりつく
「熱っ……けど美味い!」
「おぉ、良い食べっぷりだな嬢ちゃん! つか見ない顔だな入学試験か?」
「はい、明日入学試験を受けるために今日来ました」
「おぉ! それは頑張れほれ一本オマケだ」
「あざーす!」
串を受け取り食べ歩きながら他の食べ物を探す
食べ物以外にも武器や防具、魔導具など色んな種類の屋台がある
屋台以外にも店もあり道具屋の前には様々な色の液体の入った瓶が売っている
(あの屋台なんか凄い怪しいなぁ)
不気味な見た目のアクセサリーを売ってる店を見かける
「あっ、串はこうやって横にして食べた方がいいぞ」
「なんで?」
「串の先端尖ってるからこういう食べ歩きの時とか人にぶつかってそのまま舌に串刺さったりするから危険なんだよ。先端が鋭い奴は先端を人に向けたり自分に向けるのは危険」
「何それ怖い、よく知ってるね。前世?」
「そそ、串に刺してる食べ物って幾つかあったんだよね」
「ゲテモノ食べようかな」
「マジ? 遠目で見てもえげつなかったけどあれ」
「マジ、人気なのあるって言ってたし見た目によらず美味しいのかも」
「味も大切だけど……だけど……食べ物は見た目も重要なんやで」
「それはまぁ分かるけどそんな嫌? あっ二つください」
「あいよ」
見た目がおぞましい食べ物がカエデの視界の真ん中に現れる
(これは何が原料なんだ……?こういう生物が居るのか?)
一瞬見た感じなにかの生物の丸焼き、色は黒くなっているが形はしっかり残っている
恐る恐る手に取り目を閉じて一気に食べる
「……美味い」
「あっ美味しい」
「そうだろう、それはゲテモノシリーズでも大人気のトロムシの丸焼きさ」
「……初めて虫食った……」
「トロムシって言うんだ。初めて見た」
「結構洞窟や洞窟系のダンジョンに大量に居るのさ、見た目はともかく無害で食料になるから冒険者は見つけたら良く採取してるねぇ」
「まじかよ強ぇな冒険者」
「それはいい事聞いた」
「見なければ……見なければ……行ける……」
屋台で食べ物を食べながら宿を探す
日が暮れ始める
「急がないと暗くなる」
「あっここ宿じゃない?」
「ここだね」
宿に入りチェックインを済ませて部屋に行く
豪華では無いがボロくは無い宿でしっかりしたベットが2つある
入学試験に遅れないように早めに眠りにつく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます