花詩

加藤 萌宙

アサガオの花言葉

「春馬、何型?」

仁科美羽は左隣にいる、西園寺春馬に聞いた。

「A型だよ。」

「A型は…几帳面で真面目だって。」

美羽は血液型占いの本を読みながら言った。

「俺は?」

右隣にいる神奈亜門が言った。

「あっくんB型でしょ?」

亜門のことはなぜか知っていた。亜門はニコニコしながら歩く。

「おっ。B型はマイペースで常に明るいって。」

亜門のまんまだ。

「すげー。当たってる!その本何?」

春馬は美羽持つ本の表紙を見た。

【What is your blood type?】

「直訳すると、あなたの血液型は何型ですか?になるね。」

春馬は得意げに言った。

「ちなみに二人の相性は…バツ!」

こうしていつも三人で笑い合いながら通学している。

「え~春馬~!」

亜門は美羽の隣から離れて春馬の隣に移動した。

「なんとかなるよ。」

春馬は亜門に苦笑いした。

今は仲良い幼馴染と三人で通学中。

幼稚園で出会い、その後は小学校、中学校と同じで、高校も三人で揃えた。

特に頭がいい高校ではない。

「そういえば今日、親が帰ってこないから一緒に夕飯食べない?三人で。」

今日の夜、特に予定は入ってない。兄もバイトでいない。

「うん!いいよ。」

「俺も行ける!」

「よしっ決まり!」

こうしていつも予定が急に決まる。

いつでも三人は、ノリ。

「ラーメン食いたい。」

春馬のリクエストで夜はラーメンを食べることにした。

「俺おすすめのラーメン屋あるんだよね。あの駄菓子屋の近くの。」

「あそこか、近いのにあんまり行ったことないな、行ったことあるのかな。」

三人はいつものように話していると、あっという間に学校に着いた。遅刻寸前で三人の後ろから担当教員の松田先生が入ってきた。

教室では出席番号順に座る。この高校は朝のミーティングがとても長く、つまらなくなると三人でジェスチャーやアイコンタクトを始める。どうやら亜門は眠いらしい。

「…ということで、以上です。気をつけ、礼。」

ありがとうございましたを言う人は一人もいなかった。長くてだるい、朝のミーティングが終わり、休む暇なく次の授業が始まるので、授業の準備をする。

「美羽~一時間目何?」美羽は黒板に一番近い席なのでよく聞かれる。

「国語!多分作文の続きだと思うよ。」

ふと、春馬を見るともう既に原稿用紙が置いてある。

「早っ。春馬もう三枚も書いたの?」

作文は昨日から書き始めた。美羽も亜門も、一文字も書いてない。

「でも、なんで永山先生急に作文なんて書かせるんだろう。しかも内容自由って。信じられないよね。」

「本当に急だよね。だってまだこの前の古文やりきってないのにね。」

すると前の扉から永山先生が入ってきた。

「おはようございます。」

三人は慌てて挨拶をした。

「おはよう。」

永山先生は左手を軽く挙げて返してくれた。

先生が来たことに気づき、みんな席に戻り始めた。

「授業始めます。気をつけ、礼。」

「お願いします。」

授業の始まりはみんな挨拶をした。

「では、昨日の作文の続きをやってください。」

永山先生はそうとだけ言って、別の作業を始めた。春馬は隣で只管シャープペンを走らせている。美羽は先ず大まかな内容を考えることにした。

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