第31話 条件だって?

そして、言われた通り俺は涼音と一緒に事務所にいくことになった。のだが


「ちょっと爽侍くん?どうしたのそんなに震えて」


「いやだって、この間は夜中で誰もいなかったけど・・・今日はなんかキラキラしたやつがいるんだろ?」


「大丈夫だって、他に人がいるって言ってもそんなに数いないから」


うーん、そんなこと言ってもな・・・涼音はまだしも、他のやつがどういう反応するかなんてわかんないじゃねーか


「まー、俺は今日影薄くするのに徹底するからな」


「もー、またそんなこと言って・・・爽侍くんかっこいいんだから大丈夫だよ」


「はー・・・」


「あのー・・・」


「ん?」


「私がいるんだから、車の中でイチャイチャしないでくんない‼︎」


「あ、ごめんなさい」


蚊帳の外になっていた美樹さんが発狂した・・・・


「まったく、一緒に住んでるんだからいつでもできるでしょそんなこと」


「はー、そういう経験がない美樹さんにはわからないでしょうけど。こういう積み重ねが大事なんですよ・・・」


ブチッ


ん?今何か切れた音が・・・


「あ?今何か聞こえたんだけど・・・」


「あら、聞こえなかったかしら?いくら羨ましいからって酷いんじゃない?」


「なんですって?あなたいうようになったわね・・・」


「ふふふっ」


「ふふふっ」


何これ・・・何これ・・・車の中で何やってんだよ。やめて?ちょっと二人とも怖いんだけど


「ほら、もうつきますよ」


「「わかったわよ」」


もう、怖いよこの人たち・・・


「ここって結構すごいところにあるよな」


「そりゃあね、こういうのは立地が全てだからね」


「へー」


「じゃあ、いきましょうか」


俺たちは真っ先に社長室に向かった


コンコン


「社長、失礼します」


「ああ、入ってくれ」


こう改めて見るとちゃんと社長って感じするよな


「今日は突然呼びつけてしまってすまなかったね爽侍くん」


「いえ、暇でしたから・・・」


「そうか、ならよかった」


「では、社長」


「ああ、そうだな」


ん?何か始まるのか?


「涼音くんには言ったと思うが、ドラマの出演が正式に決まった」


「そ、そうですか。すごいですね」


「ああ、私も自分で言ってはなんだがこんなにすんなり決まって驚いているんだ」


「そうなんですか?」


「ああ、それでなんでかとやつに理由を聞いてみたんだ・・・そしたら」


「?」


「涼音くんを出してもいいが一つ条件があると言われてしまった」


な、なんだって?まさか・・・こういう業界だから・・・いや、まさかそんなことは


「ちょ、ちょっと爽侍くん?なんでそんな怖い顔してるの・・・」


「あ、違うぞ爽侍くん・・・君が今想像しているようなことは絶対にない、これだけは断言しておく」


「そうですか、でも・・・もしそういうことになったら、俺は容赦しませんからね」


「あ、ああ肝に銘じておくよ」


「そ、そうじきゅん・・・そんなに私のこと・・・」


「ああ、もちろんお前のことは絶対に指一本触れさせん‼︎」


「はいはい、そこまでにしてね。まだ話は終わってないんだから」


「むー、わかったわよ」


「あ、はい」


「それで、その条件なんだが・・・」


一体そういうことじゃないんだったら、何を要求してきたんだろうか。少し怖いんだけど・・・


「それがな、あいつこないだの会見を見て。あのボディーガーそを撮影に使わせてくれるんだったらいいぞって言ってきやがったんだ」


「「「は?」」」


「ちょっと、社長話が違うじゃないですか。私はCMに涼音を起用すればいいて聞きましたよ?」


「ああ、それはスポンサーの意向だ。もちろん涼音くんにはCMに出てもらうがな。で、どうかな爽侍くん」


「え、えっと・・・」


は?どういうことだ?涼音がドラマに出るためには・・・俺がドラマに出なくてはいけないと?そういうことか・・・マジかよ


「私は賛成です‼︎だって爽侍くんかっこいいもん、絶対大丈夫だよ。それに撮影でも一緒にいられるなら私も・・・嬉しいし」


「お、じゃあ涼音くんはオッケーてことだな?」


「はい」


うわ、涼音と社長が満面の笑みでこっちみていやがる。んー、どうしたものか。まー、何をやるかは聞かされてないけど・・・試しに涼音がいる世界をみてみるのもいいかもしれないな


「はー、わかりましたよ。じゃあ、やらさせていただきますよ」


「本当か、いやー助かったよ。すでに君が出ることが決まってたから断られてたらどうしようかと思ったよ・・・」


は?何言ってんだこのおっさんは、ふざけんなよ・・・はー、俺は一体何をやらされるんだろうか



ちょっとしたノリでやることになった爽侍だが、この後も断り切れずにズルズルと芸能界で有名になっていくとは今の爽侍には知る良しもなかった。


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