第72話 はじめて校閲をしてもらった(24)

 サボってたわい(笑)ちょっと落ち気味の時ってハンクラ沼で黙々と手を動かすのが良いのですよ。黙々と。ラブラドライトを磨いてたんだけど、これって照明にかざすと、地味な少しモスが入ったよーなグレー。しかし作業台に置くと、色んな色のシラーが光ってキラキラ。んー。光る貝殻みたいな感じっすね。って、校閲の話だよっ! (笑)


 十章に突入!


 んで、いよいよ第十章。まず第一話です。地の文に研ぎ方の足りないところが散見されます。策や感情ががつんとぶつかるパートですから、対比をきちんと印象付けることを意識してくださいね。


 があ。カツミは作戦司令官に任命されるし、アーロンの策略との攻防はあるしで、色々と難題が。それにシドの狂気だもんな。


 カツミが客室に招き入れられると、アーロンも帰宅直後のようだった。喪服の上着を脱ぐ横顔に、さっそく非難が飛んだ。

 ← ここは視線がひどく揺れてます。それと説明が足りません。誰の視線で何をどう描いているのか、省略せずにきちんと書いた方がいいです。


 変更後。


 リーンに案内されてカツミは客間に通された。そこにはアーロンが待っていたが、合同葬儀から帰宅したばかりらしい。彼が喪服の上着を脱いでリーンに預けると、客間はカツミとアーロンの二人だけとなった。


 表現の調整とか語順の調整が多かったな。あとは頻出ワードの削減。ナレーションには色をつけないこと。


 んで。


(ふあ)JUNEものではあるけど、セアラって結構重要なシーンに出てくるというか。話のスイッチを切り替えるキャラだなあと、今さらながら。この話ののっけから、女性キャラであるセアラを出したのって、良かったのか悪かったのかよく分からないのですけど、女性を排除したJUNEものってのも、なんか違うよなあと。冒頭に、まるで掴みがない上に女性キャラ。どうなんだろうと思うことあるのですけどね。そこはあらすじで興味を引くしかないのかなと。


(師匠)

 わたしは本話を必ずしもBL系と捉えていないので、カツミの安全弁になっているセアラには全く違和感がないです。ただ、登場させるタイミングや頻度がどうかなーという感じは確かにします。まあ、そういうのも含めて楽しむということで。(^m^)

 読んでくれた人たちには、意外とセアラって好評だったのよね。特に男性読者さま。オアシスなんだろうね(笑)これが腐女子だと不評だろうなーって感じはするのだけどねー(笑)


 二話は、これまでの指摘とほぼ同じ(汗)


 三話は会話文説明の前置きは慎重に。会話の結びを先に書いちゃう癖があるんだよなあ。


 四話。その前に師匠から前置きの提案が。


 第十章第四話なんですが、そのチェックの前に。(^^;;

 実は。ONEの中で、一番難ありと感じたキャラがサラなんです。その印象は、最初にONEの初稿を読ませていただいた時から一貫して変わっていません。サラを通じてシドの内面を表出させる……サラはそういう役回りだと思うんですが、ふあさんの視点がシドに張り付いたまま動かないので、サラの造形がどうにも中途半端なんですよ。カツミにとってのオアシス的存在であるセアラがきちんと作り込まれているのに比べると、あまりに扱いがぞんざい。(^^;;

 とにかく、人物としての魅力が全然足りません。理論派かつ直球派で、思ったことをずけずけ口にするけど嫌味がない。それは彼女の長所のはずなんですが……。わたしには、むしろ短所に見えてしまうんです。自分の価値観に頑なにしがみつき、そこに入れられないものをあからさまに否定する……それも、直球派設定のサラらしくなく皮肉やら当て擦りやらてんこ盛りで。行動、言動がキャラ設定に合っていません。今の書き振りだと、サラは優しさや思いやりのかけらもない冷血な性格異常者に見えるんです。

 サラはいい大人なんです。シドを理解できないなら放っておけばいいじゃないですか。あえてそうしないバックボーンがどこにあるのか、なぜシドにこれほどまでに拘泥するのか。その心情の背景も十分に説明されていません。サラがシドに執拗に絡む必然性がわからないんです。

 ふあさんが、最初からサラに破綻者のキャラを当てがっているならそれでもいいんですが……そうじゃないですよね。サラを置く目的は、あくまでもシドの心理を深耕するためでしょう? 取り繕って真情を出さないシドの深部をえぐり出すための依代。それがサラの位置づけですよね?

 元々損な役回りをあえてサラに負ってもらうなら、そうすべき必然性と彼女の魅力をきちんと作り込まないとならない。その造形が不十分なので、シドの狂気よりサラの嫌味ったらしい言動に意識を持っていかれるんですよ。読んでいて、どうにももやもやするんです。

 ONEで登場する人物は、誰にも魅力があります。嫌なやつキャラのロイやアーロンですら、です。でも、サラからは魅力が何も匂ってこない。彼女一人が全体印象の足を引っ張ってしまうんですよ。「気が散る」と言った方がいいかな。

 申し訳ない。サラをふあさんご自身で造形し直した上で、第十章第二話で登場して以降の彼女の言動、行動をもう一度チェックしてみてください。シドが学生の頃からやり取りしていた相手です。シドの内面に踏み込めるくらいの交流はあったのでしょう。サラがずけずけと物を言っても、シドがそれを「信頼をもとに」スルーできる……そういう位置づけを読者がちゃんと読み取れるような書き振りにしないと、サラをあえて登場させる意味がなくなります。登場時点から違和感があったんですが、第四話でサラに感じていた違和感が限界に達して手が止まってしまいました。(^^;;

 女性キャラが限られているので、その注目度はどうしても高くなります。半端な女性キャラは最初から出せないんですよ。それでなくともセアラとの落差が大きくなるのですから、サラを「シドいじり専用単機能キャラ」に簡素化するのではなく、きっちり作りあげてください。このままだと、彼女のところで話全体が劣化してしまいます。厳しいコメントかもしれませんが、ONE全体のクオリティアップのためです。どうか御一考ください。


 あんれまあ(汗)気を使わせてしまったわああ。申し訳ないっ!!

 これ、たったひとつの要素を知ったら、全てひっくり返るんですよね(笑)分かります? サラがなんでシドに食ってかかるのか。シドの内面を引き出そうと絡んでくるのか。


「サラはシドのことが好きなんですよ」


 はははははは。さすがの師匠でも察せなかったかー。てか、察せるように丁寧な書き方してなかったかーって感じっすね。ユーリーが察しているのですが、もっと丁寧に書かなきゃダメだったよなあ。

 というわけで、三話、四話のサラのシーン。書き直しとなりました。


 付け足した部分の抜粋。


 サラが勉学に励むのは、彼女の親の影響だった。彼女の両親は、揃って大学の教授だったのだ。模範的であれ。完璧であれ。弱みを見せるな。一番であれ。そして、男性に負けるな。子供の頃からユーリーはサラの両親が大嫌いだった。自分たちの価値観を子供に押し付ける大人の代表に見えていた。子供には拒否権などないのに。


 サラは、シドに会うためだけに特区に来たのだろう。そうユーリーは思った。特区の軍医認定試験は、医師国家試験の比ではない。医大を卒業して七年。サラは、仕事をしながら試験勉強をしたのだろう。なのに。ほんの数日顔を合わせただけで、シドは特区を去っていくのだ。


 サラの心の中は、ショックと悔しさと悲しさで、ぐちゃぐちゃだった。大嵐が吹き荒れていた。やっとまた会えたのに。こんな失恋の仕方ってある? ジェイはきっと、シドの本心を見抜いたんだわ。彼は特区百年の逸材と言われた人だもの。でも……。でも私は油断してた。ジェイが男で、私が女だから。たったそれだけのことで、自分が優位だと思い込んでいた。たったそれだけのことで……。


 師匠からOKでた(笑)


 第四話は改稿版でチェックしました。いやあ、きちんと補筆した効果は抜群です。一気にサラに対する好感度が上がりました。恋するオンナは最強です。(笑


 五話。シドの狂気が爆裂するシーン。

 全体的に表現が硬いと指摘が。あと、畳みかけるシーンのセリフに読点連打はしないほうがいいと。スマートにって指摘でした。


 さて、次の十一章の五話で終わるぞ。お付き合いありがとうですっ!












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