裏切られ、転生。

御茶会

序章 プロローグ

「それが、お前たちの選択なのか。」

信頼していた部下たちに後ろから刺され死んでいく。

人を殺さない選択をし続けた俺には最高の皮肉の最期だな。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「これが、地球の神々の選択だというのですか。」

一人の女性が大勢に問いかける。

「仕方あるまい。われらは、戦争の神も多くいるのだ。

争いが少なくなれば力が失われていく。戦争を食い止めようとするものは邪魔でしかないのだ。」

老人の装いの男性が代表して答えた。

「あの魂はあなた方にとって邪魔ということですね。では、私の世界に招かせていただきます。」


そういうと、女性は足早にこの場を去っていく。

あぁ、可哀そうな魂。仲間に裏切られ、神にも見捨てられた魂。

私の世界で自由に生きて。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「おぎゃあ。おぎゃあ。」

「おめでとう、シビー。元気な男の子だよ」


恰幅のいいおばさんがそう告げながら、

布にくるまれた赤ちゃんを母親に静かに渡す。


「やっと、やっと。女神様。私たちにこの子を授けていただいてありがとうございます。」

そうシビーが呟くと同時に、バンと扉が開く。

「シビー、生まれたのか。」

「ええ、あなた。可愛らしい男のようですよ。」

そう聞いた瞬間、男は目に涙を浮かべ笑った。

「ありがとう、シビー。」

「おめでとう、マイク。子供と妻を大事にするんだよ。」

そういいながらおばさんが部屋を去る。


「ありがとうございます。また後程お礼に伺いますので」

マイクは去っていくおばさんの背に向けそう伝える。

「あなた、この子の名前なのだけれど。」

「あぁ、それなら決めてあるよ。ファイバー。それがこの子の名前だ。」

「ファイバー。愛しの子よ。元気に育ってね。」

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裏切られ、転生。 御茶会 @katarogu

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