第16話 以前の大量オークは予兆だったようです。
おもちゃ屋で買ったものは全て使ってみた。
「珍しく真希の恥ずかしがるところが見れて役得だったよ。」
夏希が勝ち誇った顔で言うと、かけ布団を被って口から下を隠す真希。
「今度は夏希だかんね。」
「でも凄いな。指4本入っちゃったもんな。」
それは後ろの話。そっち弄られて潮吹いちゃったので恥ずかしいのである。
浣腸入れて我慢はさほど恥ずかしくはなかったと証言している。
「夏希には腕入れてあげる。」
「……機会があったらな。」
真希の乱れ方を見ていて、少しだけ興味が出てきた夏希であった。
ツインルームに宿泊し片方はえっちで汚しちゃうから、もうひとつのベッドで二人で寝るというスタイルはここでも同じだった。
翌朝一度シャワーで洗い流してから、おもちゃ屋の女の子に言われたものを用意する……ための準備をする。
他の部屋の宿泊客だって時間構わず致しているに違いない。
声が漏れるとかは気にしてはいけないのだ。
そしてこの線までというラインの倍くらいを採取し蓋を閉める。
錬金術って万能だと感じてしまうのは、大人のおもちゃまで作成出来てしまうのだから当然かもしれない。
朝食を取り終えると、二人はすぐ隣のおもちゃ屋へと向かう。
二人は朝寝坊していたのでもうすぐ昼になってしまう。
おもちゃ屋の扉を開くと黒髪の女の子が受付に座っているのを発見する。
「持ってきたよー。」
「うわっ、なんて量。まぁ良いけど、まったくお盛んだこと。」
指定したラインの倍は確実に収められている。朝からお盛んでした。
「えへへー、二人とも感度良好だからねー。」
「そこのトレーの上に置いておいて。夕方(16時頃)には渡せると思うよ。」
じゃ、夕飯取る前に取りにくるねと伝えて店を出ようとする。
「あ、そうだ。セーノペキューノスの街にお店の支店を置いたりはする予定ない?」
「今のところはないね。」
残念、と言って真希と夏希は店を出て行った。
ムーランルージュ商会に行く昼過ぎまで若干時間の余裕が出来たため、街を散策する事にした。
広場では大道芸なんだか、大きな玉の上に乗った男が手に持った棒とか玉とかを駆使してパフォーマンスをしていた。
それを見るため用なのか、周辺ではつまめる程度の食べ物の屋台があちこちに見られる。
ムーランルージュ商会に着くとカオリとの約束の件を伝えると、すぐにやってきた。
そして別室に案内するからと、後をついてくるように指示を受けた。
応接室に通された二人は席に座るよう促され、黙ってその指示に従った。
表から見ても大きな建物であったが、中も広かった。
流石にあちこち回ったわけではないけど、一人だったら迷路となっていたに違いない。
部屋の中も外も、貴族の屋敷かと見間違う程豪華なものが置かれていた。
割ったら高い弁償だろうなと思ったに過ぎないけど。
「おね……真希さんが探していたブツはこちらになります。全部で銀貨20枚になります。」
テーブルには20冊程の薄い本が並べられていた。
表紙にはどれも美少年が描かれている。中には抱き合ったり絡み合っているものもあった。
「エリーちゃんへのお土産ゲットだね。」
お土産にしては銀貨20枚は高いのだが、色々便宜を図ってもらってるし、セーノペキューノスの本屋では取り扱っていない。
行商人が仕入れてくるのを待つか、売っている街に行く者に買ってきてもらうくらいしかないのである。
エリーちゃんが腐った理由は聞いていないが、彼女は大分ベテランらしい。
交易都市は色々な人種が集まるため娯楽も多いが、セーノペキューノスはどちらかというと冒険者の街というイメージである。
武器や防具は盛んでも冒険者でない者には少々娯楽に欠ける街なのである。
「定期的にブツを仕入れてセーノペキューノスで卸してくれるなら専属だかの話考えても良いよ。」
実はエリーちゃん以外にも腐った女子は多い。
冒険者の誰と誰がカプで誰がタチでとかいう会話が社交界でも話されているらしい。
これは領主の娘も一枚噛んでるという噂まである。
立場上流通にまで手を出せないだけで、いつかは街のどこかに乙女ロードを作るという噂も浮上している。
「その辺りの話は、あの街での支店を出す話は進んでいるようなので、不可能ではないと思う。商会長である父と話を煮詰める必要はあるけれど。」
カオリは支店長となってあの街で貧乳乙女隊と繋がりを持とうとしていた。
真希達が冒険者である以上、ずっと同じ場所に居続けるとは限らない事は理解しているかはわからないが。
商談が成立し、ブツを空間収納に保管し金銭を支払った。
この街でやる事もなくなったので、おもちゃ屋でモノを受け取ったら、帰りの護衛依頼でも受けようかというくらいだった。
護衛依頼がなければ真っ直ぐに帰るだけである。
その旨を伝えて商会の外に出ると、一人の斥候と思われる冒険者が声を荒げながら走っていた。
「大変だ、セーノペキューノスの街に魔物の大群が押し寄せてきてる。ダンジョンからのスタンピードだ。」
そう言って男はギルドの方へと走っていった。
通常こういった知らせは領主やギルドが専用の伝達便でくるものだが、それすらも無視しなければならない程焦っているようだった。
「夏希……」
「仕方ないか。」
二人はおもちゃ屋へ急行するとモノの仕上がりを訪ねる。
「悪いけどまだだよ。」
「急用でセーノペキューノスに戻る事になったの。必ず受け取りに行くからそれまで保管しておいてくれないかな。」
「それは構わないけど2~3ヶ月以内には取りにきてよ。」
「ありがと、コレはお礼。」
小さな袋、といっても収納袋となっており中には大量のアイテムが収納可能である。
女の子はそれを受け取ると中身を確認する。
「じゃぁ、保管は任された。いってらっしゃい。」
真希と夏希は店を出ると急いで門へと向かう。
「走った方が早いかな。」
「身体強化と速度強化を掛ければ就寝時間前には着くだろ。」
馬車で3日かかる距離を数時間で移動する。
通常ありえないのだが、普通じゃない二人であれば可能となる。
一方おもちゃ屋の女の子は、真希から受け取った袋の中身をテーブルに出していた。
中身は……
紺色ブルマー、スクール水着、メイド服と、かつて異世界からやってきた勇者が伝えたとされる三種の神器であった。
「あの娘、上級者ね。」
2日前、セーノペキューノスの街には大量の魔物が押し寄せてきていた。
数えるのが馬鹿らしい程の姿に目の当たりにした人間達は逃げる事も忘れただ立ち尽くしていた。
ギルドマスターの指示により近隣の街や村に危機を知らせるため人を放った。
領主も独自に王都へ人を送っていた。
目視出来る距離に魔物がいるのに伝令が何の役に立とうか。
討伐というよりは被害を少なくするための処置に過ぎないとわかっていながら使いを出したのだ。
「冒険者達は配置につけ、城壁からの魔法部隊はいつでも撃てる準備をしろ。」
斥候である他の街へ向かった者以外は街から出る事も叶わない。
南北にある門がどうというわけではなく、単純に囲まれているのだ。
斥候達は運が良い。
あと少し出発が遅れていれば、魔物に飲み込まれていたのだから。
「戦って死ぬなら本望だ、デスクワークで休憩も取れない程のブラックな死に方よりはなぁ」
ギルドマスターが一人ごちた。
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