貧乳乙女隊
琉水 魅希
第1話 亀が出た!
「うわー!亀が出たー!騎士団か高ランク冒険者はいないのかー!!」
街道から一人の男が血相を変えて門番の前に駆け込んできた。
男は門番に言いたい事だけを伝え身分証を見せるとそのまま街の中へと駆け込みどこかへ消えて行った。
門番の一人は同じように街の中へ入り領主の館へと急いだ。
冒険者ギルドの中には併設して食堂も備え付けてある。
一応段差も違い、パーテーションで区切られてはいるが、声なんかはお互い通ったりする。
現在冒険者ギルド内は……
ギルド備え付けの飲食処で賑やかに飲食に励む冒険者達。
遅めの依頼受付のために依頼表を確認する冒険者達。
報酬の受け渡しや依頼物を提出している冒険者達。
そんな冒険者達で溢れるギルド内に先程の男が駆け込んでくる。
バタンッ
「はぁーはぁーはぁー、た、大変だ。街道に亀が出た。ゆっくりだけど街の方に向かってきてる。」
男は先程門番に伝えた内容をギルドでも叫んだ。
男が言う亀とは、最近周辺の街や街道に現れて通るだけで踏みつぶされ破壊の限りを尽くすランドタートルという家よりも大きな、亀の魔物の事である。
甲羅は硬く、表に出ている頭や足も硬い。
しかし取れる素材からは良質の防具や薬が作成出来る。
ただし、討伐推奨ランクはAランク以上。
Bランクでも人数が多ければ可能範囲ではあるのだが、現在この街にいるBランク以上冒険者は皆出払っている。
だいたい昼間っからギルドで酒を飲んでる冒険者のランクが高いはずもない。
当然泊りがけで戻ってきた冒険者もいるにはいるが、実際ランクは高くない。
亀にとっては偶然であるが、敵と成り得る冒険者はいなかった。
それならば門番が報告に行った領主側の騎士団はどうか。
一概には言えないが個人としては総じて冒険者換算するとC~Bが殆どである。
王都に行けばもっと高い実力を持っている騎士もいるが、伯爵領では正直そこまで高くはない。
それに騎士団は何かと規律に煩く、中々重い腰を上げない。
領主の一声がなければいくら領民のためでも動きはしないのが現状だ。
流石に街の中にまで入ってくるようであれば違うのだろうけれど。
男の話を聞いて席を立った人物が二人いたのだが、誰も気にしていない。
「さて、依頼のために薬草採取行きますか。」
両手を上げ、ノビをしながらう~んと言いながらゆっくり進む。
「そうだな。ついでに食後の運動してもバチは当たらないだろ。」
指をパキパキ鳴らしながらファイティングポーズを決めながら進む。
銀色の髪をした少女と赤色の髪をした少女?がギルドを出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます