無題のファンタジー

氷柱

第1話 【呼び声】オルシア、ヴァン、カリナ

遥か彼方から、私を呼ぶ者がいた。


誰だろう。透き通る水の様に清らかな声だ。


「オルシア。オルシア。聞こえますか?私の声が。おかしいですね、回復魔法はしっかりと効いている筈なのですが……」


ま、ほう?何だそれ。私は日本人だぞ。そしてここは日本だろう。あれ?私の名前は本当にオルシアだっけ。記憶に靄がかかっている。此処は夢の中か何か、という事か。ぱちり、と目を開けると凄く美形な男性が目に入った。どアップだ。カメラさん、もう少し引きでお願いします。ていうか剣持ってんな。血が付いてて怖いんだが。


「ヴァン。油断するな。まだゴブリンはいるのだぞ!」


美形な彼はヴァンと呼ばれ、それと共に何やら記憶が少しだけ蘇る。こいつ、私の護衛の冒険者だ。ヴァンに檄を飛ばした少女は、狼系の獣人だ。確か名前は……。


「警戒は任せますよ、カリナ。依頼主のオルシアが危険な状態ですので。」

「もう一度回復魔法をかけてみたらどうなのだ?今襲われたら、我々も危険なのだ!早くするのだ!がるるるる!」


そう、カリナだ。小柄ながら獣人らしく筋肉質でかっこよくて、とても頼りになる子。この二人にはよく護衛を頼むんだ。そうそう、思い出した。今日は調合の素材を取りに来たんだっけね。あれ?私って日本人だよね。おかしいな。

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