第9話それが俺の幸せだよ

「ごめんなさい…」

それはいきなりだった


いや、いきなりではない

ふとした瞬間に君が恋する顔をしていた

そんな顔を見るのが嫌で

見ないふりをしていた


そのツケが回ってきたのだろう…

だから…そんな涙こらえて言わなくたっていいよ


あぁ…そうなんだね君はもう僕に気持ちがないんだ…

それを裏付けるのは記念にプレゼントした指輪をしていない手


気付かないふりして何の手も打たず大打撃を喰らう

早めにあがいていれば良かったものを


後悔しても遅い

気付いた時に手を打たなかった俺が悪い

恋するきらめく顔した君を見ないふりした俺の失態


君を繋ぎとめていられなかった俺のせいだと覚悟を決める



さりげなさを装い最後の嘘をつく

それは悪あがきのような嘘…

「君が幸せなら、それが俺の幸せだよ」

そういうと堪えていた君の涙が溢れてしまった。

決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。

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