俺には恋というものは難しいらしい

黒猫

第一話 恋ってなんだよ

俺、植木叶斗うえき かなとは恋というものがわからなかった。

「恋とはどういった状態なのか、好きとはどういった状態でわかるのか」

俺には理解ができなかった。

彼女がいる奴は、何もしなくてもそこに一緒に居るだけで幸せだと感じると言っていたが意味が分からない。何もしないのになぜ一緒に居るのか。

時間の無駄ではないのか…

どうせ一緒に居るのなら「どこかデートにでも出かけるべきでは?」と思うしどこにも行く気がないのなら俺はゲームをしていたいと思ってしまう。


「だからお前には彼女ができねえんだ」と言われたが、みんなはどう考えるだろうか

と、まあこんな感じの中学を過ごしてきたため未だ彼女いない歴=年齢だ。

彼女が欲しいかと聞かれれば俺は欲しいとは思わない。

わざわざ自分の時間を削ってまで外出したいと思わないし、将来一緒になるとも限らない奴にお金をかけれるかと問われれば俺はNOだ


俺はリア充自体否定はしないしむしろ応援してるまである。

俺の老後はお前らの子供にかかってるからな。

まあ例外もいる。

「陰キャ君さー、彼女がいないどころかお友達すらいないじゃんw」

このような、ちんぱん陽キャはくたばればいいと思う。

こいつらは陽キャの中でもカーストは2,3番目で一番になれないコンプレックスから俺たちのような陰キャをいびってくる。

真の陽キャは陰キャにも優しくしてくれる。

鈴本が俺をいびってくることは毎日の日課なのでもう慣れた。

無視を決め込んでおけば机を蹴るか腹パン一回で済む。

俺をいびる中で鈴本はちらちらと一人の女を見る。

その視線の先には真の陽キャグループにいる中原かなのが居た。


中原を可愛いと思うが別に付き合いたいだとか近づきたいとか思うほどではない。

俺は腹パンを食らいその場を去る。


カフェインとらないと生きていけないわ…

あくびを噛み殺しカフェオレを買う。

本来ならコーヒーを買うべきなのだろうが、あいにく俺はコーヒーを飲めない。

あの苦いだけの薄い水に百円を払いたいとは思えない。どうせなら甘いほうがいい。


「叶斗君。さっきは止められなくてごめん」

中原が謝ってきた。わざわざ追いかけてきて謝罪するほどのことだろうか…

こういう所が俺はあまり好きではない。住む世界が違うのだ、だからできるだけ関わりたくない。

「いえ、気にしないでください。じゃあ自分はこれで」

そう言ってその場を離れる。気まずい雰囲気の中にわざわざいたくないからな…

はぁ、どうせ見えないところでもう一回腹パンされるんだろうな…

注意をしたところで止まるはずがなく、何ならもっと陰湿になる。それがあいつらにはわからない。

人を信用しすぎている。注意すれば理解してくれるはず。なんて思ってるんだろうが実際にはそんなに甘くない。


「次の授業遅れていくか…」

俺は保健室へと向かった。

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