第12話 春巻き

 実は何を隠そう、私は春巻きが好きだ。

 かれこれ十年くらい前のことになるだろうか。テレビで春巻き専門店の紹介をしており、そこで紹介されていたのを見て「美味そう……」と好物になったのだ。


 うむ。我ながら単純だな!



 しかしながら、好きなものがイコール得意なものとはならない。特に春巻きは私にとって苦手な『揚げる』という工程が入っているので、これまで二の足を踏んでいた部分があった。

 いやだって、大量の油を使うんだぞ。炒め物の時ですら油が跳ねて「あっつい!?」と悲鳴を上げることがあるのに、揚げ物なんてすればやつらが調子に乗ってとびまわるに決まっているじゃないかよう。



 そんなある日、晩御飯の献立の参考にするためお手軽料理レシピ系のサイトを徘徊していたところ、春巻きを揚げるのではなく、焼くように作っているものがあった。


 これならできるかもしれないぞと思いさっそく挑戦してみたのだが……。

 あらかじめ中の具には火を通しておいたので、半生で食べられないという最悪の事態は回避した。しかし、焼いている最中に皮が破けるわ、中身が飛び出してくるわで、三分の一くらいは「多分春巻き」もしくは「春巻きっぽい何か」と化してしまったのだった。



 頑張って皮に包んだのに……。

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