6 / ⅲ - 楽園に咲く花 -
第一訓練場の中央に伸びる
それと同時に
「わ、わわっ」
小柄ながらも強固な力を見せる機体は空気を
エンジンシステム『
その刹那が過ぎた頃、メインウィングの鵬翼は上を向いて星の力を強引に叩き付けた。
「わぁ───……!」
下を見渡せば人が、街が、世界がみるみる小さく見える。
立ち込める雲から降る雪は歓迎の証にすら見え、空を飛ぶこととはこんなにも胸が躍るものなのかと空に魅せられながら、有土も同じ気持ちだったのだろうかと、真紀奈は一度ホバリングしながら体勢を整える。
『ふむ……なるほど、確かに小さな『
「かもしれません。ですが、その機動力と機能性はアレと遜色ない作りだと自負しております」
小異はあれど基本構造は『
光皆達にとっては既視感のある、有土にとってはかつての自分を第三者視点で見ているような心地で、彼女の姿を見守っていた。
「もしもし、調子はどう?」
『うんっ! すごいねゆうくん、わたし達の街があんなに小さく見えるよ!』
通信越しの真紀奈は気分が高揚しているようで───いや、この場合は文字通り身体も心も物理的に高く揚がっているが───、そんな彼女の前のめりでご機嫌な言葉は、けれどもこの場においては素直に受け止められないでいた。
「あの……さ、世良さん。その……
『はぅえ!? ご、ごめんねっ小郷くん。み、光皆社長、添氏総督代行も、申し訳ございません』
『いや、構わんよ』
有土の呼び方で光皆と添氏の面前だと我に返り、表情を一八〇度変えたくらい落ち込んだ顔を見せた真紀奈は、小さく咳払いをしてから表情を戻すと今の自分の様子を伝えた。
『特別な問題はないです。飛んだ時の風も
飛行テストを実施済みの『
『
『飛行実験も成功か、よくやった小郷君』
「あ、ありがとうございますっ」
『世良君、これから少し自由に飛び回ってて欲しい。飛行データを取っていこう。私も観測はさせてもらうが、こう通信していては羽根も伸ばせないものだろう。世良君との通話は切って待機しておくから、何かあった時は声を掛けて欲しい』
配慮ある光皆の指示で、真紀奈は空を旋回する。
その様子を無人撮影用ドローン《
『紙のように薄く織り込ませて、義肢の内部やメインウィングをウェストポーチ状に畳み込む形で作り上げたのは、流石は『
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