bathroomの澱

点滅を。永遠に、

舌足らずのトラップ にやけた首を 

傾剥ける 踏切を

きっと、飛び立ちぬ。

弱弱しくか細く、澱の中の蛍、心臓と例えるならば


ただ死ぬ迄の暇を潰し合うだけ。

生まれたことに何か価値を与えることができるのは

別段 意味などない、寄せ返す 鼓動の波間に息吹と啼いた

普段めいた四季を折々下り、通り過ぎる誰彼時に服し、

当たり前に見えるもんは、であるからして盲目に信じにゃならん


だが、わたしにはなにもわからないんよ

ほら触れやしないのさ、動じちゃあなんねえさ

恐ろしく脆い影がほら、まなこを透り、

ただ胸を凍てつかせ甚振るいたぶばかり

揺らめいて、一瞬頷いたような、pathosは ちくりと針を刺した。

口を縫われ足を掬われたようで、もう一歩も、

なにも助けは、聞こえやしない。

穴に堕ちたのかもしれなかった


ごくしぜんのよに眼球を転じる、

その子種は腫れあがり、いつかに埋まれる

偽物紛いの過去と未来を勝手気ままに操っていく、憐れな賛歌だ

するとそこには、今一様に

あり得ぬ反転星界がだくだくと鎮座する次第で、


毎度毎度とはいえ、もうとっくに藪の中だ

そこに虫の息と妙な雑草がわんさか いついつも栄えるもんだから、

ウロウロしては、それを食らって延びている。

疎かなものを 拾ってはおさめいく、儀式のようなもの

救われないときを この手で切り取る作業になってやしないだろうか。

これは遊びのようなもので霞の酔うな好い塩梅であったが、


ああこの箱舟ではまた沈んでしまう


ノブは錆びて外れかけている。

廻らない世界に閉じ込められ 流されて

塵も誇りも 記憶も全部

赤むくれた皮脂に被われ 軋む精子を何度も組み換えして

傷んだ盥に救うものがわらわら

羽の生えた蛆虫どもが 成虫にも鳴り切れず、

散々、人工的な雨を降らしている。


赤い雫ならば いつか 綺麗に消えるのに


素直に有り触れて現せ、触れられ揺さぶれる心のアンノンは、

どこを何を信じ飲み込めば 齎されますか

がなりたてる、

ねぇ 選の曳けないつかの間川の流れ痕は ただ桶を絖す

垢のついたすりガラスの、蛞蝓も毛嫌う

捩れ縮れたよごみの雌毛が。


そして、ひとつの戸を織り上げている。

誰を打ち抜けば幻は鎔けるのだろうか

ただ排水口に引っかかる彷徨える羽蟻が、

吾ながら可愛そうにおもえただけの、

グロテスクな一生、懸命なおはなしでしょう。



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