羽化

 弾むばっかりのオルガンのことといったら つゥか 手前。聞いたこともねえことだ 。

 碌の薄絹の余剰を拗ね 落盤を抑え ぶっとい指先が締め出す、蜘蛛の糸に操られた 銀灰の真珠の儚さといったら、かたむきはかたくなに、よそよそしく煽るかぜが 卓上に告がれ置かれた、声をしったか。

(ぬるまゆにまわる 潜水艦に心をと坐した ゆめうつつの褥)

 そりゃ我が君のロザリオにも勝る薄浅葱の瞳と おぼつかない 彩を転がし 滑らせただけの、やわらかな天使のたちの午後を 嗅がす 清き酩酊に違いない。

 そうであろう そうでなくては、

 不可視光に呑まれた工房で齷齪と模造された、カバネから選りすぐられた、たわたみの、カタルシスに下る、審判を形にしたものであったからそれだけ みちりと詰まった楽宴への嗅ぎ箱は此処へ 、そのての上に 何か躍っている。

 コレ出ねえように出ねえように だ。

 これが繭の里かと誘うばかりには、心地よい塩梅ばかりが、身と漏らす。空虚なはこにわにどんな軌跡を移しこんでも やはり。

 ほツた袖のレースにのる 輪廻転生。ざわついたのも少し、乙なものである 勝手にも抱いたものと カビクセェノもので。なあ、そりゃあ、ええやわんや。 ひとらしくありふれて ややメビウスを受光するあたりが これだと。

 赦すまじ万条の蛍火、われされは施しを享け それをもってやんごとなき、加護の内腑に潰す、灰と喉仏ト浚い。

 まあ、このままでいさせくれ、これは地獄の責め苦に等しく 満ち足りた私腹がわがままに蔓延るとき、正に飽きぬ、 コトに物憂げなとき。いまこそ、まったく 素敵ではないか。

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