透き影

 それはいつからか異国の言葉で彩色された置き手紙が ひたむきに、座卓の上に佇んでいる。まるで旧知の間柄でもあるように

 その姿は障子の裂け目に溶け込み 我が身は罅を納め ソレを確認しない日はない。

 忙しない檻の 漏れた明かりから導き出す季節問わず、そのうち死灰しはいを帯びていくのを貴女はただ黙って凝視する。

 素の眼差しを喩え 軋むだけの櫛歯に永い祇を説いていながら、祖の唇から立ち昇る唐紅に、幾度も惚れ直し 正すことを 忘れない。

 <急度きっと>

 母堂ぼどうに似せたホトトギスは程なく土壌に霧散して魅せる。と、ほくそ笑むばかり そのいつかを随想する いやはや、有り難きはつらつらと 雲泥と気触かぶる、お天道様。

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